コロナ禍でZoomやMicrosoft TeamsといったWeb会議ツールが存在感を増しているが、YouTubeなどのネット動画を視聴すると、外出自粛の関係からSkypeを用いてリモート出演する文化人を多く見かけた。海外の報道によれば、新型コロナウイルスの影響で2020年3月のSkype利用者数は月間1億人に達したという。
そんなSkypeも、Windows 10では迷走してきた。現状、UWP版となるSkype for Windows 10と、デスクトップアプリ版のSkype for Desktopの2種類が存在する。加えてWeb版やmacOS版、Linux版、AndroidやiOSで動作するモバイル版もあるが、それぞれ異なる進捗で開発が進んできたため、プラットフォームによってUXが異なるという問題が発生していた。しかし、米国時間2020年6月23日にリリースしたバージョン8.61でこの問題は解消されるという。
最新版のリリースノートでMicrosoftは、「Skype for Windows 10(バージョン14)に別れを告げ、Skype for Windows 10(バージョン15)に挨拶しよう)」と述べている。また、サポートページでも、「Skype for Windows 10とSkype for Desktopが1つになり、一貫したエクスペリエンスを提供できる」と説明。
ただし、Skypeのクライアントが1つになるわけではない。UWP版のSkype for Windows 10は「14」から「15」へバージョンアップするが、Skype for Desktopは引き続き最新バージョンを提供し続けるようだ。
ユーザーとしては、Windows 10にプリインストールされているUWP版のSkype for Windows 10を使うのが自然で、バージョン15で最新機能が使えるようになるわけである。だが筆者としては、Skype Insider Programで入手可能なSkypeプレビューの利用をおすすめしたい。
今回、複数の環境で各Skypeの動作を検証していたところ、Microsoft Store経由でSkypeプレビューの更新を行うことを確認したからだ。今後Skype for Windows 10が順当にバージョンを重ねるかは不明だが、Skypeプレビューなら最新機能を利用できると同時に、Microsoft Storeでバージョンアップ操作を不要にできる。
ただ、MicrosoftがSkypeに継続的な投資を行うのか疑問も残る。米国時間2020年6月22日にMicrosoftは、モバイル版Microsoft Teamsのコンシューマー利用が可能になったことを発表したからだ。本来、Microsoft TeamsはMicrosoft 365の契約と、Azure AD(Active Directory)アカウントによるサインインを必要とするが、最新版ではMicrosoftアカウントによるサインインによって、「組織」とは異なるコミュニケーションを可能にした。
限られた開発リソースをSkypeとMicrosoft Teamsに分散するよりも、Microsoft Teamsを拡充する方向に進むのが賢い判断といえる。Microsoft TeamsがSkype for Businessを吸収統合したように、SkypeもMicrosoft Teamsに取り込まれるのではないだろうか。