CESの開幕前日には出展各社がプレス向けに記者会見を開催します。2020年もトップバッターはLGエレクトロニクス。2019年のLGは薄型の折り曲げられる有機ELディスプレイを搭載した立ち上げ式テレビ「65R9」を発表して大いに注目されました。今年は有機EL、液晶の両方に最新技術を盛り込んだ8Kテレビを一斉投入します。

  • CESのプレイベント期間にプレスカンファレンスを開催したLGエレクトロニクスは「REAL 8K=真の8K高画質」をうたう2020年モデルの北米市場向け8K/4Kテレビのラインナップを発表しました

2020年は8Kテレビを一挙8機種投入

2020年モデルとして新しくLGのラインナップに加わる8Kテレビは全8機種です。有機ELは88V型と77V型の「ZXシリーズ」が8K対応。液晶テレビのフラグシップ“Nano CELL”シリーズもNano 99 / 97 / 95の3シリーズから発売される75V型・65V型の2モデルが、8Kテレビとして2020年モデルのラインナップに追加されます。

  • 8機種の8Kテレビを含む充実の2019~2020年モデルのテレビが出そろいます

LGではすべての機種がCESを主催するCTA(全米家電協会)が定めたコントラスト再現の基準値を満たす「REAL 8K」対応のテレビであることをアピールしています。北米で発売されるテレビは商品パッケージや店頭にCTAが提供する「8K UHDロゴ」を貼って差別化を図ります。

  • CTA(全米家電協会)が定めたコントラスト再現の基準値を満たす「REAL 8K」がLG最新モデルの特徴であるとアピール。「8KULTRA HD」のロゴを付けて北米市場の店頭などで展開します

8K表示をケーブル1本で表示? HDMI2.1端子搭載

新製品では、HDMI端子やIPベースの8K動画配信、USB入力の8Kコンテンツ表示の対応を予定しています。映像コーデックはHEVC / VP9 / AV1など幅広く対応。IPベースの8KコンテンツについてはYouTubeと協業して拡大を図ります。またアメリカでは次世代のテレビ放送規格となる「ATSC 3.0」にいち早く対応することで、放送とIPのテクノロジーを掛け合わせた新形態のコンテンツを視聴できるテレビとして、強みを打ち出します。

  • 放送から配信まで、8Kの豊富なソースに対応を予定しています

従来、8Kネイティブの映像を放送の受信機からテレビなどのディスプレイに伝送するためには、間に4本のHDMIケーブルをつなぐ必要がありました。LGの2020年の8KテレビはHDMI経由で8K / 60pのハイフレームレートの映像コンテンツを表示できるとアピールしています。新規格であるHDMI2.1端子を搭載して、8K放送に対応するチューナーとテレビをケーブル1本で接続。8K/60pの映像コンテンツ表示できるようになるのでしょうか。プレスカンファレンスの時点で詳細がわからなかったため、改めてブースを取材してレポートしたいと思います。

ほかにも有機ELテレビのラインナップは、壁掛け設置に最適な本体厚20mmの4Kテレビ「WX Wallpaper」シリーズから、最小サイズの48V型4Kテレビまで、全14モデルを2020年に発売します。2019年のCESで輝きを放った65R9もいよいよ2020年に北米で発売されるようです。

  • 厚さ20mmの極薄設計を実現した有機ELテレビ「WX Wallpaper」シリーズ

  • 中央が2019年に発表した立ち上げ式OLEDテレビ「65R9」。北米でも今年発売を予定しています

最新世代の「α9 Gen 3」エンジンが実現する高画質・高音質

2020年に発売されるプレミアムクラスの有機EL、Nano CELL液晶テレビは最新世代エンジン「α9 Gen 3」を搭載します。特徴的なディープラーニングの技術を活かした高精細な8Kアップコンバート表示を実現する「AI Picture」や、現在視聴されている映像のジャンルを分析してサウンドを最適化する「AI Sound」も継承。最先端のテクノロジーを追加して、名前に「Pro」を冠しました。

AI Picture Proは複数段階の超解像処理を行いながら高画質アップスケーリングを実現。AI Sound Proは、LGのBluetoothワイヤレススピーカーとペアリングしてリアスピーカーとして使うことで、最大5.1chのサラウンドシステムに拡大できる機能が加わります。

  • 最新世代のエンジン「α9 Gen 3」が2020年に発売されるプレミアムクラスのテレビに搭載されます

HDRコンテンツの高精細な表示を保証するために、UHD Allianceが策定した新技術の「Filmmaker Mode」にも対応します。LGはその魅力を“映像制作者の意図を正確に反映できること”だと説明しています。またドルビーの新技術である、テレビを設置した環境に合わせて画質を自動で最適化する「Dolby Vision iQ」も、世界で初めて対応します。

  • 音声はドルビーアトモス、映像は最新のDolby Vision iQに対応。コンシューマー向けのテレビとして世界で初めての対応となります

  • テレビとLGのBluetoothワイヤレススピーカーを組み合わせて5.1chのサラウンド環境を手軽に構築できます

  • 映画監督のクリストファー・ノーラン氏も「Filmmaker Mode」の応援コメントを贈りました

スマートホーム機器とのコネクティビティを高めるため、テレビのホームダッシュボードからIoTデバイスをコントロール、モニタリングする機能は、ThinQベースの音声操作が充実。2020年は世界の144言語に対応が広がるようです。日本語は含まれているのでしょうか。

  • LGのテレビからThinQを中心とするIoTデバイスのコントロールがいよいよ可能になります

AIアシスタントはGoogleアシスタントとAlexaに加え、LG独自のThinQに従来モデルと同様に対応。また、2019年モデルから、アップルのHomeKitとAirPlay 2にも対応の枠を広げて、Siriから音声操作でテレビの電源オンオフや入力切り替えなどの操作を可能にしています。

なお、2020年に発売されるLGのスマートテレビには「Apple TV」アプリがプリインストールされ、アップルのオリジナルコンテンツを含むApple TV+の視聴が楽しめます。

  • LGのスマートテレビはThinQのほか、Googleアシスタント、Alexa、Siriによる音声操作をサポートします

有機ELテレビのプレミアムモデルは120Hz駆動のパネルを搭載。スポーツコンテンツの滑らかな表示が可能になるほか、12機種にNVIDIAとの協業による「G-SYNC」技術を初搭載し、PCゲーミングにも最適なリビング用テレビとしてその特徴をアピールします。

  • NVIDIAとの協業により、コンシューマ向けのテレビとして初めて、「G-SYNC」に対応します。高精細なグラフィックスのシビアな描画表示が可能な「PCゲーミングにも最適なテレビ」としてその特徴をアピールします

ThinQ対応の新ワインセラーも商品化

LG独自のAIアシスタント「ThinQ」に対応する家電製品は、2020年にさらに種類を増やします。なんと中型のワインセラーも加わる予定。ThinQは現在のテクノロジーをさらにブラッシュアップして、現在実現している「効率性」の効果を段階的にレベルアップ。「パーソナライゼーション」「推論学習」「実験構築型学習」に段階を上げて、機器どうしが連携してユーザーの生活をサポートするコネクテッドホームのスタイルを実現していくと、ステージに登壇したLGのPresident兼CTOであるI.P Park氏が語りました。

2020年のCESのブースは自動運転車向けのソリューションやAIベースのバーチャル・フィッティングシミュレーターなど、LGの最先端技術を紹介する様々な展示が期待できそうです。

  • ThinQは今後も段階的なレベルアップを図ります

  • 2020年発売予定の新製品としてワインセラーも紹介されました