Mozillaは先日、Firefoxの最新版となる「Firefox 70」のロールアウトを開始した。このバージョンはすべてのプラットフォームでトラッキングブロック機能がデフォルトで有効になったことが注目されるが、「Firefox Lockwise」というパスワード管理機能の強化が行われた点も注目される。

1年ほどかけてMozillaが構築してきた環境が整い始めており、ただのパスワード管理機能ではなく「パスワード管理アプリ」として注目されるようになってきている。

Firefox Lockwise」はMozillaが提供しているパスワード管理機能および同期機能。Firefoxで入力したパスワードは自動的にFirefox Lockwiseの管理対象となる。同期機能を有効化すれば、iOSやAndroidでもFirefoxで入力したパスワードを利用できるようになる。

  • iPhoneで動作するFirefox Lockwiseアプリのサンプル その1

    iPhoneで動作するFirefox Lockwiseアプリのサンプル その1

  • iPhoneで動作するFirefox Lockwiseアプリのサンプル その2

    iPhoneで動作するFirefox Lockwiseアプリのサンプル その2

パスワード管理に関しては、有償無償含めいくつものサービスとアプリが既に存在している。増え続けるパスワードを適切に管理するには、パスワード管理アプリの活用が欠かせないと指摘されることが多い。MozillaはすでにiOSとAndroid向けにFirefox Lockwiseアプリを提供しており、デスクトップのFirefoxで入力したパスワードをiOSやAndroidでも利用できるようになっている。

アプリとしてのFirefox Lockwiseの出来は既存のパスワード管理アプリと比較するとかなりシンプル。提供されている機能も少なく、UI/UXが別段優れていることもなく、アプリそのものの優位性はそれほど感じられない。しかし、Firefoxで入力したパスワードデータが自動的に同期の対象になる利点は大きく、Firefoxをメインで使っているユーザーにとってはFirefox Lockwiseがパスワード管理アプリの第一候補になっていく可能性がある。

Mozillaはここ数年でMozilla FirefoxというWebブラウザ以外にデータ漏洩のチェックやモニタリングを提供する「Firefox Monitor」や、大規模ファイルの転送または共有を可能にする「Firefox Send」といったサービスの提供を行っている。Firefox Lockwiseもこうしたサービスと並んで広く使われていく可能性がある。