GoProが10月1日に発表した360度の全天球カメラ「GoPro MAX」(以下、「MAX」)が、いよいよ国内でも発売されます。アクションカムの新製品「GoPro HERO8 Black」と同じ10月25日の発売で、実売価格は税込み67,100円です。今回、同社が国内で開催したお披露目会で語られたMAXの機能と実機のファーストインプレッションをお届けします。

  • GoProが10月25日に発売する新しい360度カメラ「GoPro MAX」

    GoProが10月25日に発売する新しい360度カメラ「GoPro MAX」

片側のカメラを使うアクションカムモードも搭載

MAXは、水深5mまでの防水性能を備えたアクションカムです。本体前後に2つのカメラを備え、それぞれの映像を合成することで360度の全天球を撮影できます。静止画はもちろん、全天球動画の撮影も可能で、5.6K/30fpsの高品位な動画撮影が可能です。

全天球カメラは、リコーの「THETA」、サムスン電子の「Gear 360」といった製品に加え、GoPro自身も「Fusion」というカメラを販売していました。MAXはその後継にあたり、基本性能をHERO8 Black世代に高め、数々の新機能を盛り込んでいます。

HERO8 Blackと同様に、底面に折りたたみ式の「マウントフィンガー」を搭載しているのが特徴です。折りたたんでおけば底面がフラットになって据え置きができ、GoProマウント経由でアクセサリーに接続するときはフィンガーを引き上げれば装着できるようになりました。

  • 底面はフラットな構造になっています

  • 爪を起こすとGoProマウントになります

360度カメラとしては、全天球の撮影を行う「360モード」に加えて、一方のカメラだけを使ってGoPro HEROのような撮影ができる「HEROモード」も用意。正面だけでなく、1.7インチのタッチディスプレイを備える背面側レンズも使えるので、自撮り撮影も容易に行えます。

  • HEROモードと360モードの2種類のモードで撮影が可能

HERO8 Blackに搭載された機能も盛り込まれています。代表的なのが「Max HyperSmooth」。HERO8 BlackにHyperSmooth 2.0として搭載されている強力な手ブレ補正機能は、動画の一部をクロップすることで手ブレをかなり抑えられます。これに対し、MAX HyperSmoothはもともとの画角が広いため、より補正範囲が広く取れることから、さらに手ブレを抑えることができます。

HERO8 Blackは、HyperSmoothに「ブースト」というさらにクロップして手ブレを抑える機能を備えていますが、MAX HyperSmoothはさらに強い補正効果が得られるといいます。実際に試してみると、とにかく手ブレ補正の効果は強力だと感じました。激しくドリフトする自動車内で手持ち撮影してみても、細かい揺れは完全に抑え込まれていました。

  • MAX HyperSmoothの設定。HERO8 Blackとは異なり、オン・オフのみです

クロップによって画角を変更する「デジタルレンズ」機能も、HERO8 Blackと同様に搭載しています。35mm判換算13mm相当という超広角の「MAX SuperView」、16mm相当の「広角」、歪みを抑えた19mm相当の「リニア」、そして27mm相当の「挟角」の4種類を用意。いずれもHEROモードで利用できます。HERO8 Blackにあったデジタルズーム機能はないようです。静止画では、MAX SuperViewと広角の2種類の選択となります。

  • デジタルレンズ機能は4つの画角から選べます。これは、最も広角となる13mm相当の「MAX SuperView」

  • 16mm相当の「広角」

  • 27mm相当の「挟角」

カメラを90度傾けても水平を維持する補正機能が圧巻

片方のレンズで半球を撮影できる点を生かした機能が「水平維持(Horizon Leveling)」機能です。特に、カメラを固定して撮影する場合、カメラの動きで水平が取れなくなることがあります。それを補正してくれる機能ですが、多少の傾きどころか、カメラを真横にしても水平を維持してくれます。

  • 水平維持機能は、特にカメラを固定した場合の水平を取る場合に便利ですが、MAXを縦持ちに変えても水平が維持されます

  • 画像の左側は、最初は通常撮影していた状態でカメラの角度を回転させた瞬間です。右側は実際に記録されていた映像。縦位置になったりせず、水平が維持されています

  • 水平維持は、設定でオン・オフを選択できます

HEROモードのパノラマ撮影機能の「PowerPano」も強力です。一般的なパノラマ撮影は、カメラを動かしながら連写した画像を合成するというものです。広大な景色を一度に押さえられますが、連写画像を合成するため、動きのある被写体は不自然にぶれて写ってしまう欠点がありました。

  • PowerPanoは、ワンボタンで270度というパノラマ写真を撮影できる機能。前方のカメラだけでなく、手前側のカメラも一部を使って合成しているそうです。ワンボタン撮影のため、連写合成とは異なり、動く被写体もブレたりせずに記録できます

  • PowerPanoで撮影した作例。想像以上に広い範囲が撮影できます

PowerPanoは、正面カメラに加えて背面カメラの一部も使い、画角にして270度、6.2MPの画像を1回のシャッターで撮影できます。シャッターは一度なので、被写体のブレは発生しません。360度カメラならではのパノラマ撮影といえます。

独自のタイムラプス「MAX TimeWarp」も搭載しています。HERO8 Blackでは、進化したTimeWarp 2.0が搭載されましたが、この機能をさらに360度の全天球映像としても記録できる点が特徴です。速度を選ぶだけで自動的に最適なタイムラプス動画になり、画面タッチまたは自動で通常速度に一時的に戻す速度変化機能も利用できます。

こうした360度の動画を撮影したあとに便利なのが「Reframe」機能です。これは、Fusionではオーバーキャプチャーと呼ばれていた機能。スマートフォンアプリの「GoPro」アプリに動画を取り込んで編集する際に利用できる機能です。これを使うと、360度動画の中から任意の角度やズーム位置を指定して再生できるようになります。その結果、まるでカメラ自体が動いているような映像が作成できます。

  • GoProアプリのReframeの設定画面。タイムライン上にポイントを設定し、ポイント時点のズーム位置や表示位置を指定すると、自動的に映像が動くというもの。いわゆるKen Burnsエフェクトのようなものです

マイクも強力です。本体に合計6つのマイクを搭載しており、前後のマイクはショットガンマイクとなっています。6つのマイクで全天球の音声をステレオで記録できるほか、HEROモードでは前面または背面のショットガンマイクを使ってカメラの方向の音声を集約して記録できます。

気になったのは、シャッターボタン付近にマイクがあるため、撮影を停止する際に音がこもってしまうこと。撮影時は、あとからトリミングできるように余裕を持って撮影するか、本体マイクへの影響を避けられるアプリを使うといいでしょう。

  • 本体前面と背面。前後にカメラがあるので、自撮りしたい場合は背面側のカメラを使えばいいので便利です。レンズの並びにあるのがショットガンマイクです

  • 背面側にはタッチディスプレイを搭載

  • マイクの設定。「前面」と「背面」の設定でショットガンマイクがオンになります。それ以外だと「ステレオ」と「レンズを一致」の選択ができます。ステレオでは360度の音声が記録できます。レンズを一致の場合は、撮影しているレンズ側のショットガンマイクを使用します

  • 本体上部。シャッターボタンと2つのマイクを搭載

従来のFusionは、全天球カメラとしては評価が高かったといいますが、スティッチングに時間がかかるなど、使い勝手に課題があったといいます。それに対して、MAXは「一般の人が使えるカメラを目指して開発した」(同社)そうです。

  • 本体側面。ロゴがある側面には電源ボタンとマイクを配置

  • もう一方にはバッテリー室があり、microSDカードスロットとUSB Type-Cポートも配置されています

360度撮影が簡単に行え、HEROモードを使えばGoPro HEROシリーズと同じように撮影できるアクションカムとしても活用できる。そんなカメラがGoPro MAXです。MAX HyperSmoothやMAX TimeWarp、ショットガンマイク、モニターを見ながらの自撮りといった具合に、HERO8 Blackを越える機能も備えています。

  • HERO8 Blackのようにキャプチャープリセット機能も搭載しており、設定をワンタッチで切り替えられるようになっていますが、HERO8 Blackのように複数を設定しておくことはできないようです

  • これは動画モードの画面。画面右下がレンズの前後切替ボタン。スマートフォンでいうアウトカメラとインカメラの切り替えのようなものです。左下はHEROモードと360モードの切替ボタンです

  • 360モードの設定画面。基本は5K/30fpsでしょう

【動画】フルHDで撮影した動画。手持ちですがパンも滑らかで、音もきれいに録音されています

【動画】こちらも手持ちで撮影した動画。歩いた場合の縦揺れはあるものの、細かい手ブレは完全に抑えられています

【動画】ドリフトしながら疾走する自動車の助手席から撮影した動画。手持ちなので、Gによってカメラは大きく動いてしまっていますが、水平がしっかり取られているのには驚き。自動車の揺れも最小限に抑えられています

  • 360度画像の作例

360度動画の作例。視点を自由に変えられます。こちらも水平が完全に保たれているのに驚かされます

4K動画や240fpsのようなスローモーション動画など、HERO8 Blackのほうが優れた機能が多いので、どちらが上位モデルとはいいがたいでしょう。360度の全天球の撮影とアクションカムの撮影、両方をこなせる万能選手がMAXといえそうです。