室内の段差を自動で乗り越えていく「アクティブリフト」の実力は?

もう1つ、新ルーロの大きな進化点として、機能の「アクティブリフト」が挙げられます。本体の進行方向に備える「フロント3Dセンサー」が段差を検知すると、本体の前方部分がリフトアップして乗り越えるというもの。新ルーロはこの機能のために、タイヤ部分が持ち上がるように構造が大きく変わっています。

【動画】アクティブリフト機能

【動画】アクティブリフト機能(2020年2月10日に行われたパナソニックのメディア向け体験会から)

  • 本体裏面は前方の2カ所にサイドブラシを装備。アクティブリフト機能を備えたタイヤ部分が大きく、溝が深いのが特徴的

この機能の優位性を評価したかったのですが、残念ながら、我が家は段差がないバリアフリーなマンション。これまでのルーロでは引っかかって止まりがちだった薄いマットやラグも、新モデルのMC-RSF1000は乗り越えられるとのことですが、我が家で試した限りは乗り越える前に押し動かす結果に。ラグやカーペットでも、ある程度の重さがあって床に密着していてズレにくいものなら、乗り越えてくれるかもしれません。

我が家では、乗り越えてほしくないところでアクティブリフトが働いてしまうケースが見られました。特に、台座がスロープ状になった家具や家電類が鬼門。従来のルーロや他社のロボット掃除機であれば乗り越えるのをあきらめるようなものでも、がんばって乗り越えようとするあまりに、エラーを起こして止まってしまうことがありました。

  • 我が家で唯一のラグを敷いて、アクティブリフトを確かめる実験をしてみたところ、乗り越えたり、乗り越えなかったり。少しでもラグの端が浮いていると、サイドブラシなどで引っかけてそのまま引きずってしまうことも。マグやラグはしっかりと床に固定されたものであれば、きちんと乗り越えてくれそうというのが実感

また、コード類に関しても、アクティブリフトが仇になっていると見受けられることが。かしこく乗り越えていくときもありますが、コードを段差と認識して本体を持ち上げたときに、サイドブラシに引っかけたり、ときにはレーザー装置がコードに引っかってエラー。そこで掃除前にコードの場所を移動させたり、位置を変えたりしてから、運転することにしました。

段差を認識して本体を持ち上げて乗り越えるというのは、ほかのロボット掃除機にはないチャレンジングな機能です。ただし精度にまだ課題があり、「部屋の片付けが不要なロボット掃除機」とうたうには、さらなる改良と進化を期待したいところです。

  • アイロボットの「ルンバ960」と、ルーロ(MC-RSF1000)を並べるとこんな感じ

センサーのお手入れが大切

ほかに走行性で気になった点としては、充電台に帰還できないケースが多かったこと。また、使い始めはかしこく回避していた障害物に衝突するようになったりと、使い続けるうちになんとなく精度が落ちるように感じました。

この点をパナソニックに問い合わせしたところ、「おそらく生活しているうちにモノの配置が微妙に変わっているので、ルーロの動きも変わってきているのだと思います」とのこと。また、イスの脚の間から脱出できなくなっていたことがあった点について、「本体ギリギリのスペースだと、どうしても物理的に回避動作をしようとすると、ぶつかってしまうケースが出ているのかもしれません」という回答でした。

新ルーロは「走行を覚えているのではなく、掃除のたびに部屋の状況を検知して走行している」とのこと。それゆえに、家具などの配置に多少の変化があってもうまく対応してくれると思っていたので、やはりまだまだ弱点はあるようです。

  • MC-RSF1000のセンサー

また、センサーにホコリがつくと検知性能が下がります。試しにセンサーをお手入れしてみると、充電台への帰還と一部の動きは改善されたことから、センサー部分の汚れが精度落ちの一因になっていたことは確認できました。

お手入れのとき気付いたこととして、センサー部分にホコリが溜まりやすいようにも感じます。たくさんの高精度なセンサーを備えているだけに、通常のロボット掃除機よりもセンサー周りのこまめなお手入れが必要かもしれません。