パナソニックは2月5日、これから本格化する春の花粉シーズンに向けて20歳~60歳までの花粉症であると回答した社会人1324人を対象に「社会人の花粉症に関する調査」(同社調べ)を実施したと発表した。

調査の結果、回答者である花粉症を患う社会人の約8割が花粉症の症状が仕事のパフォーマンス低下に影響していると回答し、その経済損失額は1日あたりで「約2215億円」に該当することがわかった一方で、花粉シーズンより前に対策を行う人は39.6%に留まり、花粉症発症後に花粉対策をはじめる人が大多数であることが明らかとなった。

また、昨今リモートワークや働き方改革など、働き方の柔軟性の促進が進むなか、花粉の時期に有給休暇や在宅勤務を希望する割合が高いことが判明した。調査結果に基づき、総合情報サイトのAll About「耳・鼻・喉の病気」ガイド(耳鼻科医)の坂田 英明氏が花粉症と集中力の関係、有効な花粉対策を、All About「睡眠」ガイドの坪田聡(医師/睡眠専門家)が花粉症と睡眠の関係性について、それぞれ解説している。

花粉症の社会人に花粉症の症状が自身の仕事のコンディションに影響しているかを聞いたところ、79.0%が「影響がある」と回答し、1日のうち花粉症により仕事のパフォーマンスが低下していると感じる時間は平均で約2.8時間となった。

  • 花粉症の症状が自身のコンディションに影響を及ぼしていると思うかについて

    花粉症の症状が自身のコンディションに影響を及ぼしていると思うかについて

花粉症による労働力低下の平均時間を元に試算した花粉症の社会人の労働力低下による経済損失額は、1日あたり約2215億円と推計(花粉症による労働力低下の平均時間を元に平成30年分民間給与実態統計調査結果(国税庁)と2019年労働時間等実態調査集計結果(経団連)から、労働が低下すると感じる社会人の平均の給与を割り出し、調査で算出された社会人の花粉症患者の割合(6081人中3198人)と、2019年11月分労働力調査(総務省)から花粉症の社会人数を算出した数値と掛け合わせて、花粉症に起因する労働力低下による経済損失額を算出)している。

仕事のパフォーマンスに最も影響を与える花粉の症状の上位には「鼻水(37.0%)」「鼻づまり(20.0%)」「くしゃみ(13.3%)」と続き、鼻の症状から仕事のパフォーマンスが低下していると感じる社会人が多いことが推察されるという。

春の花粉対策計画について尋ねたところ、毎年計画的に行っている人が51.0%と最も多く、次いで「症状がでてから」が31.6%、「対策をしていない」が10.3%となり、計画的に対策を行うと回答した人(653人)に、具体的な開始月を聞くと、春の花粉シーズンを本格的に迎える2月~4月に対策を開始する人が60.4%と多く、2月より前から花粉症対策をしていると回答した人は39.6%に留まった。このような結果から、花粉症の社会人の多くが花粉シーズンを迎え、症状が出てから対策を行っていると推察している。

また、花粉対策の費用について花粉症の重症度別に聞いたところ、5000円未満と回答した割合が軽度、中度、重度のいずれも多いものの、重度の花粉症を患う社会人の約半数は「10000円以上」と回答し、「10万円以上」費用をかけているという割合も5.7%おり、花粉の重症度で花粉対策や治療の費用に差がみられる結果となった。

なお、実際に実施している花粉症対策で最も多かったのは「マスクをつける(70.4%)」で、次いで「目薬(54.2%)」「空気清浄機の使用(35.6%)」「自宅に入る前に服の花粉を落とす(23.9%)」「加湿器の使用(22.1%)」となり、一般的な花粉対策と知られるマスクや目薬による対策に加え、室内の空気中に漂う花粉対策も広く認識され、一般的な対策となりつつあることが伺えるという。

次に、花粉対策を強化するために、今後導入したいものを聞くと「舌下治療(17.8%)」に続き、「空気清浄機の使用(15.2%)」、「花粉シーズン前にエアコンを掃除する(12.6%)」「加湿器の使用(22.1%)」が上位を占め、治療以外では家電を活用した室内環境対策が挙げられている。

昨今の「働き方改革」により、在宅勤務やフレックス・タイムの導入をはじめとした、多様な働き方を選択できる社会の実現が進んでいる。そこで、花粉が多く飛散する際に有給もしくは在宅勤務をしたいと思うかについて聞いたところ、そう思うと回答した割合は62.1%と会社に出勤せず、自宅にいることを希望する社会人が多いことが判明した。

  • 花粉が多く飛散していると感じる際に、有給休暇を取得するもしくは移動せずに自宅で作業をしたいと思うかについて

    花粉が多く飛散していると感じる際に、有給休暇を取得するもしくは移動せずに自宅で作業をしたいと思うかについて

また、ビジネスの場において「花粉症ですか?」という会話をしたことがあるかについて聞いたところ、「ある」と答えた割合は67.8%となり、相手が花粉症だった際に親近感や好意を覚える割合も51.2%と高く、花粉症に関する話題は、ビジネスシーンにおける春のアイスブレイクのテーマとして鉄板であることもわかったという。

なお、商談や会議中に花粉症の方がマスクを着用していた場合に気になるかを聞いたところ、約6割(61.3%)が「気にしない」と回答した一方で、くしゃみについては54.2%にあたる約半数が「気にする」と回答している。