グラクソ・スミスクライン(GSK)とVir Biotechnology(Vir)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の早期治療薬として入院リスクが高い高齢者や肺・心臓に基礎疾患を抱えるリスクの高い患者向けに開発を進めている完全ヒトモノクローナル抗体「VIR-7831」を、第2/3相臨床試験として最初の患者への投与を行ったことを発表した。

新型コロナウイルスに対するモノクローナル抗体は、体内における抗体産生を介することなく、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する免疫応答を引き起こすことが期待されている。今回の試験は2段階に分かれて実施され、第1段階として、米国で20名の入院していない患者を対象にVIR-7831もしくはプラセボを500mg、単回静脈内投与し、14日間の安全性と忍容性を評価するもの。第2段階は、入院予防を目的に入院していない、世界約1300名の患者を対象に、VIR-7831もしくはプラセボを単回静脈内投与し、安全性と有効性を評価することが予定されている。

また、研究開発プログラムとして、重症の入院患者に対する治療、ならびに症状を伴う感染症の予防に関する試験の実施も計画されているという。

なお、今回の臨床試験に関する初期の試験結果は2020年末までに、またすべての試験結果は2021年第1四半期に得られる予定で、早ければ2021年上半期に実用化の見込みだとしているほか、2020年中にも、別の新型コロナウイルス中和抗体「VIR-7832」の第2相臨床試験も開始する予定だとしている。