64年間の長い歴史がある

製品説明に先立ち登壇したマクセルイズミ 代表取締役社長の乘松幸示氏は、「マクセルイズミには1956年から事業を展開してきた長い歴史があります。電動シェーバーに関しては64年間にわたって国内外で開発・販売し、信頼と実績を築き上げてきました」と、これまでの経緯を紹介。今回の2020 Vシェーバーからは、製造をマクセルイズミ、販売をマクセルが担当することで、さらに販売を強化させていくと述べました。

  • マクセル執行役員 兼 マクセルイズミ 代表取締役社長の乘松幸示氏は「シェーバーといえばIZUMI、と言われるような信頼を得るべく努力していきたい」

シェア増加の要因は? 今後の展望は?

マクセルイズミ 家電事業部 事業部長の吉池義昭氏に、新製品の開発話や今後の展開について詳しく聞きました。

  • 家電事業部 事業部長の吉池義昭氏

―― IZUMIシェーバーの国内台数シェアが業界3位に躍進しました。その要因は?

吉池氏:認知度が上がってきたため、と考えています。2015年にVシリーズをスタートして以来、地道に新製品発表会などを実施してきました。少しずつ、お客さまのニーズにマッチする製品も出せてきました。

―― 具体的には、どのようなニーズでしょうか。

吉池氏:初期のころ、IZUMIのシェーバーは「コストパフォーマンス」を追求していました。ブランド力で劣っていたので、低価格帯の製品をラインナップのメインに据えたんです。次に「スタミナNo.1」という合い言葉で、約4週間持つ電池持ちを特徴にしました。

その後、ハイエンドモデルに関しては「替刃交換が3年間必要なし」をうたいました。スタミナと替刃交換は、お客さまのニーズが高い要素。そこで注目いただき、有名ブランドよりも価格を抑えたIZUMIのシェーバーに「お得感」が出たのだと思います。

  • じわじわと認知度を上げてきた、IZUMIのシェーバー

―― マクセルとのシナジーは、やはり電池持ちの部分でしょうか。

吉池氏:いろいろと考えられるところです。例えば、今までIZUMIが独自でやってきた販売網だけでなく、新たなチャンネルで拡販できるようになりました。また、マクセルグループの持っている様々な技術も活用できるので、今後の開発に活かしていきます。

―― 実際に、吉池さんが新製品を使ってみた感想は?

吉池氏:肌に密着しますね。6枚刃は、いわば3枚刃を2列にしたもの。非常にバランスのよいシェーバーができたと自負しています。真ん中のトリマーが、長いヒゲや曲がった癖ヒゲを短く剃る。そうした刃を2枚搭載したことで、効率がよくなったんです。

―― 新製品は刃が6枚に増えました。今後、さらに刃が増えていくのでしょうか。

吉池氏:よく言われるんです(笑)。たぶん、これ以上増やしたら、アゴ下などに密着しづらくなるのではないかと思います。

  • 内刃と外刃は一体型で、取り外せる仕様

―― ハイエンドモデルでは、内刃と外刃が一体の構造になっていますね。

吉池氏:従来モデルでは、内刃と外刃が分かれていました。それだと、押し込んだときにバネ圧がかかり、テンションが勝ってしまう。モーターに負荷がかかりますし、追従性も悪くなります。でも一体型なら、押し込んでも同じ荷重をずっと維持できます。追従性のよさにつながり、刃の寿命も長くなります。強くあてて使うと、刃が摩耗するのも早いんです。

―― 使い始めと3年後で、刃の消耗度合いは、どれくらい違うんでしょう?

吉池氏:3年くらいでは思ったほど消耗しないことが分かりました。数ミクロンというレベルです。実は切れ味も、ほとんど変わりません。3年を保証するために、さらに長い経年変化をテストしています。余裕を持って「3年保証・3年間替刃交換不要」と言っているわけです。

電池(バッテリー)に関しても、充電と放電のサイクルが早いほど老朽化が進みますが、2時間の充電で約4週間も使用できれば、電池にかかるストレスを最小限に抑えられます。お客さまからは、あまりに長い期間充電しなくて済むので、充電コードがどこかにいってしまう、というお声をいただきました(笑)。

―― 充電規格をUSB PD(Power Delivery)に対応させる考えはありますか?

吉池氏:そうしたニーズもあるので、考えているところです。

―― ありがとうございました!

  • 吉池氏は、シェアのさらなる拡大を目指していきたいと意気込みます