SNEXTは12月12日、自社ブランド「final」と「ag」、同社取り扱いブランドの製品を販売する「final STORE(ファイナル ストア)」を東京・秋葉原で12月12日に開店する。営業時間は11時~20時(年末年始休暇を除く)。オープンに先だって12月10日に内覧会が開催され、音へのこだわりを詰め込んだ店内を見ることができた。
店内には「中学生のお小遣いでも買えるイヤホン」をコンセプトに開発された、2,000円台のエントリー向けイヤホン「E1000」や、VRやバイノーラル音声向けに開発された「E500」(税込2,020円)、finalが音質監修したagブランドの完全ワイヤレスイヤホン「TWS03R」(税込5,980円)といった手に取りやすい製品から、finalの技術の粋を結集した最上位イヤホン「A8000」(12月13日発売予定、税込198,000円)まで、多彩な製品を取りそろえていた。
final STOREは、JR秋葉原駅から御徒町駅方面に歩いて約3分、銀座線末広町駅からも徒歩3分という立地にある、JR高架下の商業施設「SEEKBASE」(シークベース)内に開設。SEEKBASEを運営するジェイアール東日本都市開発は、「『日本の技術』に敬意を表し、かつての電気街を意識したこだわりと専門的で独特な世界観を目指す。若者や訪日客が『未知のワクワクとスグレモノを探すことができる』ショップを集結させた」と施設について説明しており、その一角にfinal直営店がオープンするかたちとなる。
finalブランドの製品は音質に定評があり、コアなポータブルオーディオのファン層から支持されている。finalでは2015年に神奈川・川崎市幸区の本社にショールームを開設し、これまで様々なイベントを実施してきたが、アクセスの分かりにくさや「もっと気軽に立ち寄りたい」といった来場者の声を受け、新たにfinal STOREを秋葉原に開設することを決めたという。今後、SEEKBASEの催事スペースを利用した各種イベントの開催を検討している。
エントリーから上位機まで、多彩なラインナップがそろう
final STOREの入口では、かつて戦国武将が用いていた甲冑が出迎えてくれる。オーディオ店ながらいきなり意表を突く展示だが、これはただの飾りではなく、finalのブランド思想を体現するものとして鎮座している。
「黒漆塗本小札紺糸毛引威胴丸具足」と名付けられたこの甲冑は、本来は戦のために作られるものではあるが、その華やかな工夫、意匠には発注者の趣味や教養が表れており、実用品でありながら工芸品でもある。
finalはイヤホン・ヘッドホンの実用品としての価値だけでなく、「製品の意匠や存在感も、ユーザー個人の価値観を表現するものであってほしい。それが次のユーザーに受け継がれ、アンティークとしての価値も持ち続けられるようになってほしい」との願いを込めた象徴として、この甲冑を選んだというわけだ。
店内には自社ブランド「final」と「ag」の製品に加えて、SNEXTが取り扱う「DITA」、「MEZE Audio」といったブランドのイヤホン・ヘッドホンや、Questyleブランドのハイエンドポータブルプレーヤーなどが随所に並んでいる。
約40万円台の「D8000」や、MEZE Audio「Empyrean」などのハイエンドな開放型ヘッドフォンをじっくり聴ける防音室もストア内に用意した。幅広い世代のオーディオマニアから注目を集めている製品だが、開放型ヘッドホンは外の物音が聞こえてしまうため、本来は音に集中して落ち着いて試聴できるスペースが必要であるものの、そうした場所はなかなか多くはない。
final STOREの防音室内には1人がけのソファと机、PCを使ったオーディオシステムが導入されており、これらの製品の購入を検討している人にとって貴重な場所となりそうだ。
ユーザーが自分でイヤホン本体のネジを開け、音を調整するフィルターを交換して好みの音を作れるイヤホン「MAKEシリーズ」の修理依頼もfinal STOREで受け付ける。実際の修理作業は秋葉原ではなく、別の場所にある工場で行われることになるが、ストアの店員と対面で不具合の情報を共有するため、従来のメールベースでのやりとりよりも修理期間の若干の短縮が期待できるそうだ。
finalではイヤホン自作を体験できるイベントや音響講座などを不定期で開催しているが、今後はSEEKBASEの催事スペースなどを利用してこれらのイベントの開催も検討しているという。