恐竜やヒューマノイドロボットが働く世界初のホテルとして、ギネスにも認定されている「変なホテル」。といっても「変な」というのは「変わり続ける」という意味で、新しい店舗がオープンする度にいろいろなこだわりのある「変」が追求されています。

これまではロボットコンシェルジュの「ロボホン」やロボットクリーニング「LGスタイラー」、VRデバイスの貸し出しといった最新ガジェットの導入が話題になっていましたが、17番目となる「変なホテル 奈良」は良い意味でこれまでとは違う「変な」サービスが導入されています。

いったいどんな取り組みをしているのか、10月1日のオープン前に開催された内覧会で早速チェックしてきました。

  • 17番目となる「変なホテル 奈良」は近鉄奈良駅から徒歩数分という便利な場所にあります

古都の雰囲気であふれるシックなロビー

ホテルに入るとロビー全体がシックな雰囲気にまとまっていて、「変なホテル」という印象はほとんどありません。壁はフィリップスのスマートライト「Hue」を使って奈良の豊かな自然を表現するようデザインされていて、古都を訪れたという雰囲気が味わえるようになっています。

  • 入口を入ったところ

  • 広々とした低めのソファは荷物を持ったまま座るのにちょうどよい

「変なホテル」は基本的に全てのホテルのフロントを無人にしています。業界の人手不足を補うためですが、単なる省力化だけが目的でないことは、わざわざロボットにフロント業務を任せていることからわかります。

そんな代名詞ともなっているロボットの接客ですが奈良ではあえて導入せず、代わりに光のホログラムで映し出されたキャラクターで、変わり続けることをアピールしています。世界初の試みでもあり、今のところ体験できるのは、東京浅草田原町と奈良の店舗だけとなっています。

  • 無人なのでフロントはすっきり

  • 無人でチェックインできる「変なホテル」以外でもありますが、光のホログラムをフロント業務に導入したのは世界初とのこと

恐竜・侍・忍者・執事のホログラムが受付

キャラクターは、恐竜、侍、忍者、執事の4タイプで、誰が対応するかはランダムで選ばれます。それぞれのキャラクターに個性があって、入力を間違えると教えてくれたり、味気ないセルフ作業を楽しくしようといろいろなリアクションを見せてくれます。

まばたきするなど動きがとてもリアルで思わず見入ってしまいます ※音が出ます

ただ動くだけでなく、入力操作にあわせて反応が変わります ※音が出ます

  • 執事はお茶目キャラポジションで設定

チェックイン作業は大きめのタッチディスプレイを使ってわかりやすく操作できるようにしています。画面の表示に従って宿帳の記入や支払い、ルームキーの発行までセルフで行い、完了したらルームエレベーターへと案内するホログラムが床に投影されます。

  • 大きめのタッチディスプレイをはじめチェックインに必要な機能がまとまっている

  • 足元のセンサーに反応してホログラムなどが作動する

  • チェックインが完了すると床にホログラムのガイドが表示される(表示前と後)

世界初の自動搬送型荷物保管システムを採用

ロビーがすっきりしている理由は、世界初の自動搬送型荷物保管システム「バゲッジキーパー」が導入されているというのもあります。オフィス家具メーカーのオカムラがロボット技術をベースに開発した設備で、スタッフの手を介さす非接触で荷物を預けられるようにしています。

  • 壁に設置された「バゲッジキーパー」は大小2タイプの荷物が預けられます

ロッカーとは異なり扉は自動で開閉するので、大きめのスーツケースも出し入れしやすく、スペースに入るものであれば紙袋でも預けられます。ロボット技術を使って上の方まで荷物を収納できるので、ロッカーなどに比べて収納力が倍になるのも特徴です。

  • 自動で扉が荷物の出し入れがしやすい

  • ロボットはバックヤードで一生懸命働いています

ICカードを使うので番号入力で手間どることもありません。スタッフを呼び出す必要もないので気軽に荷物を出し入れできるのもうれしいところです。システムは2019年12月に登場したばかりで、ホテルに導入されるのは世界初とのこと。もともとは全自動貸金庫に使われていたという技術だけに、セキュリティ性も抜群だといえそうです。

  • ICカードをタッチするだけで出仕入れも簡単

客室はスペースゆったり、4ベッドの部屋も

建物は6階建てで客室はダブルやツインを中心に104室あります。室内は機能的でコンパクトですが、テーブルやイスを動かせるようにしていたり、スーペリア以上ではソファもあり、エキストラベッドとしても使えます。

日本のホテルではめずらしいフォースルーム(4ベッド)の部屋も各階にあり、家族連れやグループでも泊まれます。ベッドはフランスベッドが「変なホテル」のために開発したオリジナルのマットレスと人気のロフテーの枕が使われていて、安眠にもこだわっています。

  • 客室はダブルやツインが中心(写真はスタンダードツイン)

  • ベッドが4つあるフォースルーム

  • フォースルームは広々としたソファスペースもあります

観光やレジャー以外のビジネスユースにも対応していて、シングルはありませんがダブルの部屋は仕事ができるよう大きめのテーブルがあるレイアウトになっています。Wi-Fiはもちろん充電ケーブルもあり、ベッドの横にそれぞれコンセントとUSB充電の口があるのも便利です。

  • ダブルの部屋は壁に沿って広いテーブルが設置されています

  • ベッド横にそれぞれコンセントとUSB充電を用意

室内にはスリッパ、各種アメニティグッズのほか、ミニ冷蔵庫や電気ポット、セキュリティボックスなどが用意されています。クローゼットはありませんが、その分スペースがすっきりしていて、うっかり引き出しの中に忘れ物をしてしまうことを防いでくれそう。

  • 室内にあってほしい設備はひと通り揃えつつ、引き出しなどは無くして使えるスペースを広くしています

  • スリッパもこの通りのシンプルさ

観光や飲食店情報をチェックできる室内端末

部屋にある大画面テレビでは館内の設備や室内の備品の説明がチェックできます。タブレットの「tabii(タビー)」はIoTコントローラーとして、ロビーと同じスマート照明を設定したり、テレビやエアコンのリモコン、スタッフの連絡や周辺の観光や飲食店の情報収集などに使えます。1階にあるレストランの混み具合も部屋にいながらわかるようにもしています。

  • 大画面テレビでいろいろな情報がチェックできます

  • リモコンや室内電話としてタブレットを設置

また、館内全ての水でファイテンが製造する「ファイテンウォーター」が使えるシステムが導入されています。特殊なフィルターを地下に設置し、飲料水はもちろん洗面所やバスルーム、そしてトイレでも使えるといいます。

  • お風呂のお湯やシャワーも全て「ファイテンウォーター」が使えます

お天気をテーマにしたカフェ、独自スイーツも

ホテルの1階にある「OTENKI PARLOR - おてんきパーラー -」も世界ではここだけのお店。お天気をテーマにした店内は床から高い位置まで青いタイルが敷かれた変わったレイアウトで、空の上に浮かんでいるような気分が味わえます。

奈良で人気のカフェ「ナナツモリ」をプロデュースする会社が運営していて、オリジナルの朝食メニューがいただけます。ランチやカフェも楽しめて、このお店だけでしか手に入らないオリジナルのスイーツ「奈良シトロン」も限定販売されます。

  • お天気をテーマにちょっと変わったレイアウトになっています

  • 空の上を思わせる青いタイルの食事スペース

  • 1階のカフェレストランで朝食がいただけます

  • 新奈良銘菓「奈良シトロン」(写真左)やオリジナルのスイーツを限定販売

ホテルは奈良公園や大仏のある東大寺などへは徒歩圏内で、たくさんお店が並ぶアーケードもすぐ近くにあります。これから秋を迎えるシーズンは街を散策するのにちょうどよく、京都とはひと味ちがう古都を楽しめます。

京都や大阪、神戸への移動も以外に便利で、開業記念プランとして宿泊費もお得に設定されているので、旅の拠点にするのもぴったりといえそう。この機会に一度奈良を訪れてみませんか?

  • 鹿で有名な奈良公園も歩いてすぐの距離

  • 近鉄奈良駅には音声で対応してくれるAIガイドもあります