iOS標準の機能/アプリでは対応しませんが、サードパーティー製アプリを利用すれば印刷物の日本語文書をテキストデータとして読み取れます。テキストデータですから、コピー&ペーストしたり、適当なアプリで編集をくわえたり、メールで送信したり、自由自在に活用できます。
そのひとつが、ジャストシステムが開発した「一太郎Pad」です。パソコン用ワープロソフト「一太郎2020」の補助アプリという位置付けですが、高性能なOCRエンジンを搭載し、日本語の印刷物にiPhoneをかざすだけで読み取りできます。レポート用紙はもちろん、名刺やポスター、街中の看板まで読み取れるうえ、読み取ったテキストを「一太郎2020」に送信したり他のiOSアプリへコピー&ペーストしたりできるので、活用範囲は広大です。
一般的に、印刷された文字を編集可能な(アプリでコピー&ペーストなどの処理が可能な)テキストデータに変換するためには、光学文字認識(OCR、Optical Character Recognition)と呼ばれる処理が必要です。この「一太郎Pad」は、Googleが開発した画像解析AIサービス「Google Cloud Vision」をOCRエンジンに採用、高い認識精度を実現しています。しかも無償で配布されているため、誰でも気軽に試すことができます。
ところで、iOSにも「Visionフレームワーク」と呼ばれる機械学習による画像分析を行うための関数群が用意されており、OCR機能を持つアプリを開発できます。iOS 13では機能が拡張され、カメラが認識した領域内にある文字を指定した言語に翻訳できますが、2020年3月現在では本格的な日本語OCRアプリは登場していません。