パナソニックは3月26日、宮崎県都城市、宮崎県介護支援専門員協会 都城・北諸県支部(都城市ケアマネ協会)、都城市北諸県郡医師会と共同で、IoTモニタリングなどを用いた在宅高齢者向け「デジタル・ケアマネジメント」の効果検証を実施したと明らかにした。

日本では、75歳以上の高齢者の急増による要介護高齢者の増加が懸念される「2025年問題」や、あらゆる産業で働き手の激減が課題とされる「2040年問題」が予測されており、今後は要介護高齢者の在宅での暮らしを支え、被介護者のQOL(Quality of Life)向上を図るためには、限られたリソースで「ケアマネジメントの質向上」を行うことが重要になっているという。

同社は、ICTやIoT、AIなどのデジタル技術を用いて、従来のケアマネジメントを高齢者とその家族の視点からより良いものへ変えていくことを目指したコンセプトとしてデジタル・ケアマネジメントを構築。実用化を目指して、ケアマネジャー(介護支援専門員)向けにケアプラン作成機能とIoTモニタリング機能を持つソフトウェアを開発し、2019年10月より3カ月間の効果検証を実施した。

  • 「デジタル・ケアマネジメント」のイメージ

    「デジタル・ケアマネジメント」のイメージ

検証では在宅高齢者向けのケアマネジメントの質向上を狙い、都城市ケアマネ協会との連携により、同市在住の要介護高齢者4人を対象にケアマネジャーの実際の業務において、これらの機能を活用した。その結果、4事例すべてにおいて「本人状態が改善傾向」という評価が得られ、本人と家族のQOL向上にも効果があることが確認できたという。

これにより、自立支援/重度化防止に向けた適切なケアプランと、生活実態を正確に把握するIoTモニタリングを組み合わせることで、ケアマネジメントの質が向上する可能性が示されたとしている。

今後、効果検証で得た実践的な知見を同社が進めているヘルスケア・プラットフォームの構築に活かし、高齢者とその家族のQOL向上につなげるとともに、医療費・介護給付費の適正化や医療介護連携の促進という地方自治体の抱える課題解決に役立てる方針だ。