夏休みに入り、子どもが家で過ごす時間が増えるこの時期。「うちの子は家でゲームばかり……」と悩んでいる親御さんもいることでしょう。そんな親の気持ちに答えるべく、株式会社ポケモンの協力のもと、NPO法人CANVASが「夏休み、子どもとデジタルゲームの上手な付き合い方」セミナーを開催しました。ゲストには、現役の東大生で謎解きクリエイターとしても活躍する松丸亮吾さんが来場。ゲームと勉強を両立するコツや、ゲームをするメリットについて語っています。
子どもはゲームで成長できる
小学校1年生から3年生の児童と保護者、約20名を招いた今回のプログラム。前半は東京大学でゲーム学習論を教えている藤本徹先生と松丸亮吾さんのパネルディスカッション、後半は子どもたちがNintendo Switch用ソフト『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ・Let's Go! イーブイ』を体験しました。
セミナーのテーマは「なぜゲームはワクワクして学校はワクワクしないのか?」。ゲームの世界には達成感があり、ワクワクするストーリーがありますね。ゲームの中では、チャレンジや失敗を繰り返すことで主人公とプレイヤーが成長していきます。だから子どもも自発的にプレイしたくなる……。これに対して、学校の世界はその真逆にあるのではないか、と藤本先生は問いかけます。
ここで松丸さんは「僕の勉強法は、ゲームのプレイに近いものがありました。将来、やりたいことがあったんです。その目標を達成するためには良い学校に行かないといけない。だから勉強する意味が分かっていました。すると自発的に勉強しますよね」。
学校のテストで良い点数をとっても、それが何の役立つのか分からないと、子どもにとっては点数を上げる意味がありません。だから自発的に勉強しようとは思わなくなるんです……との理路整然とした解説に、詰めかけた保護者たちはうなずき、熱心にメモをとっていました。
「どうやったら勝てるんだろう?」と自ら考え、作戦を立てて実行する力は、子どものころにストラテジーゲームを通じて養った、と松丸さん。オリジナルステージを自作できるパズルゲームに熱中したことで、何かを作って人を楽しませることに抵抗がない下地ができたとも。そこで話題はいつしか、子どもはゲームで成長するという内容に移ります。
「夏休み、子どもがゲームをやりすぎているのでは、と気にされている親御さんには『そんなに心配しなくても大丈夫ですよ』と伝えたいですね。私たちが子どものころに遊びから得たようなものを、いまの子どもたちはゲーム体験から得ているんです。だから大人も面白がって、子どもと一緒に成長していけるような付き合い方をしたら良いかなと思います」(藤本先生)。ちなみに、この日の会場に用意された『ポケモン ピカ・ブイ』は、2人同時プレイが可能。親子で楽しむには最適なゲームタイトルでしょう。
後半はゲーム大会が繰り広げられました。どうやったら先に進めるか、いくつかヒントを提示する松丸さん。「トキワのもりは、ちょっとした迷路のステージ。6つのアイテムがモンスターボールの形で落ちています。確率は低いんですが、フシギダネも出てきます。僕も初めて見つけたとき感動しました」。その話しぶりから、自身かなりのポケモン好きということが分かります。
さて、親子や兄弟でNintendo Switch Joy-Conを手にした参加者たち。「ゲームスタートです」のかけ声とともに、プレイ開始。会場のあちらこちらから聞こえてくる楽しそうな歓声。親子にとって、かけがえのない夏休みの思い出になったことでしょう。