MVNO(格安スマホ、格安SIM)を手掛ける日本通信は6月30日、「日本通信がNTTドコモから調達する音声卸料金についての総務大臣裁定」と題する文書を発表しました。簡単にいえば、日本通信がNTTドコモに支払う音声通話の回線利用料(音声卸料金)を引き下げることを総務大臣が妥当と判断した、という内容です。

今回の決定を受け、日本通信は「音声定額付きの携帯料金を大手キャリアよりも4割安く提供する見込み」と発表。日本通信以外のMVNOにもこの内容が波及する可能性は高く、この夏から秋にかけてMVNOで低料金の音声定額プランの導入が急速に進み、MVNOの魅力が高まりそうです。

  • 日本通信が発表した文書。「音声定額を含む携帯料金4割削減プランを投入へ」という文字が踊る

音声通話の回線利用料が数年ぶりに見直されることに

日本通信は、NTTドコモ(MNO)の携帯電話回線を有料で借りてMVNOの事業を手掛けています。ただ、音声通話の利用料(音声卸契約)は2013年(LTE回線の場合)に設定されてから変更されておらず、日本通信は音声卸契約の引き下げをNTTドコモに求めていました。しかし、NTTドコモが応じなかったため、日本通信は「音声卸契約を原価に適正な利潤を加えた原価ベースに引き下げるのが妥当では」と、2019年11月に総務大臣に意見を出していました。

その意見をもとに総務省が検討を進め、6月30日に日本通信の意見をほぼ認める内容のリリースを出しました。

これを受け、日本通信は「定額料金による音声通話サービスと低価格のデータ通信料金を組み合わせることで、MNOの料金から4割削減した料金プランの提供が可能となる想定」とコメント。現在、大手キャリアで主流の音声通話定額を付けたプランが、大手キャリアよりも4割ほど安く提供できるとしました。具体的な料金は「近日中に改めて発表いたします」としており、早ければ今月中に新料金プランがお目見えする可能性が高そうです。

今回は日本通信に対する判断ですが、ほかのMVNOも「日本通信と同じ条件にして」とNTTドコモに求めるのは間違いなく、多くのMVNOでも音声通話定額が可能になり、料金も引き下げられることになるでしょう。

この夏から秋にかけて、MVNOブームが再び巻き起こるのは間違いありません。私たちは、音声通話やデータ通信を月にどれぐらい利用しているかや、現在利用してるスマートフォンの端末代金の支払方法や残額を把握しておき、キャリアの乗り換えに備えておくとよいでしょう。

  • この秋の最新iPhoneは、SIMフリー版+MVNOの格安SIMという組み合わせで使うのがトレンドになりそう