日本音楽著作権協会(JASRAC)は11月18日、JASRACの今後のビジョンを示した「つなごう未来へ、世界へ。80年目の変革宣言」を発表。著作権管理における手数料率をはじめ、既存事業の見直しなどを進める。さらに、アジア地域の著作権管理団体への支援など、新規事業にも取り組む意向を明らかにした。

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    JASRAC、今後のビジョンを示した「つなごう未来へ、世界へ。80年目の変革宣言」を発表

2019年に創立80周年を迎えたJASRACは、“変革宣言”の中で「権利者や利用者の方々の視点に加え、広く皆さまの視点を重視し、文化芸術の普及発展に資する取り組みに力を注ぐ。『著作権管理事業』という音楽創作のサイクルを支えてきたエンジンに加え、『委託者共通の目的にかなう事業』という2つめのエンジンを備える組織に変わり、新たな事業を開始する」という。

既存の著作権管理事業では、「デジタルトランスフォーメーション」と「組織人事の見直し」を進め、委託者の方々への付加価値の向上、委託者・利用者の皆さまへのサービス・満足度の向上にむけた、透明性の確保と経費削減を実現する。これらは2023年度の完了をめざす。

具体的には、以下の取り組みを行う。

  • 権利者向けに、委託者への使用料の分配を増加させる取り組みの強化
  • 委託者自身の音楽作品の管理状況を、より分かりやすくするシステムの整備
  • 著作権管理事業の手数料を見直し、2022年に新管理手数料率を完成させる
  • データベースの整備、分配明細書の精緻化などの取り組みを充実させる
  • ライブハウスなどの演奏に対して支払われた使用料の分配を全曲分配方式へ移行
    ※全曲分配方式:使用された全ての音楽作品の報告を元に、分配比率を決める
  • 利用内容などの詳細な情報を委託者に届ける取り組み

また、音楽を利用する人向けには、音楽利用の手続きの利便性向上を今まで以上に強化。「お支払いいただいた使用料が、きちんと権利者に届いていることを、利用者の皆さまにも実感いただけるような仕組みを整える」としている。

これらの著作権管理事業の変革のために、「ブロックチェーンやAIなどの先進技術の活用が欠かせない」とし、様々な先進技術の実用化に向けた検証を進めているという。

なお新規事業については、具体的にどのような事業を行うかは決まっていないが、「著作権思想の普及」のほか、「アジアの団体への支援」を例に挙げている。「アジアでは、かつて日本がそうであったように、集中管理制度の発展が必要。欧米諸国の支援によってJASRACの管理基盤が培われた恩返しとして、JASRACがアジアの団体に支援を行うことも検討していくべき」との見解を示した。

実施する事業については、公正性・透明性のある決定プロセスが求められるとして、外部有識者で構成した委員会において検討していく。