Iris Plusは本当に高性能なのか細かく検証してみる

New XPS 13 2-in-1は、インテルの「Ice Lake」世代CPUを採用しています。特に処理能力が向上したとインテルが訴求する統合型グラフィックスコア「Intel Iris Plus Graphics」が、ゲームタイトルでどれだけの実力があるか関心を寄せるユーザーも多いといいます。

この検証記事では、PCMark 10、CINEBENCH R15、3DMarkでPCとしての基礎体力を測定した後、「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズベンチマーク」でグラフィックスの負荷条件を変更しながら「快適」レベルで動作する設定を見極めてみます。なお、比較対象としてはXPS 13(2018年モデル)で測定した値を並べています。

スペック New XPS 13 2-in-1 XPS 13(2018年モデル)
CPU Core i7-1065G7 Core i5-8250U
グラフィックスコア Iris Plus Graphics UHD Graphics 620
システムメモリ LPDDR4 16GB LPDDR3 8GB
ストレージ 1TB PCIe SSD 256GB PCIe SSD
ベンチマークテスト New XPS 13 2-in-1 XPS 13(2018年モデル)
PCMark 10 3590 3101
PCMark 10 Essential 7783 6766
PCMark 10 Productivity 5842 4648
PCMark 10 Digital Content Creation 2761 2573
CINEBENCH R15 CPU 670 495
CINEBENCH R15 CPU(single) 183 160
CrystalDiskMark 6.0.2 Read(Seq Q32T1) 2300.9 3087.6
CrystalDiskMark 6.0.2 Write(Seq Q32T1) 1381.1 1186.2
3DMark Night Raid 7806 5243

ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズベンチマークでは、ベンチマークテスト側で事前にPCのグレードに合わせた設定モードが用意されています。それぞれの設定モードでは、グラフィック設定の各項目を負荷の重さに合わせて変えています。ここで、以下に設定モードごとのグラフィック設定項目を並べてみましょう。

グラフィック設定 ノートPC標準 デスクトップPC標準 ノートPC高画質 デスクトップPC高画質 最高画質
水漏れ表現 有効
オクールジョンカリング 有効 無効
LOD 有効 無効
リアルタイムリフレクション 適用しない 最高品質
アンチエイリアス 適用しない FXAA
ライティング 標準品質 高品質
細かい草の表示量 簡易表示 通常表示 最大表示
背景の細かい凹凸表現 標準品質 高品質
水面の凹凸表現 標準品質 高品質
照り返しの表現 適用しない 標準品質
影の表示(自分) 表示する
影の表示(他人) 表示しない 表示する
キャラクターの影のLOD 有効 無効
影の解像度 1024ピクセル 2048ピクセル
影の表示距離 通常 最長表示
ソフトシャドウ 弱く 強く
テクスチャフィルタ トリリニア 異方性
テクスチ異方性フィルタ x4 x8 x16
揺れ表現(自分) 適用
揺れ表現(他人) 適用しない 簡易適用 適用する
周辺減光 無効 有効
放射ブラー 有効
SSAO 適用しない HBAO+:標準品質 HBAO+:高品質
グレア 通常
水中のゆがみ 通常
被写界深度表現 有効

ディスプレイ設定で解像度を1920×1080ドットに固定し、グラフィックス設定を変更して測定したベンチマークテストのスコアと評価は以下のようになりました。

グラフィック設定 スコア 評価
ノートPC標準 2839 やや快適
デスクトップPC標準 3014 やや快適
ノートPC高品質 2127 普通
デスクトップPC高品質 1743 設定変更を推奨
最高品質 1543 設定変更を推奨

最も負荷の軽い設定でも評価は「やや快適」にとどまりましたが、それでも、ノートPCの高品質設定までは普通とプレイには支障のない評価。一方で、デスクトップPC高品質以上の負荷設定では設定変更を推奨と性能に不足している評価となっています。

FFXIVが現実的に「遊べる」ポイントを探ってみる

そこで、今度はノートPCの高品質から上の設定では解像度を下げていって評価が快適となる設定を捜してみる一方で、ノートPCの標準設定では、解像度を上げていってどこまで普通の評価を得ることができるか確認してみました。

グラフィック設定 解像度設定 スコア 評価
ノートPC高品質 1600×900ドット 4773 快適
ノートPC高品質 1280×720ドット 5997 とても快適
デスクトップPC高品質 1600×900ドット 3039 やや快適
デスクトップPC高品質 1280×720ドット 4791 快適
ノートPC標準 2560×1600ドット 2496 普通
ノートPC標準 3840×2400ドット 1049 設定変更が必要

ノートPC高品質設定では解像度を1600×900ドットに下げるだけで評価は一ランク上がりました。一方で、デスクトップPC高品質設定では1280×720ドットまで解像度を下げないと評価は上がりません。また、ノートPC標準設定では、解像度を2560×1600ドットに上げた段階で評価は普通となり、3840×2400ドットでは設定変更が“必要”まで評価が下がっています。

以上、検証してきましたようにデスクリートのGeForce上位クラスとまではいかないものの、従来の統合型グラフィックスコアと比べて明らかに描画処理能力は向上しています。また、処理能力以外でもキーボードのタイプ感やディスプレイの表示能力など、これまでのXPS 13とは一線を画するモバイルノートPCに生まれ変わったといえます。New XPS 13 2-in-1は、デルの「3年先を見据えた最先端のモバイルノートPC」という言葉に違わない実力を持ったモデルだといえるでしょう。