子どもの「夏休み合宿活動成果発表会」の拡大版が実現

12月26日、沖縄新報ホールにて沖縄デジラボを中心としたこどもITプログラミング発表会「DigiLab Presentation#STARTDAY」が行われました。

従来「デジラボ」が夏に行っているこどもIT合宿の成果発表会を拡大したもので、夏の場合は合宿最終日に行っていました。

今回は熟成期間をもたせて、さらに沖縄デジラボ以外での発表も可能としているもので、主催する飯塚 悟氏は「人財育成を行うグループ間での交流拡大になれば」と期待を語っていました。

  • DigiLab Presentation#STARTDAYに参加した子どもたち

今回のイベントは多様性を強く感じました。公立学校に加えてインターナショナルスクールにも通う子や、外国籍の子、高校3年の際に演劇活動をしたために日本の大学に入れず留学を選択した子……司会役の子も中学生ですし、発表の多くは英語でした。

  • イベントは様々なグループの展示から。写真はハンガリーで行われたWRO(World Robot Olympiad)2019のレギュラーカテゴリー/エキスパート部門 エレメンタリで提示された課題(移動場所や経路が毎回異なります)。指定された経路を巡り、荷物を移動するロボットの組み立てとプログラミングが要求され、チーム「AMICUS NKR」の結果はミスなしでしたがタイム差で世界6位

  • サーボモーターを使った4本足ロボットの作成。ボストンダイナミクスのYouTube動画を見て、このようなものが作れると思ったそうです

  • Micro:Bitを使って風車を作ったと見せてくれました。風車を動かすためにサーボモーターを使っているそうです

  • (本来は高齢者用の)コミュニティバスを使って離島の学校から帰るのは座席数が多く、予約変更もままならないとの事。この「予約変更マシーン」はまだ完成していないのでパネル展示でした

  • ロボカップジュニアで活躍しているロボロボの会はサッカーロボットをデモ。ほぼ全部のパーツが手作りで技術力の高さが光っていました

  • Minecraftカップ 2019 全国大会に応募し、ファイナリストに選ばれたCoderDojo 宜野湾 の「私たちのスポーツアイランド」。リーダー役のTsubasaさんはCoderDojoで教える先生役に成長しています

一方、こども達だけでこのようなイベントは開けません。デジラボの合宿も会場は自治体の施設を使い教師役もボランティア、食事の実費程度しかかからないということで、IT教育と言っても多額の費用がかかるわけではありません。

今回は「大きな会場で発表の機会を持たせたい」ということで、沖縄新報ホールを使いましたが、沖縄新報社共催という形でクリアしている感じでした。それでもかかる費用に関してはデルが特別協賛を行っています。

  • 共催となる株式会社琉球新報社 専務取締役の糸数 淳氏による激励のあいさつ

  • 特別協賛を行ったデル株式会社 クライアント・ソリューションズ統括本部 クライアント製品本部 フィールドマーケティングマネージャーの飯塚 祐一氏

  • これから求められている人材は「人間でしかできない非定型の仕事ができる人」と飯塚氏

アイディアで社会課題の解決を

また、身近な問題を解決する発想力にも驚かされました。学校から帰宅する際に歩いて帰れない子の場合、車で迎えに来てもらうものの電話が一台しかなく長蛇の列になってしまう。コミュニティバスを使う場合でも早い便の空席がなく早く帰りたくても帰れないという問題を抱えているようです(これは過疎部の学校ならば避けられない問題でしょう)。

これらの「身近な社会課題」に対して、事前に渡されているICタグやQRコードをかざすだけでその親の携帯電話にメールを送る仕組みを作ろうとしていました。今後はコミュニティバスの残席確認や予約変更もできるようにしたいそうです。

  • 糸満IoTクラブによるこの作品は生徒に割り振られたQRコードをかざすと親にメールが届く仕組みとなっていて、「これからバスに乗る」という事がわかります。先の「予約変更マシーン」も同クラブで作成中

糸満IoTクラブの別の作品。「身近に引きこもりの子がいる」ということで、腕立て伏せ一回で5秒間iPadで動画を見ることができる装置。動画はゴホウビモードが終わるところ

自らの体験を元にお互いをよく知るためのサイトを作ろうと考えている中学生もいました。元々沖縄で生活していたが、親の転勤でアメリカに行き、再度沖縄に戻ってきたときに「Gaijin」といじめにあったと言ってました。

  • サクラさん(右)の体験を元にジョナサン(左)が作ろうとしているのがNo FENCES(フェンスの無い沖縄)と言うサイト

  • 高校生をターゲットにした無料の交流サイトを作りたいということです

コンテストで発想力で他の応募者を凌駕した小学生もいました。U-22プログラミングコンテストは応募資格が22歳以下なので、大学、高専や専門学校の応募が多いのですが、そのなかで経済産業大臣賞<アイデア>を受賞した子が発表を行っていました。

科学や宇宙が大好きでそんな子ならばみんな知っているだろう(?)という元素記号の早押しゲーム「Capture the Elements」は小学生でプログラムを行う際にポピュラーなScratchを使って作られています(Very easyからVery Hardまで難易度を変えることができますが、作者もVery Hardをクリアできてないとのこと。Easyまでは基本元素だけですが、Normalから118全部というのはすごくハードル高い!)。

  • HARUOくんはU-22プログラミングコンテストで経済産業大臣賞を受賞。今年は小中学生も経済産業大臣賞を獲得しています

  • アイデア賞に輝いた「Capture the Elements」は元素記号を覚えるためのゲーム

  • 将来はSDGsの4番目を解決したいとの事で、すでにHARUO先生と呼ばれているようです

多くの子どもにIT教育機会を与えるためにはパソコンが必要です。今年三井住友ファイナンス&リース株式会社がリース終了後の中古パソコン416台を沖縄県の子ども居場所拠点に向けて寄贈しています。しかしそのままでは配布できず、全パソコンにはUbuntuというフリーのLinuxをインストールする必要があります。この作業をこどものボランティアが手分けしておこなっていたことで、表彰されていました。

DELLもChromebook 3100 2-in-1を寄贈。デルとしては教育用パソコンを3段階に分けており、初等教育段階ではChromebookが適切と判断しているそう。このモデルもこどもの手荒い扱いにも耐えるように設計されており、OSも2026年06月まで自動更新される機種です。

  • 三井住友ファイナンス&リース株式会社が中古パソコンを寄贈し、これにOSをインストール作業を10名の中高生ボランティアが担当しました

  • デルから寄贈されたChromebook 3100 2-in-1は代表としてTsubasaさんとHARUOくんが受けとりました