ミドルクラスとしては高い性能

続いて性能面をチェックすると、チップセットにはクアルコムのミドルハイクラス向け「Snapdragon 765G」を採用。RAMは6GB、ストレージは128GBで、microSDスロット(最大1TB)もあります。

a1が低価格である大きな理由の1つが、5G端末で一般的な「Snapdragon 865」よりグレードが落ちるチップセットを採用していること。実際のところ、どれくらい性能に違いが出てくるのでしょうか。

チップセットの性能が大きく反映されやすいゲームで比較してみると、例えば「PUBG Mobile」では設定できる画質が「HD」までとなっています。Snapdragon 865を搭載する5Gスマホでは、その1つ上の画質となる「HDR」の設定が可能なことから、やはりある程度の性能差はあるようです。

  • 「PUBG Mobile」の設定画面を確認すると、「HD」までの設定が可能。ミドルクラスとしては高い画質でのプレイが可能なことが分かる

とはいえ、ミドルクラスのスマホはその下となる「標準」までしか選べないことが多いことから、ミドルクラス端末の中では高い性能を持つといえるでしょう。ゲームをプレイするのでなければ、カメラの処理で少し時間がかかることはあるものの、通常の操作で遅さや引っかかりを感じることはありません。不便のない性能は実現できているといえそうです。

バッテリーは3,900mAhと、比較的大きな容量を持っています。USB PDやQuick Charge 4+による急速充電にも対応しますが、充電器は付属していないので別途購入が必要。ワイヤレス充電には対応していません。

  • バッテリーの設定画面では、細かな省電力の設定も可能。事前に設定したアプリを使ったとき、5Gに接続する「5Gパワーセーバー」などの機能も

Wi-FiはIEEE802.11a/b/g/n/ac準拠で、2.4GHz帯と5GHz帯をカバーしていることから安心感は高いでしょう。ただし、防水・防塵性能やFeliCaに対応していない点は、それらを搭載したモデルから買い替えることを考えると残念な部分です。

5G通信を堪能するにはエリア整備を待つ必要あり

ここまでさまざまな機能・性能を見てきましたが、a1の最大の特徴はこの価格で5Gに対応していることではないでしょうか。a1はKDDIが使用している5Gの周波数帯のうち、「サブ6」と呼ばれる6GHz以下の帯域をカバーしており、理論値で下り最大2.1Gbps、上り最大183Mbpsの通信が可能となっています。

では実際のところ、a1でどこまで5Gを体験できるのかを確認してみましょう。auの5Gエリアはまだ非常に狭いことから、地図上で確実に5Gのエリアになっている場所に向かいます。東京の山手線沿線では目白駅がauの5Gエリアとなっていることから、目白駅の付近で5G通信を確認してみました。

  • KDDIのauサービスエリアマップから。山手線の駅でもエリア化されている場所は少なく、地図上で確実にカバーしていると見られる目白駅でテストしてみることに

正直なところ、エリアになっている場所でも5Gの電波を拾うのが相当難しい印象です。目白駅の周辺や駅構内、ホームに至るまで、カバーされていると見られる場所を一通り歩き回ってみたのですが、5Gが入る場所はピンポイントな場所に限られ、5Gに接続できるタイミングも安定しませんでした。

通信速度を確認するためスピードテスト用のアプリを使用すると、十数秒前後で4Gに切り替わってしまって5Gの実力を知ることはできず、「使える」とは言い難い状況でした。筆者の経験上、5Gの電波が安定した場所ではかなり高速な通信ができるのですが、今回はそうした場所を発見できなかったのが原因といえそうです。

  • 「Speedtest.net」を使って測定。5Gの接続確認後に測定を開始しても、十数秒程で4Gへの接続に切り替わり、測定完了まで5G接続を維持できなかった

エリア化されているという場所でもこのような状態なので、どこでも5Gでつながるようになるには相当の時間がかかると考えられます。a1を購入しても高速通信を満喫できるようになるのは、当分は先と思っていたほうがよさそうです。

とはいうものの、a1のハード自体はミドルクラスとしては性能が高く、カメラの使い勝手に改善が必要な印象はあるものの、高いコストパフォーマンスで普段使いには十分。特にディスプレイが大きく、ゲームも十分な画質で快適に楽しめる性能を持つことから、コンテンツを楽しむことを重視している人には適したモデルといえます。