APS-Cフォーマットの「Z 50」を11月22日に発売するなど、着実にミラーレス一眼カメラのラインアップを強化しているニコン。そこに、注目のレンズが登場しました。明るい広角レンズ「NIKKOR Z 24mm f/1.8 S」です。広角レンズならではのパースペクティブ(遠近感)を、ゆがみのない端正な描写で存分に味わえる満足のいく仕上がりになっていました。

  • ニコン純正のZマウントの単焦点レンズとしてはもっとも広角となる「NIKKOR Z 24mm f/1.8 S」

    ニコンが10月18日に発売したZマウントの単焦点レンズ「NIKKOR Z 24mm f/1.8 S」。実売価格は税込み12万5000円前後

最短撮影距離はセンサーから0.25mととても短く、被写体に思い切り近づいて撮れるのが好印象です。24mmという広角レンズのワイド感を思う存分楽しめるでしょう。それでいて、歪曲収差が徹底的に封じ込められているので、直線が不自然にゆがまずに気持ちよく真っすぐに写るのも特徴となっています。

レンズ構成は10群12枚(EDレンズ1枚、非球面レンズ4枚)で、定評のあるナノクリスタルコートも施されています。絞り羽根は9枚で円形絞りとなっているので、点光源でもキレイなボケを味わえます。

  • 描写性能を追求した「S-Line」に属する高性能レンズ。ほかのS-Lineのレンズと同じくシンプルでコンパクトなデザインだが、質感は高い

描写性能も、さすがZマウントの最新レンズという感じで、絞りを開けてもよし、絞ってもよしという印象です。風景からスナップ、そしてナイトシーンまで、さまざまなシーンで24mmのワイド感を堪能できました。オートフォーカスの精度とスピードも快適で、スナップ撮影がとても捗ります。レンズのサイズも約78mm(最大径)× 96.5mmで重量は約450gと携行しやすく、常用レンズとして使うのも良さそうです。

これで、ニコンZマウントのF1.8プライムレンズは24mm、35mm、50mm、85mmと4本そろいました。どれも高性能かつコンパクトなレンズなので、すべてそろえてみたくなるでしょう。

  • 再開発が著しい渋谷をブラブラと撮り歩きました。旧東横線のプラットホームを模したペデストリアンデッキをアンダー目に撮りましたが、美しい光芒とヌケのいいコントラストのカットになりました(ISO100、1/500秒、F8.0)

  • 軽量コンパクトで実に取り回しがしやすいレンズだと感じます。立ち並ぶ鳥居の中でも撮影を妨げません。レンズが明るいうえ被写体に寄れるので、ピント面はシャープで、背景は美しくボケた写真を撮ることができます。色再現も鮮やかでいい印象です(ISO100、1/200秒、F1.8)

  • カメラはフルサイズの「Z 6」を使用しましたが、レンズとのマッチングも良好でした。オートフォーカスも高速かつ正確で、上質なボケ味を演出しつつ、古びた商店街の雰囲気を写し取ることができました。夕暮れ時の色合いがいい感じです(ISO100、1/1000秒、F1.8、+0.3補正)

  • 開放値F1.8と明るいので、薄暮から夜のスナップが実に楽しいレンズです。渋谷にある立ち食い蕎麦屋の店先で、メニューを見て悩む外国人観光客を撮りましたが、目で感じたままにこのレンズは捉えてくれました(ISO140、1/25秒、F2.8、+0.7補正)

  • 多摩川に佇む男性。乗ってきたと思われる自転車が木に立てかけられています。24mmというワイド感を活かしてフレーミングしましたが、イヤなゆがみがなくスーッと目に入ってくるようなパースペクティブがいいですね。あらゆるシーンで活躍するレンズでしょう(ISO100、1/320秒、F5.6)

  • まるで残暑のような日射しを浴びる東京駅。メリハリがあり、スカッと気持ちがいい描写をしてくれました。建物の立体感も素晴らしく、直線がビシッと真っ直ぐに写し取られています(ISO100、1/500秒、F8.0)

  • 細かい描写もなかなかのもの。年季を感じさせる壁や窓、軒先の植物まで、下町のレトロな建物を克明に捉えてくれました(ISO100、1/125秒、F5.6)

  • 24mmというワイド感とゆがみのない写り、そして精細感を軽量コンパクトなサイズで実現しています。このようなモニュメントや建築物、スナップ、風景まで、撮り手の期待に応えてくれるレンズに仕上がっていると感じました(ISO100、1/80秒、F4.0、-0.3補正)

  • 夜が長くなるこれからの季節ですが、このレンズならばナイトシーンの撮影も存分に楽しめます。Z 7やZ 6は強力なボディ内手ぶれ補正機構を搭載しているので、ちょっとお洒落なイルミネーションや夜景などの撮影も手軽にできます。しかし、本当に直線が真っすぐに写って気持ちがいいレンズですね(ISO320、1/25秒、F1.8)

  • インテリジェントビルの手すりに発見した雨の痕跡で、近接撮影能力と開放絞りを味わってみました。ピントが合った部分のキリッとした描写と、背景に浮かぶ玉ボケの美しさが何ともいえません。バランスのよいレンズだといえるでしょう(ISO720、1/25秒、F1.8、+0.3補正)