新型コロナウイルスの影響でリモートワークとなった家庭のなかには、「お昼ごはんや晩ごはんを用意する手間が増えた」と悩みを抱えているところも少なくないでしょう。そこで注目なのが、一度に4品を調理できる電気調理鍋「ツインシェフ」。今回は、最大のライバルともいえるシャープの「ホットクック」と調理比べをしてみました。

似ているようで個性がまったく異なる2台

1台4役で調理ができることで話題を呼んだ、ショップジャパンの「ツインシェフ」。第1回の「あの『ツインシェフ』を使った カレーとごはんは満足できる!?」と第2回の「あのツインシェフ、意外とあなどれない実力【じっくり使ってみた編】」では、炊飯から煮物、蒸し調理まで、さまざまな調理を行ってきた。今回は、我が家で大活躍中のシャープ「ヘルシオ ホットクック KN-HW24C」(以下、ホットクック)と比較してみた。

  • ホットクック(左)とツインシェフ(右)でさまざまな調理を試してみた。今回使用したホットクックは旧モデルで、現行モデル「KN-HW24E」の実売価格は税込み70,000円前後。ツインシェフの実売価格は税込み22,000円前後

圧力調理機能非搭載の電気調理鍋という点は同じだが、ホットクックには「まぜ技ユニット」が、ツインシェフは1度に最大4品まで同時に調理できるというメリットがある。個性がまったく異なる2製品のメリット・デメリットを紹介したい。

ホットクックは「まぜ技ユニット」でムラなく加熱

ホットクックは、独自のまぜ技ユニットの搭載により、材料を入れておけばほったらかしで調理できる自動調理鍋だ。ツインシェフは、まぜ技ユニットのような装置のない自動調理鍋だが、煮物や蒸し料理、低温調理などができる点ではほぼ同じである。

  • 実は大きさはそれほど変わらない。横幅だけなら1.5cmの差

  • ホットクックは、フタの内部に搭載しているまぜ技ユニットが便利!

まず最初に、ホットクックとツインシェフで八宝菜を調理してみた。どちらもレシピがあったので、それぞれの材料・調理方法に合わせた。

ホットクックは、モノクロ液晶パネルでレシピ内容の検索や調理時間などが確認できる。ツインシェフはメニューとデジタル表示でシンプルだ。

  • ホットクックは、番号を入力すればレシピが呼び出せる

  • 調理中も状況が表示されるのが便利

  • ツインシェフは表示パネルや操作パネルが前面にあるので、低い場所に置いた場合はしゃがまないと操作しにくい

  • シンプルなので使いやすい点は評価できる

材料はほぼ同じで、調理時間はホットクックが「八宝菜」の自動メニューで20分、ツインシェフはレシピ通り、手動モードで100度・30分に設定し、加熱した。

  • ホットクックに食材を入れる

  • ツインシェフはお米もセットすれば、同時に炊飯もできる

ホットクックは、かき混ぜユニットが自動でかくはんしてくれるため、ムラなく火が通っていた。ただ、野菜のシャキシャキ感が失われていて、火が通りすぎている印象だった。もう少し加熱時間が短くてもいいのかもしれない。

ツインシェフは、できあがりのブザーが鳴っても上のほうが半生の状態で、手作業でかき混ぜてから追加で10分ほど加熱した。

  • ホットクックは自動でかき混ぜられるので、ムラなくすべての食材に火が通っている

  • ツインシェフは、上に置いた冷凍の海老があったせいか、上の部分は火が通っていなかった

どちらも圧力鍋ではないので、途中でフタは開けられる。途中で一度様子を見て、好みの火加減に仕上げたほうがよさそうだ。

  • ホットクックの中華丼。火はバッチリ通っている。もう少し野菜のシャッキリ感がほしいところ

  • ツインシェフの中華丼。再加熱して仕上げた。野菜がシャキッとしていて美味しかった。ただ、延長ボタンがなかったので、最初から設定し直しになるのは少々面倒だった

ツインシェフもホットクックも温度設定可能、ローストビーフも思いのまま!

続いてローストビーフに挑戦した。どちらも、温度設定と時間設定が可能なので、難しいローストビーフも好みに調整できる。今回はツインシェフにあったレシピ通り、57度で3時間調理を行った。

  • ホットクック。ファスナー付きの耐熱袋に入れて調理を開始した

  • ツインシェフ。こちらもファスナー付きの耐熱袋に入れ、どちらも同じレシピで調理した

ホットクックは設定温度に到達するまでの時間が早かったためか、肉の色は少し赤かったが、どちらもピンク色でとても美味しく仕上がっている。100グラム200円程度の安いロース肉だったが、家庭でこれだけ本格的なローストビーフをほったらかしで作れるのはありがたい。

  • ホットクックのローストビーフ

  • ツインシェフのローストビーフ

ローストビーフは3時間かかったので、ホットクックではその間に他の調理はできない。一方のツインシェフは、調理時間が長い場合でも隣の鍋で別の調理ができるので、家族4人分の料理をするのにも助かった。2つの鍋を備えるツインシェフならではの魅力といえる。

タイプが違うので、ライフスタイルに合わせて選びたい

やはり、八宝菜やカレー、シチューなど、「混ぜながら調理する」という調理はホットクックのほうが得意だった。かき混ぜユニットがちょうどよいタイミングでかき混ぜてくれるので、真の意味で「ほったらかし」にできる。

ツインシェフは4品まで同時に調理できるので、いろいろ使えてとても便利だった。炊飯と味噌汁も同時にできるし、おかずと副菜を作ることもできる。材料さえ準備しておけばいろいろ組み合わせられるので、火の番をすることが減った。ホットクックのようにレシピのダウンロードなどはできず、自分で調理しながら調整する必要はあるものの、思いのほか実用性は高いと感じた。

ツインシェフは、お手入れもカンタンだ。内蓋も外せるので、サッと洗うだけ。ただ、ゴムパッキンが細かくて向きがあるので、洗ったあと元に戻すのが少々面倒だった。また、蒸し皿でカボチャを蒸したときに、少し色移りしていたのが気になった。色移りを避けるために、クッキングシートなどを敷いたほうが安心だろう。

  • 内蓋は外して洗える

  • パッキンなどパーツは多め

一番気になったのは、製品の精度や強度だ。横側を持ったときに、ベコッと凹んでしまった(ただ、すぐに戻る)。また、2枚のフタは間のすき間が均等ではなかった。ホットクックと比較をするとボタンなども安っぽく、デザインにこだわりのある人は不満を感じるかもしれない。

  • 両サイドを持って持ち上げようとしたところ、ベコッと凹んだ……

  • 2枚のフタの隙間が均等ではないのが気になる

しかし、2万円ちょっとの価格でこれだけいろいろとほったらかしで調理できるのは、確かにお買い得だ。レシピはホットクックと比較すると少なく、料理初心者は「何を作るか」で悩むかもしれないが、何品か作ってある程度慣れると、あれもこれも作りたくなる。コスパの高い電動調理鍋なので、場所問題をクリアできるのであれば、ぜひお試しいただきたい。