アップルが、かつてMacBookシリーズで採用していた電源コネクター「MagSafe」をご存じでしょうか? 磁力で本体側の電源端子とACアダプターの端子がくっつく構造で、うっかりケーブルに足をひっかけてもケーブルが簡単に外れ、MacBook本体がテーブルから落下せずに済むメリットがありました。現行のMacBookシリーズは拡張端子がThunderbolt 3(USB Type-C)に統一され、バッテリーの充電もThunderbolt 3経由になったため、MagSafeのメリットは失われましたが、Thunderbolt 3端子をMagSafeと同様の仕組みにするアダプター「MagThunder X」がサードパーティーから登場しました。使い勝手はどうなのか、魅力はどこにあるのか、早速試してみました。

  • Thunderbolt 3端子をMagSafeと同様の仕組みにするアダプター「MagThunder X」

    かつてMacBookシリーズで採用していた電源コネクター「MagSafe」が最新のMacBookでよみがえる「MagThunder X」。使い勝手はいかに?

充電だけでなく高速データ転送にも対応

MagThunder Xは、MacBook本体のThunderbolt 3端子と、ACアダプターなどThunderbolt 3ケーブル側の端子に装着する2つ1組のアダプター。それぞれが強力な磁力でくっついて接続する構造で、MagSafeと同様のメリットをもたらしてくれます。iPad Proでも利用できます。価格は税別5,400円。

  • MagThunder Xは、MacBook本体のThunderbolt 3端子に装着するアダプター(左)と、Thunderbolt 3ケーブル側の端子に装着するアダプター(右)の2つで構成する

電源供給は、最大100WのUSB-PD(20V/5A)の充電に対応しており、MacBook Pro 16インチモデルの急速充電も可能。アダプターを介したからといって、充電性能が損なわれることはありません。

MagSafeにはない特徴が、充電だけでなくThunderbolt 3の高速データ転送にも対応していること。最大40Gbpsの高速データ転送が可能で、DisplayPort 1.2(4K 60Hz)やThunderbolt 3(5K 60Hz)の映像出力にも対応します。

本体は耐久性の高い亜鉛合金製で、手に持つとかなりズッシリとします。Thunderbolt 3の高速データ転送に対応しているからか、本家MagSafeと比べると端子のピン数はかなり多いのが分かります。ピンは一段奥まった場所にあるうえ張り出しは小さく、ピンが折れたりする心配はなさそうです。

  • 本家MagSafeと比べると端子の数は多く、端子のサイズも小さい。楕円形になっている外周部に強力な磁石を内蔵する

ケーブル接続時のストレスを見事に解消!

早速、MacBookシリーズで試してみました。MacBookのThunderbolt 3とACアダプターにそれぞれMagThunder Xを装着し、いざACアダプター側のコネクターを近づけると、シュッと吸い込まれるようにコネクター同士が密着し、充電が始まりました。磁力はかなり強めで、かつコネクター同士の向きがピッタリ合うように設計されており、ケーブルをラフに近づければ見事にくっついてくれます。

  • MacBook本体にアダプターを装着したところ。6mmほど出っ張る

  • ACアダプターに装着したところ。通電時は丸い穴の中にあるLEDが白く光る

  • iPad Proでも使える

【動画】2つのアダプターは、まるで吸い付くようにピッタリ合体する仕組みになっている。この見事な構造のおかげで、ケーブルをラフに近づけるだけで接続できるメリットをもたらしてくれる

接続した状態でケーブルに力を入れると、容易に外れてMacBookはほぼ動かずに済みました。使用感はMagSafe時代のMacBookそのもので、ケーブルに足を引っかけてMacBookが吹っ飛んだり、Thunderbolt 3ケーブルのコネクターが曲がってしまう悪夢とは無縁になります。

【動画】ケーブルを引っ張ると簡単にコネクターが外れた。まさにMagSafeと同じ感覚だ

Thunderbolt 3端子やUSB Type-C端子は手探りでは差し込みづらいため、ケーブルを接続する際はコネクターをのぞき込む必要があり、これが意外とストレスになっていました。MagThunder Xを装着すれば、ケーブルを近づけるだけで瞬時に接続できるのがたまりません。ケーブルに足を引っかけた際にすぐ外れるメリットよりも、MacBookの持ち運びのたびに生じる「電源ケーブル接続のイライラ」から解放されるメリットが大きいと感じました。