ドライブレコーダーが撮影した動画を「夏休みの思い出動画」にして活用するための方法を紹介する企画。前編では、編集に必要なフリーウエア「Avidemux」を導入する方法を紹介しましたが、後編ではタイムラプス動画化して“時短”で見られるようにする方法や、テロップを入れる方法などを紹介します。
フィルター(エフェクト)をかける
「Avidemux」にはさまざまなフィルター機能が用意されていて、少し凝った編集が可能だ。ドライブレコーダーの動画編集に使えそうなフィルターだけでも「フレームレートの変更」(スロー再生・高速再生)「テロップの挿入」「簡易モザイク処理」「解像度の変更」「シャープネス」「カラー補正」「明るさ・コントラスト補正」などがある。
タイムラプス動画にすれば早送りで再生できる
撮りっぱなしのドラレコ動画は長いので見るのが退屈なうえ、SNSなどにアップロードするのにも不向き。できるだけ短い時間で再生できるようにしたい。そこでオススメなのが「タイムラプス動画」を作成することだ。
タイムラプス動画は、コマ撮りで撮影をしたものを通常の速度で再生することで高速再生が可能になる動画。例えば、1秒に1枚撮影した静止画をフレームレート30fpsの動画にすると、30倍速の動画となる仕組みだ。ドライブレコーダーは、フレームレートが30fpsくらいの製品が多いので、これを60fpsに変換すれば2倍速、120fpsに変換すれば4倍速となる。
通常の動画をタイムラプス動画に変換するのは、それほど難しくはない。Avidemuxで動画出力のフィルターをクリックすると、さまざまなフィルターが表示される。左の分類から「トランスフォーム」を選択し、利用可能なフィルターの「FPSを変更」をダブルクリックすると「FPSを変更」の設定画面が開く。標準状態では、上段が元動画のFPSとなっている。
「対象のFPS」のプルダウンを開くと、複数の選択肢が表示される。今回の場合、オリジナルのドライブレコーダー動画が29.97fpsなので、59.93fpsを選ぶと2倍速となる。その下にある「対象のフレームレート」に任意の数値を入力することも可能で、最大は200fpsなので、約6.67倍速の高速再生が可能だ。設定を保存すると、右側の「アクティブなフィルター」の欄に採用されたフィルターが表示される。複数のフィルターが登録できるので、FPSを変更したうえで明るさを補正し、解像度を変更する、といった処理をまとめて行うことも可能だ。
このまま動画を保存をすると、フィルターを反映した動画が保存できる。もっと高速再生をしたい場合は、「ソースのフレームレート」を変更すればよい。例えば「ソースのフレームレート」を10fps、「対象のフレームレート」を200fpsに設定すれば、20倍速のタイムラプス動画が作成できる。「ソースのフレームレート」に入力できる最少のフレームレートは1.0fpsなので、1度の設定で200倍速まで作成できるわけだ。
ただし、保存した動画の再生に問題があるようで、動画再生プレーヤーによっては200fpsの動画は正常に再生できないことがある。うまく再生できなかった場合、正常に再生するために再変換をしよう。
保存した動画をAvidemuxに読み込み、今度は「リサンプルFPS」を選択する。設定画面を開くと、「新フレームレート」が200になっているので、「モード」のプルダウンから29.97(NTSC)を選択。アクティブなフィルターに反映されたら、画面を閉じて動画を保存しよう。保存された動画は29.97fpsになっているので、多くの動画プレーヤーで再生できる。
テロップの画像を挿入
次は、動画内にテロップ(画像)を載せてみよう。動画出力のフィルターを開き、「ロゴを追加」をダブルクリックするとロゴの設定画面が開く。画像の選択で、あらかじめ用意しておいたテロップの画像を選択しよう。テロップを表示する位置は、ドラッグではなくクリックで移動する。「Fade-in/out」に時間を入れると、テロップをフェードイン/フェードアウトで表示できる。2秒で設定すれば、動画の開始から2秒でフェードインし、終わり2秒でフェードアウトする仕組みだ。動画上部のスライダーや下部の再生で表示する様子を確認できる。
今回用意したテロップは、別途パワーポイントで作成した。図形で矢印を、ワードアートで文字を作成し、図形と文字をグループ化して図形としてpng形式で保存した。
簡易的なモザイク処理も可能
作った動画をSNSやYouTubeなどで公開する場合、不都合な部分を隠したいことがある。Avidemuxは、正式なモザイク処理の機能はないが、簡易的に動画の一部分を隠すことは可能だ。ただし、動画の動きに合わせてモザイクが追従する機能はないので、限定的な機能となる。
動画出力のフィルターで「シャープ」の「MPlayer ロゴ除去 2」をダブルクリックすると、動画の上に赤枠が表示されるので、消したい場所に赤枠を移動する。動画上部にある再生やスライダーを操作して、赤枠がターゲットから外れないように位置とサイズを調整しよう。このフィルターを反映して動画を保存すると、動画の一部分が隠せる。
複数のフィルターを適用したい場合、動画の分割が必要
これまでいくつかのフィルターを紹介したが、いずれのフィルターも読み込んだ動画全体にフィルターがかかる仕様となっている。例えば、動画の最初10秒にテロップを入れて、次の5分を20倍速のタイムラプス動画にして……と複数のフィルターを使いたい場合は、動画を分割する必要がある。分割した動画ごとに必要なフィルターをかけて保存し、最後に動画をつなげば、複数のフィルターを部分部分に適用できる。ただ、より複雑な動画編集をするならば、市販のソフトを使うなどしたほうが効率的かもしれない。
このような編集を得て、ハイライトシーンを中心に短くまとめた動画をもう一度見てみよう。お盆休みにいろいろお出かけしたら、上書きされないうちにドライブレコーダーのデータをパソコンに保存し、思い出動画の編集に没頭してみてはいかが?