• 10月19日(大阪)と10月26日(東京)に開催されたIIJmio meeting #25

インターネットイニシアティブ(IIJ)は10月19日(大阪)と10月26日(東京)、トークイベント「IIJmio meeting #25」を開催した。毎回MVNOやIIJにまつわるディープな話題で盛り上がる同イベントだが、今回はメーカー自身がスマホの最新機種をアピールするなど、いつもとちょっと違ったユニークな試みも行われた。東京会場のレポートをお届けする。

  • 司会はいつもお馴染み、IIJの堂前氏。流れるような司会トークはMVNO界随一との評判(筆者調べ)

まずは前回のmeetingからIIJmioが実施した様々な施策を紹介するIIJmio Updateから。9月・10月と連続して台風や大雨の被害が続いているが、被災地について、IIJmioの通信サービスに関しては、災害救助法の対象地域に住んでいる人(登録時の住所に基づく)は自動的に、通信容量2GBが追加で提供される。災害救助法の指定は災害が起きてから認定までにタイムラグがあるので、日々政府の発表を見ながらアップデートしているとのこと。また固定網サービスの「IIJmioひかり」については、通信料の減免などが提供されるが、こちらはNTT東西との調整も必要であることから、自己申請が必要になるという。

また、iPhone 11シリーズとIIJmio eSIMについて。eSIMが動作することは確認できているそうだが、通常のSIMとの挙動でおかしな部分があることに加え、iOS 13が不安定で毎週のようにアップデートが登場することもあり、検証が追いついていない状態だという。iOSのアップデート(13.2)が予定されているようなので、それが登場して安定したら検証を進めたいとしていた(10月29日にアップデートが登場)。

IIJmioに限定した話題ではないのだが、セキュリティ関連の情報として、SIMカードの「PIN」を使ったロックに関する注意喚起があった。PINとは「Personal Identification Number」(個人識別番号)の略で、いわゆる暗証番号のこと。最近はスマートフォン側の盗難対策が充実してきたこともあり、SIMカード自体がターゲットになるケースも増えている。あるテレビ番組で、ロックしたスマートフォンからSIMを盗まれて勝手に使われることを防ぐために、SIMにPINによるロックをかける方法を紹介していたところ、PINロックのかけ方を誤ってしまい、SIMが使えなくなってしまったという問い合わせが増えたという。

SIMカードにPIN(4〜8桁の数字)を設定した場合、スマートフォンに刺した時、および再起動した時にPINを要求。正しいPINを入力できなかった場合、3回失敗するとSIMがロックされる。番組ではこの方法でSIMを盗難されても勝手に使われずに済む……という方法を紹介したかったわけだが、実はここに罠がある。

スマートフォンでPINを設定する際、最初にPINを入力する画面が表示される。ここで新しく設定するPINを入力したくなるのだが、実は、最初はデフォルトのPINコード(キャリアによって異なる)を入力しなければならないのだ。これで自分で設定するコードを入力してしまい、エラー→再入力を3回繰り返してロックがかかってしまうわけだ。

PINによるロックがかかった場合、「PUKコード」(Personal Unblocking Code)を使えば解除できるのだが、PUKコードの入手方法もキャリアによって異なり、さらにPUKコードを10回間違えるとそのSIMは解除不能になってしまう。こうなると、キャリアで再発行してもらうしかない。

  • ASUSからはゲーミングスマホのROG(アールオージーと発音)phoneとローエンドのZenFone「PINロック」といっても似たような用語が多く、大変紛らわしい。人によってはWindows 10のログインでもPINが使えるので、ますます紛らわしい、かも

そこでSIMに対するロックをかけたいところだが、なかなか運用は難しいようだ。あるいはeSIMが普及すれば、こうした問題も解決しやすくなるだろう。業界全体でのeSIM推進に期待したい。

このセッションに付随するかたちで、「IoT & Machinistアップデート」と題し、IIJが推進中のIoTサービス関連の新情報が提供された。まずは自作IoT派の人向けに、ソニーセミコンダクタソリューションズのマイコンボード「SPRESENSE」(スプレッセンス)シリーズから、SIMカードを差して直接LTE通信が可能になる拡張ボードが12月に登場する。通信は低速なLTE-Mだが、乾電池で数カ月利用できるという省電力性能が大きな魅力。会場ではデモおよび年内無償貸し出しが行われ、大いに注目を集めていた。

  • 会場でのデモの様子。右側の箱は、カメラモジュールで写した数字を文字認識し、テキストデータとしてサーバに送るという内容。通信速度が遅いLTE-Mではこうした工夫も必要になる。また左側では6コアのCPUを生かし、マイクを4つ接続し、コア1つが1つのマイクの解析を担当、残る2つでデータ送信などの処理を行えるというもの

また、IoT機器から収集したデータの可視化サービス「Machinist」が正式サービスを開始。これまで通り、最大10メトリックまでの無償プラン「フリー」に加え、有償プランとして月額680円で100メトリックまで扱える「スタンダード」が追加。保存するデータも、フリーが1カ月なのに対し、スタンダードでは6カ月になる。またデータを監視して規定した条件で通知する「アクション」については、メールのほか、SlackやMicrosoft Teamsにも対応し、メトリックの迅速な監視ができるようになったとのこと。IoT開発をしている人にはぜひ活用していただきたい。