JR東日本は、2020年3月に開業した山手線の新駅「高輪ゲートウェイ」の駅前特設会場で、鉄道と先進テクノロジー、地方の名産品とフードを集めたイベント「高輪ゲートウェイフェスト」を7月14日から開催します。

イベント内で楽しめる常設アクティビティの中から、NTTドコモが発売したヘッドマウントディスプレイ「Magic Leap 1」と5Gネットワークを組み合わせたバーチャルコミュニケーションのコンテンツを先行体験してきました。

  • 高輪ゲートウェイフェストで行われるMagic Leap 1体験イベント「Future Gateway~未来とつながる5G×XR~」

    高輪ゲートウェイフェストで行われる、Magic Leap 1体験イベント「Future Gateway~未来とつながる5G×XR~」

5GでMagic Leap 1が楽しめる初の体験イベント

高輪ゲートウェイフェストは7月14日から9月5日までの55日間、JR高輪ゲートウェイ駅前特設会場で開催される体験型イベントです。新型コロナウィルス感染症への対策として、イベント会場への入場はWebサイトからの事前完全予約制。また運営スタッフの衛生対策を徹底するとともに、入場時の検温・マスクの着用、会場内アクティビティに参加する際のソーシャルディスタンスの確保など、来場者側の協力も求めながら実施されます。

  • JR山手線の高輪ゲートウェイ駅

  • 駅の改札を抜けてすぐの特設会場で「高輪ゲートウェイフェスト」が開催されます

Magic Leap 1によるバーチャルコミュニケーション体験はJR東日本とNTTドコモの2社による共催アクティビティとして、会場内に風通しの良いブースを特設して実施されます。機材の装着ガイダンスも含めてMagic Leap 1体験にかかる時間は約15~20分程度。個別の予約は不要ですが、1度に体験できる人数が4名程度に限られるため、体験を希望する場合は会場到着後、早めに足を運ぶことをおすすめします。

透過表示型のヘッドマウントディスプレイ

Magic Leap 1は米Magic Leap社が開発したウェアラブルデバイスです。重さ約316gの軽量な透過表示型ヘッドマウントディスプレイ「Lightwear」と、高性能CPUにバッテリーやストレージを積んだプロセッシングユニットの「Lightpack」、6DoF対応のコントローラーにより、現実空間と仮想空間を重ね合わせた映像などを楽しめます。

国内キャリアではNTTドコモが独占的に取り扱う形で6月19日からオンラインストアなどで販売を開始しました。価格は249,000(税別)です。

  • ヘッドマウントディスプレイ部の軽量化を実現した「Magic Leap 1」

  • ヘッドセットとは別筐体のプロセッシングユニットも片手で持てるサイズ感です

  • ヘッドマウントディスプレイの大きさはこのような感じ

  • プロセッシングユニットとヘッドマウントディスプレイの間は専用ケーブルによる有線接続。ユニットを腰などに装着して身に着けます

下り400Mbps前後の5G通信エリアを構築

高輪ゲートウェイフェストは、NTTドコモの5Gネットワークを活用しながら、Magic Leap 1の没入型XR映像コンテンツが楽しめる初めての一般参加型イベントです。

NTTドコモの4.5GHz帯5G通信ネットワークによりエリア化されたイベント会場内にMagic Leap 1の体験特設会場を置き、クラウドサーバーから特設会場に設置した5G端末にコンテンツデータを送信。来場者が体験するMagic Leap 1の端末にWi-Fi経由で配信する環境としています。

  • ソーシャルディスタンスを確保したMagic Leap 1の体験スペース

体験特設会場周辺は、下り400Mbps前後/上り90Mbps前後の5Gネットワークの通信品質を確保。Magic Leap 1のディスプレイに投写される仮想空間に浮かぶオブジェクトに手を伸ばして触れてみたり、海外にいる人々との映像・音声によるリアルタイムなインタラクティブ通話などが楽しめます。

筆者はこれまでいくつかのイベントでMagic Leap 1を体験してきましたが、今回もまた透過率の高いシースルータイプのヘッドマウントディスプレイでありながら、明るく色鮮やかなコンテンツ表示が楽しめる本機の実力を再び確認できました。NTTドコモのスタッフも、明るい昼間に屋外で開催されるイベントなので、特設会場の内装は暗めの色に統一したり、コンテンツの視認性を高める工夫を凝らしたと話しています。

  • 衛生対策のため、マスクとフェイスカバーを装着した状態でヘッドマウントディスプレイを装着します(写真上下)

映像の表示は120Hzの高速駆動に対応しているので、ちらつきがなく没入型のXRコンテンツに酔いやすい人も快適に楽しめると思います。またヘッドマウントディスプレイに最適化した視力補正用レンズも用意されているので、ふだんはメガネをかけている方も安心して楽しめます。

  • 筆者もドコモがイベントのため独自に制作したコンテンツを体験してきました

  • 「未来の高輪の街」という設定で、世界各国の観光地や、世界の人と仮想的にコミュニケーションを取る映像を楽しめます。表示されたオブジェクトに手を伸ばして反応をみることも

  • こちらがコンテンツのイメージ。パリやバンコクの街を散策しているような仮想空間体験が楽しめます

身売り報道が出るも「力を入れて展開したい」

NTTドコモのXRビジネスを担当する奥村浩之氏は「5Gが実現する少し未来のコミュニケーションが今回の展示テーマ。双方向のインタラクティブ要素をより強めたり、最先端の空間コンピューティング技術を活かしたさまざまなコンテンツが作り込める開発プラットフォームの自由度が高いこともMagic Leap 1の特徴」であると話しています。

  • 「Magic Leap 1の展開にますます力を入れていきたい」とNTTドコモの奥村氏

Magic Leap 1は発売後の反響も大きく、XR体験を活かした新たなエンターテインメントやサービスを手がける法人・クリエーターを中心に多くの引き合いを得ているそうです。

米Magic Leap社については、今春に事業の存続を危ぶむ報道が伝えられることもありましたが、7月に入り新たなCEOとして迎えられた前マイクロソフトのPeggy Johnson氏が今後もMagic Leapのプラットフォーム拡大に注力していくことを宣言しています。NTTドコモの奥村氏は「今後もドコモとしてMagic Leap 1を体験できる機会を積極的に作っていきたい」と意気込みを語っていました。