バーチャルで開催される「インテル PC FES 2020」

インテル株式会社は9月25日~27日の日程でオンラインイベント「インテル PC FES 2020」を開催する。その開幕初日、同社の鈴木国正社長、井田晶也氏、安生健一朗氏によるオープニングキーノートが行われた。

  • インテル PC FES 2020のタイムテーブル。コンテンツは後日アーカイブ視聴も可能になる

    インテル PC FES 2020のタイムテーブル。コンテンツは後日アーカイブ視聴も可能になる

鈴木氏は冒頭、先日発表されたインテルのロゴ刷新の説明をしつつ、今世の中ではコロナ禍に伴い、テレワークでのパソコン利用時間が増えたこと、テレワーク中に購入したものの第一位がパソコンだったことを紹介。

  • インテル株式会社 代表取締役社長の鈴木国正氏

  • 富士通クライアントコンピューティングの調査結果。テレワークに伴いパソコンが注目された事を如実に示している

パソコンの重要性が増していると一般的に認識されていることから、スペックだけに留まらず、総合的な実使用感の体験を高める取り組みとして、昨年発表したProject Atenaから、新たに「インテルEVOプラットフォーム」が生まれたと紹介。第11世代Coreプロセッサーを使うことによって、「非連続的な跳躍」が生まれると紹介した。

  • 第11世代Coreプロセッサーの登場はPC体験の飛躍的向上をもたらすという。そういえば今回のロゴ変更の前、2006年のロゴ変更時のタグラインは「Leap ahead」(日本では「さあ、その先へ」)でしたね

次に登壇したのはインテル株式会社 執行役員 パートナー事業本部 本部長 兼 クライアント コンピューティング事業統括の井田晶也氏だ。インテルは1971年に最初のマイクロプロセッサi4004が登場してから50年近くにわたり、継続的にパーソナルコンピューターの世界を進化させてきたと話す。

  • インテル株式会社 執行役員 パートナー事業本部 本部長 兼 クライアント コンピューティング事業統括の井田晶也氏

インテルでは現在、ユーザーの利便性を向上させるためにハードウェアを作るだけでなく、1,200万人以上のソフトウェア開発者や、数千社に及ぶISVに対してアプリケーションの開発支援を行っている。

一例として、最近は特に需要が高まるビデオ会議のアプリケーションにおいて、代表的なwebex、zoom、teams、meetなどに対して、それらすべてが最大限の能力を発揮できるようにサポートしているという。

  • Intel全体として快適なPC体験のためにアプリケーション開発者、ISVへのサポートを行っている

  • インテルはコンシューマーPCのエコシステムを構築するための関係を強化

ノートパソコン用の第11世代Coreプロセッサーとして登場する「Tiger Lake」は、前世代のIce Lakeと比較しても20%以上の性能向上となっているそうだ。井田氏も自身で試作機を使ってみたところ、Officeアプリケーションだけでなく、画像処理やゲームでもハッキリとわかるぐらいの性能向上が体感できたと感想を述べていた。

さて、今回のインテル PC FESでは、コロナ禍でのクリエーション活動として、ヤマハのオンライン遠隔合奏サービス「SYNCROOM」を使用しリモートでのライブセッションを行うことになってる。また、教育機関三校と協業したクリエイティブコンテストを来月から開催する。

  • 9月27日に行われる「ORICON MUSIC PRESENTS Yamaha SYNCROOM × GLIM SPANKY オンラインセッション supported by Dynabook」では、GLIM SPANKYがYamaha SYNCROOMを使用した新曲の遠隔セッションを実施する

  • ヤマハ ブランド戦略本部 副本部長 マーケティング統括部 統括部長の大村寛子氏

  • GLIM SPANKYのお二人。コロナ禍でスタジオ入りするのも難しい状況でSYNCROOMを使ったが、楽しくセッションできたとコメント

  • ORICON NEWS WEBプロデューサーの磯野和英氏

  • 来月より教育機関の協力を得て、クリエイティブコンテストを実施する。課題等は来月発表予定

  • デジタルハリウッド大学 学長の杉山知之氏

  • 学校法人角川ドワンゴ学園 N高副校長の吉村総一郎氏

  • 株式会社バンタン 取締役の吉村忠樹氏

インテルでは今後もリモートワークに関してはプラットフォームによって利便性を強化していく。Tiger LakeではAIを快適に利用するための拡張命令や専用ユニットを使うことで安定した接続と音声を実現でき、コラボレーションを促進できるという。

文科省が推進する小中学生を対象とした「GIGAスクール構想」に協力していることはもちろん、その先の高校生や大学生のBYODの環境整備を行うことでITを利用した競争力の底上げに貢献していることもアピールしていた。

  • ビジネスマンはAI機能の強化でビデオ会議をより快適に、高等教育に対してはBYODによるIT利用拡大で教育レベルの底上げを図る

人気ゲームが"ウスカル"ノートで遊べる「飛躍」。ゲーム認証制度も

オープニングキーノートの最後には、インテル株式会社 技術本部 部長 工学博士の安生健一朗氏が登壇し、「Tiger Lake」と「インテルEVOプラットフォーム」がもたらす高い性能が、ウスカルノート(薄くて軽いノートパソコン)に新たなユーセージモデルをもたらすと紹介した。

  • インテル株式会社 技術本部 部長 工学博士の安生健一朗氏

第11世代CoreにあたるTiger Lakeに関しては、「第8/9/10世代と続いてきたこれまでの継続的な向上ではなく、飛躍的な進化があった」と発言。Tiger Lakeを使用することでユーザーのPC利用感は飛躍的に向上するとし、ウスカルノートの中身がTiger Lakeになることで、「単なるウスカルノートではなくなる」と述べる。

Tiger Lakeは改良された10nm Super FinプロセスによってCPU性能が向上しただけでなく、前世代比で最大2倍の性能をもつIris XeグラフィックスとAI機能の向上で、PC使用感を全体的に向上させたと説明する。

  • Tiger Lakeは大きな性能飛躍がCPU/GPU共に入っただけでなく、Thunderbolt 4やPCIe Gen4、Wi-Fi 6の統合も含まれている。消費電力設計が7-28Wとなっているのはパッケージ違いを含めたTiger Lake全体の数値だろう

Tiger Lakeの上位製品に搭載されるIris Xeグラフィックは、低消費電力向けのXe-LPマイクロアーキテクチャーを採用し、演算ユニットは最大96EUと従来比1.5倍に増やし、さらに動作周波数も最大1.35GHzと引き上げられた。また、GPU部をAI推論に使う事を想定して、8ビットベクタユニット(DP4a命令)を内蔵している。

  • GPUアーキテクチャも従来から大きく刷新され、Xe-LPマイクロアーキテクチャを採用し、AI向けユニットも内蔵している

Tiger Lake搭載を前提としたインテルEVOプラットフォームは、従来のProject Athenaを第2世代に進化させたものと言えるもので、ノートパソコン全体の総合的な性能体験を引き上げる事を目的としている。

安生氏はEVOプラットフォームについて、「ノートパソコンのtop-of-the-top(最上級)を目指している」と発言。「パソコン業界エコシステムの英知を結集したもの」になるという。

  • インテルEVOプラットフォームに準拠するノートパソコンでは、Iris Xeグラフィックを内蔵する第11世代Core i5/i7を採用するほか、様々なユーザー体感に関する指標をクリアしていることが求められる

  • インテルEVOプラットフォームの要求項目詳細

そしてTiger Lakeの性能を見せる比較デモも数多く披露された。なかでもIris Xeグラフィックスの性能の高さは非常に強調されており、実際のゲームプレイにおけるパフォーマンスが次々に紹介されていた。

  • 第11世代Coreプロセッサー(Tiger Lake)の性能比較。Adobe Premiere ProによるビデオエンコードではAMD Ryzen 4800U比で半分の時間でできる

  • CPUやGPUとは別に用意されたGNA(Intel Gaussian & Neural Accelerator)による、AI処理を利用したTeamsでのビデオ会議デモ。会議中、後ろで掃除機をかけられてもその音が参加者に聞こえないといった処理をしている

  • "ウスカルノート"でのゲーム対決。Gridを動かすと、AMD Ryzen 4800Uや第10世代Core+NVIDIA GeForce MX350を搭載したこれまでの"ウスカルノート"では35fps程度なのに対し、Tiger Lakeの"ウスカルノート"なら55fpsを実現する

  • 別のリアルタクティクスゲームを動かしてもTiger Lakeなら60fpsに近く、実用的にゲームを楽しめる

  • 従来のウスカルノートでは考えられなかった重めのゲームも実用的に楽しめる上、ワーク、クリエイティブ、ネットでも大幅な性能向上とアピール

  • ほかにも多くのゲームタイトルを試している

ゲームタイトルに関しては、新たにIris Xeグラフィックスの検証プログラムも開始する。インテルがPCメーカーの性能検証をサポートすることで、ゲームメーカーとPCメーカーが共同で活動しやすくする。国内ではまず4ゲームメーカーが賛同し、今後も増やしていく予定となっている。各メーカーのプロデューサーらがこれについてメッセージを寄せていたが、ウスカルノートでありながら「少し前のデスクトップパソコンやコンソールゲーム機並の性能が得られている」と発言しており、PCゲーム市場のすそ野を広げる期待がうかがえる。

  • ゲームメーカーやPCメーカーと協業してゲーム体験を向上。これによってゲームタイトルの動作検証済パソコンとして共同販促活動にも繋げられる

  • 日本国内で検証サポートプログラムに賛同する4社。今後も増える予定

  • 株式会社バンダイナムコエンターテイメント エグゼクティブプロデューサーの原田勝弘氏

  • 株式会社コナミデジタルエンタテインメント 「eFootballウイニングイレブン」シリーズプロデューサーの木村征太郎氏

  • 株式会社セガ 「龍が如くスタジオ」プロデューサーの佐藤大輔氏

  • 現時点での日本のゲームメーカーによるIris Xe認証済ゲームタイトル

  • 現時点での海外での認証済ゲームタイトル。こちらも人気タイトルが並ぶ

ほか、AI活用に関しては第11世代CoreプロセッサにはCPUのVNNI、GPUのDP4a、専用プロセッサのGNAといった3種類の拡張が含まれており、OpenVINOツールキットを使うことで適切な拡張機能を使用することができるという説明があった。

  • AIを利用したワークフローと言う事で、モノクロ写真をカラー化→超解像度化→タグ付け処理

  • (カラー化はあまり差が出なかったが)ライバル製品に超解像度では5.6倍、タグ付けは1.7倍の速度差を付けている

  • Tiger Lakeには複数のAIサポートが含まれており、タグ付けにはVNNI、超解像度ではDP4aとワークロードに応じて使い分けることができる。GNAはビデオ会議のノイズ除去等に使用していた

  • DP4aはINT8をサポートして4倍の性能差、VNNIは1.7倍になったという。音声等に使われるGNAはバージョンが上がったが具体的な性能差について言及がなかった

安生氏は最後に、Tiger Lake搭載ノートパソコンとしてASUSがお披露目したばかりの製品と、試作品というdynabook/富士通パーソナルコンピューティングのTiger Lake搭載ノートパソコンの実機を公開して見せた。今回はオンラインイベントと言うことで、実機があっても触れられないのが悲しい所だが、新製品は今後続々と登場してくるということなので、期待して待っていたい。

  • Tiger Lake搭載ノートパソコンを3モデル紹介。ASUSのZenBook Flip S UX371と、dynabook/富士通クライアントコンピューティングが開発中の試作機だ