疑問点をまとめてチェック

仕組みはきわめてシンプルですが、「本当に問題なく使えるの…?」と感じる人も多いでしょう。いくつかの疑問点をまとめて検証してみました。

コネクターは熱は持つ?

最大100Wもの充電に対応するとなると、充電時にコネクターが相当熱くなるのではないかと心配になります。80Wクラスの充電に対応したMacBook Proで試したところ、コネクターはある程度熱を持つものの、触れられないほど熱くはなりませんでした。亜鉛合金製としたことで効率的に放熱でき、熱が蓄積されにくいのではないかとみられます。

  • 80Wクラスの充電に対応したMacBook Proの充電中も、触れないほど熱くなることはなかった

隣接するコネクターに干渉する?

MagThunder Xのコネクターは約17mmとやや幅があり、隣接するThunderbolt 3端子をふさいでしまわないかが気になりました。MacBook ProとMacBook Airで試してみましたが、どちらも手持ちのThunderbolt 3ケーブルはどれも干渉せずに差し込めました。MagThunder Xは絶妙なサイズに仕上げてきたという印象です。

  • MagThunder Xを装着していても、隣接するThunderbolt 3端子はほぼ問題なく使えそう

ちなみに、Amazonなどで売られている同種の製品は、ケーブル側のコネクターが90度曲がったL字構造になっていて、隣接するThunderbolt 3端子をふさいでしまうものが多いようです。

それぞれのコネクターのみ単品で買える?

使い込んで「これは便利だ!」と感じると、複数のMacBookで使いたいので本体側のコネクターだけ欲しい、逆にケーブル側のコネクターだけ欲しい、と考える人も出てくるはず。販売元のアシカン(Tokyo Mac)によると、現時点では単品での販売は実施していないものの、今後取り扱いを開始する予定があるとのことです。WebサイトやSNSでの告知をチェックしておきましょう。

コネクターの出っ張り具合は気になる?

本体側のアダプターを装着すると6mmほど出っ張ります。こちら側の端子は凹んでいるため、内部の端子が曲がったり破損することはなく、装着したまま持ち運んでも基本的には問題ないと感じます。しかし、出っ張ったアダプターは直角の鋭い形状で、何か堅いものに引っかけるとMacBook本体やThunderbolt 3端子にダメージを与える可能性もあり、その点は留意する必要があるでしょう。

充電しながら安定したデータ通信はできる?

MagThunder Xを介してUSB Type-Cハブを接続し、そこにUSB Type-C接続のフルサイズミラーレスやHDMI接続のフルHDディスプレイ、SDメモリーカード、キーボード&マウス、有線LANケーブルをつないでいろいろ試してみましたが、いずれもまったく問題なく利用しながら充電もできました。Thunderbolt 3接続やDisplayport接続の高解像度ディスプレイは用意できなかったので、残念ながら試していません。

  • データ通信も問題なくできる。USB Type-CハブにMagThunder Xを装着してもよさそう

安全性は問題ない?

大電流が流れる100Wクラスの高速充電に対応するとなると、心配になるのが発熱や発火などの安全性です。この点については、過電流が流れた際に回路を保護する独自の技術を搭載しており、ちゃんと対策が施されているといえます。

アダプターの端子部に砂鉄や金属くずなどの細かな金属が付着し、ショートしないかも気になるところ。しかし、アダプターの磁石は楕円形になった周辺部に内蔵されていて、砂鉄などはそちらに吸い寄せられ、一段低い位置にある端子部には付着しづらくなっているようです。異物が付着していないかを目視で確認してから接続するようにすれば、基本的に安心して使えるでしょう。

製品が2種類ある理由は?

MagThunder Xは、2015~2018年のMacBookシリーズに対応した製品と、2019~2020年のMacBookシリーズに対応した製品の2種類を用意しています。販売元のアシカンによると、両者はThunderbolt 3端子の形状が若干ながら異なるため、MagThunder Xもそれぞれに対応した製品を用意したそうです。

今回、2019~2020年モデル対応版を2016年モデルのMacBook Proで使ってみましたが、基本的に問題なく利用できました。ただ、本体側のアダプターがゆるいようで、ケーブルを引っ張ると本体側アダプターごと抜けてしまうことがありました。今後、機種を問わずに利用できる改良版をリリースする計画もあるそうなので、期待していましょう。

2019~2020年モデル対応版を2016年モデルのMacBook Proで使ったところ、ケーブルを引っ張ったら本体側アダプターごと抜けてしまった

「電源ケーブルによく足をひっかけてMacBookを落としそうになる」というおっちょこちょいな人でない限り、MagThunder X導入の最大のメリットは「ケーブルを近づけるだけで手探りの必要すらなく接続できる」ことになりそうです。この点に価値を見い出せれば、購入する価値は十分にあると感じます。とはいえ、税込みで6,000円近い価格は手が出しづらいのも事実。もう少しリーズナブルな価格であれば、幅広い層に響く商品になるでしょう。