日立ジョンソンコントロールズ空調(以下、日立)は、独自の凍結洗浄をさらに進化させて、エアコン内部のキレイさにこだわった「ルームエアコン 白くまくん プレミアムX」シリーズを10月末に発売します。オンラインセミナーから新機能のポイントをお伝えします。

  • 白くまくん プレミアムXシリーズ

日立のルームエアコンは、以前から「凍結洗浄」という機能を備えています。これは、エアコン内部の熱交換器を凍らせて霜をつけ、たくわえた霜を一気に溶かして汚れを洗い流す機能。掃除しにくい内部の熱交換器を自動でキレイにできるため、エアコンの清潔性が気になる人から人気の機能です。

加えて、ファンにも自動お掃除機能を搭載しています。ファンのホコリをブラシで落とし、熱交換器や水受け皿に集めたあと、ブラシについたファンの汚れを熱交換器の汚れと一緒にまとめます。そのあと凍らせて一気に溶かし、水洗いする仕組みです。

このように、従来機からエアコンの清潔さに注目している日立ですが、今回の新製品ではさらに「排水トレー」も凍結洗浄でキレイにできるようにしました。

  • 熱交換器の凍結洗浄の様子。白いのはすべて霜です。これが溶けるときに、汚れを一緒に落とします(2019年、日立エアコン発表会から)

  • 凍結洗浄の仕組み

  • 風の通り道が汚れやすいということで、内部をキレイにする機能を備えてきました

風と水の通り道が汚れやすい

排水トレーというのは、熱交換器やファンの汚れを流す場所のこと。一般的にエアコンは冷房や除湿運転のときに、熱交換器が結露して水分が付着します。この結露した水を、排水トレーを通して屋外に排出しているわけです。

その排水トレー、熱交換器のすぐそばにあって、掃除がしにくい場所です。新製品では、熱交換器の凍結洗浄の範囲を拡大して、排水トレーもキレイにします。

  • 排水トレーは、実は汚れがたまりやすい部分です

  • 掃除しにくく、風と水が通るため汚れが蓄積されます

しかし、排水トレーに洗浄機能を備えるには2つの問題がありました。

1つはトレーという特性上、平らな部分があるため、どうしても少しの水がトレーに残ってしまうのです。水はカビやぬめりなどの原因になります。

もう1つは、排水トレーは熱交換器のすぐそばにあるため、凍結洗浄を搭載したくても、凍らせるための装置を新たに搭載するスペースの確保が難しいことです。

  • トレーの底面は水平のため、水が流れにくく残りやすいという問題が

この2つの問題を解決するため、日立が採用したのは銅製の排水トレーです。

もともと、凍結洗浄は熱交換器に通っている冷たい冷媒を使って凍らせていました。排水トレーを銅製にすることで、この冷気がよく伝わり(銅は熱伝導率が高い金属です)、新たに装置を入れなくても凍結洗浄が可能になったというわけです。

銅はまた、排水口や三角コーナーにもよく採用されている通り、ぬめりなどの原因になる雑菌が繁殖しにくい素材でもあります。そのためエアコンの排水トレーでも雑菌が繁殖しにくく、いつまでもキレイでいられるというのもうれしいポイントです。

  • 従来のステンレスから、熱伝導率が高い銅製に変更

  • 三角コーナーなどに採用されているように、銅は雑菌によるぬめりを抑えます

しかし、課題がまったくなかったわけではありません。10円玉などでもわかるように、銅は緑青(サビの一種)が出てしまうことがあります。そこで今回の新エアコンでは、トレーに2本の溝を設けて排水しやすくして、さらに乾燥時間を長めにしてしっかり乾かすように。これらの工夫によって、緑青などを抑え、清潔に保ちます。

  • トレーには2本の溝を施しました

  • 排水トレーも自動でキレイに

  • 排水トレーの水の動き

凍結洗浄によるお手入れの頻度ですが、エアコンの累積運転時間が42時間を経過した後に、運転が停止したとき自動で洗浄します。

夏本番を迎える前に「プレシーズンお手入れ」

エアコンを最も使うのは、やはり夏でしょう。今回の新製品では、夏前の試運転をオススメする「プレシーズンお手入れ」機能も新たに搭載しました。

具体的には、フィルター自動お掃除、ファンの自動お掃除「ファンロボ」、熱交換器の自動お掃除「凍結洗浄」運転を行います。故障を自己診断し、異常の場合はランプで知らせてくれる機能です。

「エアコンの修理と販売のピークは夏に集中します。プレシーズンお手入れ機能によって調子が悪い部分を早く見つかれば、仮に修理や買い換えが必要な場合でも、ピークを避けて修理を依頼したり買い換えたりできます」(同社エアコン担当者)とのこと。プレシーズンお手入れ機能は積極的に使いたいところですが、工場出荷時には設定されていないため、購入後に自分で設定する必要があります。

  • エアコンの使用が長くなる夏前に自動で点検します

暖房の季節のオススメ機能は?

さて、これからの暖房シーズンを迎えるにあたって、日立のエアコン担当者に、オススメ機能を教えてもらいました。

「日立のエアコンは、『くらしAIカメラ』によって人の足元をセンシングして暖房を調整しています。人の足元を中心に暖め、足元と室温を安定させます。その後、人の顔に温風が当たらないよう、人を包み込むように暖めているので、足元は暖かくすごせます。暖房をする人のいる位置しっかりみはり、3つに分かれたフラップを使って細かく気流を調整するので快適ですよ」(日立のエアコン担当者)

足元がしっかり暖まるのはうれしいですよね。

結露を抑制する「けつろ抑制除湿」も冬に便利な機能です。寝る前に、暖房を止めてから「けつろ抑制除湿」をセットすることで、除湿運転を2時間行なってから自動停止します。外気温が1℃から使え、室内の結露を抑制するとしています。既に結露した水滴を減らす効果はありませんが、結露の予防として活躍しそうです。

  • 除湿機能を活用して、結露の抑制が期待できます

  • 「つつみこみ暖房」なら風を感じず快適に

今まで注目されていなかった部分もキレイにする日立のこだわりに感動

話題が前後しますが、エアコン(室内機)の排水トレーは熱交換器のそばにあるため、本体のパネルを開けただけでは見えません。業者にエアコン掃除を依頼した場合でも、分解する必要があるため、なかなか掃除がいきとどかない場所です。

今回、日立は排水トレーもキレイにすることで、フィルター、熱交換器、ファンも含めて、室内機の見えない場所まで清潔性を追求したといえます。これから冬にかけて、部屋の中で過ごす時間も増えます。清潔性に安心できるエアコンなら、家の中で気持ちよく過ごせそうです。

  • 新製品から白くまくんのロゴとデザインがリニューアル。モダンな感じになりました