シャープから5Gスマートフォン「AQUOS zero5G basic」と「AQUOS sense5G」、そして人気スマートフォンの最新モデル「AQUOS sense4」「AQUOS sense4 plus」が発表になりました。

まだ販売価格や取り扱うキャリアは明らかにされていませんが、AQUOS zero5G basicとAQUOS sense5Gはいずれもミドルレンジ向けのチップセットを採用していて、比較的手に取りやすい5Gスマートフォンとなりそうです。今回のラインナップには、QR決済用のコードをワンタッチで呼び出せる新機能が搭載されているのも、注目ポイントです。

  • ミドルレンジの5Gスマートフォン「AQUOS zero5G basic」(左)と「AQUOS sense5G」(右)

  • ゲームに強い「AQUOS zero2」の機能はそのままに、より使い勝手を追求したAQUOS zero5G basic

  • AQUOS sense4とまったく同じサイズで5Gに対応。コンパクトで手に取りやすいAQUOS sense5G

  • 300万台を出荷した「AQUOS sense3」の後継機で、CPUやバッテリー容量がパワーアップしたAQUOS sense4

  • 約6.7インチの大画面モデル、AQUOS sense4 plusは単なるサイズ違いではなく、4眼カメラなど独自仕様を採用

AQUOS zero5G basicは、スマホで動画やゲームを楽しみたい一方で、価格とのバランスも重視する人をターゲットに開発されたモデル。ゲーミング性能が注目されたAQUOS zero2と同様に、10億色の色表現が可能な約6.4インチ有機ELディスプレイを搭載し、リフレッシュレート、タッチサンプリングレートのいずれも240Hzに対応しています。

  • リフレッシュレートの違いを紹介するデモを高速連写しました。240Hzは通常の60Hzに対して約4倍のスピードで書き換えを行うため、60Hz(右)に比べて残像が少なくなっています

CPUには、ミドルレンジ向けながら高いパフォーマンスが評価されているQualcomm Snapdragon 720Gを採用。スマホ本体は3枚のグラファイトシートで熱をすばやく分散する仕組みや、緻密なCPU電力制御を行うなど放熱性能にもこだわっていて、CPUのパフォーマンスが落ちない工夫がされています。このほかGPSもデュアルバンド対応となっているので、位置情報ゲームをプレイするのにも良さそうです。

  • ゲームプレイ中の端末に触れてみましたが、やや温かくはあったものの、局所的に熱を帯びているようなことはありませんでした

カメラはAQUOS初のナイトモードに対応した約4,800万画素の標準カメラ(F1.8、35mm換算で26mm相当の焦点距離)に、約1,300万画素125度の超広角カメラ(F2.4、35mm換算15mm相当)、約800万画素(F2.4、35mm換算79mm相当)で光学3倍の望遠カメラという、3眼カメラを搭載。標準&超広角カメラを組み合わせて、背景をぼかしたポートレート撮影もできます。このあたりはぜひ、後日実機で試してみたいところです。

  • AQUOS zero5G basicの3眼カメラ構成。真ん中に約4,800万画素という高精細な標準カメラが配置されています

  • ナイトモードはAIオートで自動的に切り替わるので、モード設定は不要です。暗所にある写真にピントをあわせるデモでは、新たに採用されたオートフォーカス「新ハイブリッドAF」の速さも実感できました

AQUOS zeroシリーズでは140g台という軽さが大きな特徴のひとつとなっていましたが、AQUOS zero5G basicは約高さ161×幅75×厚さ9mm、重さ約182gと、軽いとは言えないサイズ感になっています。機種名の「basic」には、軽さよりも充実した基本性能にこだわったモデルという意味が込められているとのこと。今のところ構想はないとのことでしたが、軽さを追求した「basic」のつかない5Gモデルの登場も期待したくなります。

  • ヘッドフォン端子を備えるほか、microSDカードにも対応。画面内指紋センサーに顔認証、IPX5・IPX8の防水性能にIP6Xの防塵性能、4,050mAhの大容量バッテリーなど、基本性能が充実しています

  • 「AQUOS R5G」と持ち比べてみたところ、ほぼ同じサイズ感でした。ゲーム性能などはAQUOS zeroシリーズを引き継ぎつつも、軽さよりも使いやすさにこだわったモデルと言えそうです

  • カラーはホワイト、ブラック、ブルーの3色で、8GBメモリと128GBストレージ、6GBメモリと64GBストレージの2モデルで展開。2020年秋以降に発売予定です

定番にもなった「AQUOS sense」シリーズから新モデル

累計800万台を出荷しているという人気の「AQUOS sense」シリーズには、新たに3機種がラインナップに追加されました。AQUOS sense4は「AQUOS sense3」の、AQUOS sense4 plusは「AQUOS sense3 plus」の、それぞれ後継モデルとなっています。

AQUOS sense4は約5.8インチフルHD+のIGZOディスプレイを搭載。ドロップ型のノッチを採用したディスプレイの下には指紋センサーが搭載されているほか、顔認証にも対応しています。

カメラは約1,200万画素の標準カメラ、広角カメラに、約800万画素の望遠カメラが加わって、前モデルの2眼から3眼になりました。サイズは約高さ148×幅71×厚さ8.9mm、重さ約176g(暫定値)とAQUOS sense3からあまり変わっていませんが、一方でバッテリーは4,570mAhと大容量になり、電池持ちも良くなっています。持ちやすいサイズ感、使いやすさはそのままに、カメラ、チップセット、バッテリーなど、基本性能を向上させた正統進化モデルと言えます。

  • 約1,200万画素の標準カメラ(F2.0、24mm相当)、約1,200万画素121度の広角カメラ(F2.4、18mm相当)、約800万画素光学2倍の望遠カメラ(F2.4、53mm相当)という3眼カメラを搭載するAQUOS sense4。このカメラ構成はAQUOS sense5Gも同じです

一方のAQUOS sense4 plusは、約6.7インチHD+の大画面液晶を採用。動画やゲームを楽しみたい人に向けて、リフレッシュレート90Hz、タッチサンプリングレート120Hzに対応するほか、ステレオスピーカーも搭載しています。画面が大きくなった分、サイズも約高さ166×幅78×厚さ8.8mm、重さ約198g(暫定値)と、AQUOS sense3 plusより一回りほど大きくなりました。

AQUOS sense3とAQUOS sense3 plusはサイズ違いの姉妹モデルといった感じでしたが、メタルボディを採用するAQUOS sense4に対し、AQUOS sense4 plusは樹脂ボディで、指紋センサーも背面に配置されているなど、デザインが大きく異なっています。

カメラも特徴的で、約4,800万画素の高精細な標準カメラを搭載するほか、広角カメラ、マクロカメラ、深度カメラの4眼へと進化。さらにインカメラにも深度カメラが加わって2眼となっています。

  • 約4,800万画素の標準カメラ(F1.8、25.3mm相当)、約500万画素115度の広角カメラ(F2.2、16.7mm相当)、約200万画素のマクロカメラ(F2.4、24mm相当)、約200万画素の深度カメラ(F2.4)の4眼カメラを搭載。標準カメラを中心として、撮影したいシーンに応じて他のカメラが補う構成と言えます

  • AQUOS sense4(左)とAQUOS sense4 plus(右)は、IPX5・IPX8の防水とIP6Xの防塵対応や基本的な使いやすさは共通しているものの、見た目も性格も異なるスマートフォンとなっています

  • 約5.8インチのAQUOS sense4(左)と、約6.7インチのAQUOS sense4 plus(右)。AQUOS sense4はIGZOディスプレイですが、AQUOS sense4 plus」にはIGZOではない液晶が採用されています

  • AQUOS sense4(中央)、AQUOS sense4 plus(右)のどちらも、CPUには「Qualcomm Snapdragon 720G」を採用。AQUOS sense3(左)に比べて約2.2倍スピードアップしているとのこと。デモ展示されていたベンチマークスコアもまったく違っています

  • AQUOS sense4は、ブラック、ライトカッパー、シルバーの3色。4GBメモリに64GBストレージで、2020年秋以降に発売予定です

  • AQUOS sense4 plusは、ブラック、パープル、ホワイトの3色。8GBメモリに128Gストレージで、こちらも2020年秋以降に発売予定です

AQUOS sense5Gは、AQUOS senseシリーズで初めて5Gに対応したモデルです。ディスプレイやカメラ、バッテリー容量、サイズなどの基本的な仕様はAQUOS sense4とほぼ同じですが、CPUに最新のQualcomm Snapdragon 690 5Gを搭載しています。

このチップセットは、同じ周波数を4Gと5Gで共有する「Dynamic Spectrum Sharing(DSS)」という仕組みに対応しているのが特徴。DSSはauとソフトバンクが導入予定なので、両者での取り扱いが期待されます。発売は2020年冬以降でおそらくは2021年の春ごろと少し先になるようですが、そのおかげもあってOSには最新のAndroid 11が採用されます。また、この最新OSを生かす新機能も用意されています。

コンパクトで手に持ちやすいAQUOS sense4のサイズ感や使い勝手はそのままに、5Gに対応。最新OSを搭載するなど長く使えるモデルになりそうです

  • アンテナの線以外はほぼ同じ見た目のAQUOS sense4(左)とAQUOS sense4(右)。サイズもまったく同じで、ケースなども共有できるとのことです

  • 自宅に帰ると自動的にテザリング機能がオンになってWi-Fi機器をつなげられる「デザリングオート」や、簡単に2画面分割表示にできるなどの新機能が搭載されています

  • カラーはオリーブシルバー、ライトカッパー、ブラックの3色。4GBメモリに64GBストレージで、2020年冬以降の発売予定です

冒頭にも書いたように、今回発表された4機種にはいずれもQR決済用のコードをワンタッチで呼び出せる新機能「Payトリガー」が搭載されています。

これは指紋センサーの長押しでQRコードを表示できるというもので、スマホを起動して、アプリを立ち上げて、QRコードを開いて……という面倒な手順を一気に省略できます。ピッと決済できるおサイフケータイに対して、QRコード決済はこの手順のおかげでレジ前でもたもたすることが多いので、ぜひ他のスマホにも搭載してもらいたいところです。

  • 指紋センサーを長押しするだけで、あらかじめ設定したQRコード決済用のQRコードを表示できます

【動画】AQUOS zero5G basicを使ったデモ動画。画面内指紋センサーを長押しすると、すぐにQRコードが開きました