8月3日~4日、東京ビッグサイトにて「Maker Faire Tokyo 2019」が開催されました。モノ作りを楽しむ「Maker(メイカー)」のお祭りで、現在のように東京ビッグサイトで2日間の開催になったのは2014年。今年も楽しんできました。

メイカーのお祭りというと大人向けのイベントのように聞こえますが、会場では子ども向けのワークショップなども多く、非常に賑わっていました。特に今年は、来年からプログラミング教育の必修開始という事情もあったでしょう。

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    お祭り気分を盛り上げるためか、提灯が並べられていました

Nerdy Derby健在

Maker Faire Tokyoに、「Nerdy Derby」というプログラムが米国から輸入されたのは2016年。これは、「指定された材料」「好きに加えていいパーツ」「アイディア・発想」によって製作する、おもちゃの車レースです。まず車のシャーシとなる木の板、車輪となるワッシャとボルトが渡され、その後は閉場まで自由に車のカスタマイズと調整、指定コースでのレースが楽しめます。「大人がやってもいいのかなぁ?」と思っていたら、大人部門も用意されました。

今年は会場が狭くなったのと、既存のコースが老朽化したということで、若干小規模に。メインコースとジャンプコースの2つでした。主にメインコースでタイムを競います。今年はコースを作り直したそうで、自動スタート装置と1/1000秒単位のタイム測定が付いていました。

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    大人気イチオシコンテンツが「Nerdy Derby」で、自作の車で競争。速さだけでなく「最後にゴールした人が勝ち」というのもあります

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    ボディと車輪、車軸という指定された材料のほかに、好きなパーツを選んでパワーアップすることも可能

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    工作開始! テーブルの中央にあるのはうまく動くか確認のためのコースです

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    本戦コースでタイムを計ってくれます。加速後のジャンプをスムースにこなさないとダメと、けっこう難しいコースです

ほかにも、段ボール工作、分解ワークショップ、プログラミングカフェといった豊富なコンテンツがあります。追加のチケット売り場には、開場直後から長い行列ができていました。

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    こちらは段ボールでカメラを作ろうというコーナー。段ボール相撲もありました

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    マスコットキャラクターのMakeyくんも段ボール製

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    分解ワークショップ。色々な家電品を分解して楽しめます。画像では見えませんが、メカモノとしてミシンがありました

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    プログラミングカフェ。2020年から小学校でプログラミング授業が始まるとあって、こちらも大人気

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    コルクのコースターにMakey君を書くというコーナー。ヤケドに注意すれば自宅でもできそうです

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    ストローを組み合わせた工作コーナー。これも自宅で作れそうです

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    これらのワークショップは有料ですが、朝から大行列(画像は開場開始から4分後)

ベネッセは先端学校にスペースを提供

今年はベネッセがプラチナスポンサーとして参加しました。メイン入口に近いキッズ&エデュケーションゾーンに「School Maker Faire」として出展。先進的な活動をしている学校を招待し、発表スペースとして利用していました。

一つ聞いてみたところ、身近な問題として「下校時の混雑緩和」をシミュレーションして、最適な下校間隔を算出するというものがありました。高校生では習わない数式や理論を理解し、JavaScriptを使って画像シミュレーションを行うのは立派です。

Choromebookを使っていたので聞いたところ、すでに2年前から「一人1台のPC」を実践しているとのこと。こういう下地が、次の優秀な人材育成につながっていきます。

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    ベネッセがスペースを提供した「School Maker Faire」

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    生徒が一斉に下校すると混雑が激しいので、時間を区切って下校。その最適解を求めようとしています

プログラミングだけと思いきや、工作がほぼ必須で歴史も長い「マウス」

なかなか面白いと思ったのは、自律的に迷路を解く「マウス」と呼ばれる競技。日本では1980年から行われている歴史のある競技です。以前からあるものは「クラシックマウス」と呼ばれ、現在は「マイクロマウス」という手のひらに載る超小型のものがあります。

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    全日本マイクロマウス大会として公益財団法人ニューテクノロジー振興財団が採用している競技は、「ロボトレース(白線に沿って動く)」、「クラシックマウス」、「マイクロマウス」で、それに使う機材の例

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    マイクロマウスは幅9cmのコースを走らせるため、おおむね手乗りサイズの超小型です

迷路を自ら解き、最短ルートを求めて最速でクリアするという競技なので、標準ハードウェアがあると思いがちですが、ほとんどが自作です。マイクロマウスの市販品は53×40×12mmと超小型なので、これと同じようなものを作るにはかなりの技術が必要。ただ、ルールがやや甘いこともあって、新技術・新発想を入れる余地があります。

会場で最速を叩きだしたマウス(車)は、左右の駆動用モーター以外にファンを取り付けて強制的にダウンフォースを発生させるようになっていました。会場でデモランを行っていた方に話を聞くと「(ファンなしの車なので)これ以上のスピードアップはタイヤのスリップが顕著になって難しい」、「(ファンありの車だけど)これくらいの速度ではファンの効果は少ない」と、意見が分かれていたのが印象的でした。

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    マップサイズは色々ありますが、9×9のコースが使われていました

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    リーダーズボードは、最適解を見つけてからタイムトライアルを行った最短時間です

【動画】一番早い「赤い彗星2」さんの動き……早すぎです
(音声が流れます。ご注意ください)