NTTドコモは4月28日、2019年度 決算説明会をライブ中継で実施しました。新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」提供にともなうユーザー還元により減収減益の決算とはなりましたが、登壇した代表取締役社長の吉澤和弘氏は「営業利益は年間予想を上回って着地しました」と評価しました。
なお、新型コロナウイルスの影響が懸念される2020年度の業績予想については「現時点で非公表」としています。
減収減益ながら金融サービスは好調
ドコモの2019年度通期の営業収益は(前年同期比1,896億円減の)4兆6,513億円、営業利益は(同1,590億円減の)8,547億円でした。
携帯電話の契約数は8,000万を突破。そしてdポイントクラブの会員数は7,500万を突破し、こちらも順調に伸びています。新料金プラン「ギガホ」「ギガライト」の申し込み件数は1,700万を突破、これについて吉澤社長は「お客様に大変、ご好評を頂いています。引き続き、新料金プランへの移行を積極的に進めてまいります」と説明しました。
スマートライフ領域の営業利益については、年間予想1,600億円には遠く及ばず1,481億円止まり(前年同期比1%の微増)。しかしd払いなどの金融決済サービスが伸長しており、金融・決済取扱高は5兆円を突破しました。吉澤社長は「2019年11月からキャッシュレス・ポイント還元事業がスタートし、また様々なキャンペーンの実施などもあって、金融・決済取扱高が大幅に増加しています」と評価しました。
5Gサービス契約数は1万4,000件に
2020年度の事業運営方針について、吉澤社長は「顧客基盤のさらなる強化」「会員を軸とした事業運営の本格化」「5G時代の新たな価値創造」を通して、新時代を支える構造改革を実施すると説明。例えば顧客基盤のさらなる強化については、店頭・Webにおける顧客体験を磨き上げ、(+dの取り組みなどを通じて)dポイントの魅力を向上させ、魅力的な料金サービスを提供し、5Gを早期に展開する、といった取り組みを進めていきます。
会員を軸とした事業運営の本格化については、日常的に使うアプリ・メディアを介して会員との強い顧客接点を構築。そして5G時代の新たな価値創造については、ミリ波の展開、無線ネットワークのオープン化とインテリジェント化(O-RAN)、5G対応スマートフォンの拡大(フラッグシップのみならず普及機も5Gに対応させていく)、音楽・ゲーム・映像・スポーツなど5G対応サービスの拡大、さらには医療・教育・製造業にも5Gを対応させて社会に貢献していく、としています。
5Gサービスの契約数は、2019年度は1.4万にとどまりました。これを2020年度には約250万契約まで伸ばし、2023年度中には2,000万契約まで拡大したい考えです。そのためには基地局の増設が欠かせません。現在、全国150箇所(500局)にとどまっている5Gエリアですが、2022年3月末までに2万局まで拡大すると説明しました。
新型コロナウイルスの影響は?
最後は、新型コロナウイルスにともなう対応を説明。ドコモではこれまで、携帯電話料金の支払い期限の延長、失効dポイントの再進呈、U25向け支援措置、dヘルスケアにおけるオンライン健康相談の無料提供などを実施しています。
「全国のドコモショップ、コールセンターにおける受付体制を縮小しており、お客様にはご不便をおかけしております。さらなる感染拡大防止のために、Web手続きの積極的なご利用をあらためてお願いする次第です」と吉澤社長。
新型コロナウイルスは、2020年度の事業にどのような影響をおよぼすでしょうか。これについては「現時点では、国際ローミングの大幅な減少、端末・サービス販売の減少、金融・決済サービスの新規ユーザー獲得の減少、設備投資の減少が考えられます」と説明。これを踏まえて「2020年度の業績予想については、合理的な算定が困難なため、現段階では非公表とさせていただきます」としました。
最後に「新型コロナウイルス感染症の流行は、世界、日本、当社にとって大きな試練であると受け止めております。この試練を全社一丸となって乗り越えていく意思です。通信事業者の使命である通信サービスの安定的な運用に努めるとともに、ドコモだからこそできることを考え、感染拡大の防止、そしてリモート型に変化する社会構造に対応して、新たな価値創造や社会課題の解決に取り組んでいきます」とまとめました。