アクション映画の迫力は、視聴者を取り囲むように音が聴こえる音響システム(サラウンド)に負うところ大です。その規格のひとつ「ドルビーアトモス(Dolby Atmos)」は、埋め込まれた三次元の位置情報をもとにシアターの後方や側面、天井に配置されたスピーカーを鳴らし立体的な音場を再現できることに定評があります。
iPhone XR以降のモデルでは、そのドルビーアトモスをサポートしています。ドルビーアトモスの音データを含むコンテンツを再生する場合に限られますが、三次元の位置情報をもとに本体上部と下部(水平持ちにすれば左右両端)にある内蔵スピーカーを利用して立体的な音を再現します。
しかし、動画ストリーミングサービスでドルビーアトモス対応のコンテンツを再生しても、ドルビーアトモスで再生されるとは限りません。Amazon Prime Videoを例にすると、2020年1月時点においてiOS版アプリはステレオ再生のみでサラウンド/ドルビーアトモス再生には非対応です(リンク)。少なくともAmazon Prime Videoでは、音の拡がりを感じるとしても、それはドルビーアトモスによる効果ではありません。
とはいえ、iPhoneで動画ストリーミングサービスを視聴すると音の拡がりを感じることがあります。ドルビーアトモス再生ではないはずなのに、どうして? 気になりますよね。
それはおそらく、iPhone 11/Pro/Pro Maxで追加された「空間オーディオ」の効果でしょう。この機能は、A13 Bionicに統合されているDSP(デジタル信号処理に特化したプロセッサ)の音声信号処理とiPhone 11シリーズに搭載のステレオスピーカーユニットにより実現され、ステレオ(LRの2チャンネル)信号でも拡がりのある音場表現が可能になります。動画ストリーミングアプリに限らず、「ミュージック」などの音楽アプリでも効果を発揮しますから、iPhone 11で体感してみてください。