「大は小を兼ねる」という言葉がありますが、特にモバイルノートPCには当てはまらないと思っています。日本エイサーの新型ノートPC「Swift 7」の売りは、薄さ&軽さ。

14.0型液晶パネルを搭載しながら、Webカメラをキーボード面に追い出すことで、画面占有率92%の狭額縁「ゼロフレームディスプレイ」を実現しつつ、厚さ約9.95mm、重さ約850gの薄型・軽量ボディを達成しています。手に持った感覚は、雑誌未満、大学ノート以上。スマートさを最優先するなら、非常に魅力的なモデルです。

  • Swift 7

    日本エイサー「Swift 7」の実売価格は25万9,000円前後(税込)

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    実測重量は843.5g。ちゃんとカタログスペックを下回っています

低消費電力・低発熱をより重視したYプロセッサーを採用、性能はそこそこ

Swift 7には、Core i7-8500Y・16GBメモリ・512GB SSD(PCIe接続)を搭載したコンシューマーモデルと、Core i5-8200Y・8GBメモリ・256GB SSD(PCIe接続)を搭載した法人モデルの2種類が存在します。

ラインナップは、コンシューマーモデルがスターフィールドブラック「SF714-52T-A76Y/K」とムーンストーンホワイト「SF714-52T-A76Y/W」です。法人モデルは、Officeなしの「SF714-52TP-A58U」、「Office Home & Business 2019」を搭載した「SF714-52TP-A58UB9」、「Office Personal 2019」を搭載した「SF714-52TP-A58UL9」という構成。つまり、コンシューマーモデルはカラー、法人モデルはOfficeの有無と種類で差別化されているわけです。

上述のように、コンシューマーモデルのCPUは第8世代Intel Coreプロセッサー(Amber Lake Y)の「Core i7-8500Y」(2コア4スレッド、1.50~4.20GHz)、法人モデルのCPUは「Core i5-8200Y」(2コア4スレッド、1.30~3.90GHz)です。これらは低消費電力・低発熱をより重視した「Yプロセッサー」で、多くの薄型ノートPCに搭載されている「Uプロセッサー」に処理性能では及びません。

今回、Swift 7のコンシューマーモデルで定番ベンチマークを実施してみましたが、CPUベンチマーク「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアは「213 cb」、総合ベンチマーク「PCMark8」のHome Accelerated 3.0は「2944」、Creative Accelerated 3.0は「3608」、Work Accelerated 2.0は「3976」、3Dグラフィックスベンチマーク「3DMark」のTime Spyは「262」、Fire Strikeは「729」というスコアに留まりました。

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    CPUベンチマーク「CINEBENCH R15.0」のCPUスコアは「213 cb」

たとえば、Uプロセッサーを搭載するノートPCのなかには、CINEBENCH R15.0のCPUスコアが「700 cb」を超えるマシンもあるので、Swift 7の処理性能はその約30%ということになります。

ただし、ベンチマークスコアほど差を感じるかというと、そのようなことはありません。ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.2」では、Q32T1 シーケンシャルリードで1639.2MB/s、Q32T1 シーケンシャルライトで840.2MB/sというスコアを記録しています。ストレージの性能は体感速度に大きく影響します。動画編集アプリや最新3Dゲーム以外の一般的な用途であれば、十分なパフォーマンスを備えていると言えます。

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    ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 6.0.2」で計測したQ32T1 シーケンシャルリードは1639.2MB/s、Q32T1 シーケンシャルライトは840.2MB/s

バッテリー駆動時間は「BBench」を用い、バッテリー残量5%までの所要時間を計測しました。ディスプレイ輝度40%の状態で、8時間15分58秒、動作しました。薄型・軽量ボディを実現するために、Swift 7のバッテリーは32Whと決して大容量ではありませんが、Uプロセッサーよりもさらに低消費電力を追求したYプロセッサーを搭載しているだけに、モバイル用途に十分なバッテリー駆動時間を実現しています。

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    内蔵バッテリーの状態をチェックする「poweercfg /batteryreport」コマンドを実行したところ、設計容量は31,994mWh、フル充電容量は30,977mWhと表示されました

インタフェースは最低限だが、USB-Cマルチポートアダプタを同梱

Swift 7の本体サイズは317.90×191.50×9.95mm(幅×奥行き×高さ)、重さは約0.85kg。9.95mmの高さ(厚さ)はディスプレイ側と本体側を合わせた数値です。傾斜の付いた本体側面を大根に叩きつければ、両断できてしまいそうな薄さです。

思わずそんなチャレンジをしたくなるほど薄いので、インタフェースは最低限。USB 3.1 Type-C Gen2(最大10Gbps、USB Power Delivery、Display Port、Thunderbolt 3対応)×2、ヘッドセット端子のみです。本体側の端子部付近の厚みが実測6.1mmなので、USB Type-A端子などを省いているのは仕方がないですね。

しかし、USB Type-A、USB Type-C、HDMI端子を備えた「Acer USB Type-Cマルチポート変換ケーブル」を同梱しているので、必要最低限の拡張性は確保されています。SDメモリーカードリーダーや有線LAN端子が必要な場合は、サードパーティー製品を用意しましょう。

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    本体天面(下がヒンジ側)。ボディにはマグネシウムリチウム合金とマグネシウムアルミ合金が使われています

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    本体底面(上がヒンジ側)。右上にある5つのスリットは排水口、その右下の小さな穴はリセットスイッチ。底面に放熱口は設けられていません

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    上が本体前面、下が本体背面。本体背面の左右には、ディスプレイを開いたときテーブル面に接地するゴム足が設けられています

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    上が本体右側面、下が本体左側面。右側面にはUSB 3.1 Type-C Gen2(最大10Gbps、USB Power Delivery、Display Port、Thunderbolt 3対応)×2、左側面にはヘッドセット端子、電源インジケーター、バッテリーインジケーターが配置されています

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    キーボードは日本語仕様のみ。詳しくは後述します

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    貸出機には本体以外に、専用スリーブケース、45W USB Type-C ACアダプター、電源ケーブル(1m)、Acer USB Type-Cマルチポート変換ケーブルが同梱されていました。製品にはこのほかに、セットアップガイド、保証書、修理依頼書、国際旅行者保証書、ノートブック説明(Addendum for notebooks/tablets)、Acerパソコン出張サポート案内が付属するとのことです

  • Swift 7

    45W USB Type-C ACアダプターと電源ケーブルの合計重量は実測258g。携帯用には、サードパーティー製のUSB Power Delivery対応USB ACアダプターを用意することをオススメします

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    Acer USB Type-Cマルチポート変換ケーブルは、USB Type-A、USB Type-C、HDMI端子を増設可能です