米Appleは4月14日(現地時間)、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に向けた世界各地での活動を支援するため、Appleマップによるモビリティデータの傾向を示すツールを提供すると発表した。同データは、自治体や保健当局に有益な情報を提供するとともに、人々がコミュニティ内で徒歩や自動車、公共交通機関を利用して移動する量の変化を表示することで、新たな公共政策の基盤として利用することが可能になるという。新型コロナウイルス対策のモビリティデータについてはこちらを参照。

  • Appleマップにおけるリクエストから生成されるモビリティデータの傾向は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に取り組む保健当局に知見を提供するというA@Appleマップにおけるリクエストから生成されるモビリティデータの傾向は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大防止に取り組む保健当局に知見を提供するという

AppleマップではモビリティデータとユーザーのApple IDとの関連付けは行われず、同社はユーザーの移動先に関する履歴も保存しないという。新しいウェブサイトでは、同マップの使用状況を集計したデータを利用し、主要都市および63の国と地域の移動傾向を表示。Appleマップで経路が検索された回数を数え、収集されているデータと比較することにより、人々の徒歩、自動車、公共交通機関での移動量の変化として世界各地のデータに反映される。利用可能な都市、国、地域は、1日あたりの経路の検索回数の下限など、いくつかの要因に応じて決まる。

同社のマップは、はじめからプライバシーを中心に据えて作られていることから、マップで収集した検索語、経路、交通情報などのデータはランダムかつ一時的な識別子に関連付けられ、識別子は頻繁にリセットされるため、同社がユーザーの移動や検索に関するプロファイルを保有することはないという。

同社では、COVID-19対感染拡大防止のための世界規模での活動をサポートしており、最前線にいる世界中の医療従事者へ2000万枚以上のマスクを供給・寄付しているほか、同社とそのサプライヤーにまたがるチームを編成してフェイスシールドの設計と生産を行うとともに、週に100万枚のマスクを最も必要な地域に出荷している。

さらに、スタンフォード大学医学部が新しいアプリケーションを構築するにあたり支援を行い、警察、消防、医療従事者向けに、初期対応にあたる担当者が症状を選別する支援を行うとともに、必要な場合は検査の予約を行うためのものとなる。

同社のアプリケーションおよびサービスの直近のアップデートでは、ユーザーがSiriやAppleマップを使って素早く簡単に必要な情報を見つけることができるようになり、COVID-19対策のためのSiri Audio Briefsは、信頼できるニュース提供元からの最新ニュースと情報を短いPodcastで提供している。

「COVID-19に感染しているかどうかを知るには?」とSiriに尋ねると、米国ではCDC(米国疾病管理予防センター)のガイダンスが提供され、Appleマップで近くの検索を行う場合、食料品店、食事の配達店、医療サービスを優先的に表示(米国のみ)している。

加えて、App Storeでは遠隔医療アプリケーションの一覧を各国の状況にあわせ、順次提供する。そのほか、保護者、教員、ITチーム向けに、1対1の教育や多数のオンラインリソースなどのバーチャルラーニングへ移行するためのコンテンツやサービスも提供している。

濃厚接触の可能性を素早く検出するため、同社は先日Googleと共同でBluetooth技術を用いた取り組みを開始し、ユーザーのプライバシーや安全を設計の中心に据え、COVID-19感染拡大防止のための政府や保健当局の活動を支援することに加え、COVID-19対策としてCDCの最新のガイダンスに基づき、人々が十分に情報を得るとともに健康を守り正しく行動できるように、検査ツールやリソースを発表している。