7月30日、スポーツ庁にて、「Sports in Life」の認定第一号となったスマホアプリ『ポケモンGO』を運営するNiantic CEOの村井説人氏と、スポーツ庁 鈴木大地長官の対談が行われました。

  • スポーツ庁 長官の鈴木大地氏(左)とNiantic CEOの村井説人氏(右)

「Sports in Life」のロゴマーク

「Sports in Life」は、7月1日にスポーツ庁が発表したプロジェクト。生活スタイルの一部としてスポーツを取り入れることを推奨するもので、主旨に沿った取り組みを行っている企業や団体に対して「Sports in Life」のロゴマークが付与されます。

『ポケモンGO』は位置情報を元にしたゲーム。家でじっとしていてもあまり多くのポケモンは捕まえられないので、ゲームを楽しもうとしたら、必然的に外出することになるでしょう。そして、歩けば歩くほど、いろいろなポケモンに出会えることから、「Sports in Life」のプロジェクトに沿った取り組みとして、今回認定されたというわけです。

ゲームを起点に生まれる健康や商流

対談において、鈴木長官は「ゲームは家にこもってプレイするイメージがあり、スポーツとは真逆なものと思っていました。ですが、外に出てプレイするゲームがあることを知りまして、今回、Sports in Lifeに認定させていただきました。正直に申し上げると、最初はなんとなく始めづらいイメージがありました。ですが、今日『ポケモンGO』をインストールしたので、これからは歩きまくります」と、『ポケモンGO』の存在によりゲーム自体の印象も変わった様子でした。

  • ポケモンGOに対する印象を話す鈴木長官

Nianticは会社の理念として「Adventure on Foot with Others」を掲げており、村井氏は『ポケモンGO』について「まず外に出て歩き出さないと何もできないゲーム」と説明。さらに、「親子だけではなく、おじいちゃんやおばあちゃんまでお孫さんと一緒になってプレイしてくださっています」と、3世代にわたってプレイされている層の広さも言及しました。

Nianticからリリースされている位置情報ゲームは、『Ingress』『ポケモンGO』『ハリー・ポッター:魔法同盟』の3タイトルあり、プレイヤーが歩いた総距離は230億kmにまで到達しているそう。「太陽から冥王星までの距離がおおよそ50億kmなので、2往復半できる距離です」という村井氏の説明を聞いた鈴木長官も驚きを隠せず、感嘆の声を上げていました。

さらに村井氏は、「歩けば靴底が減るので新しい靴を買うようになりますし、ジュースなど飲みものを買うかもしれません。外出先で食事をする可能性もあるでしょう」と、ゲームをきっかけに商流やコミュニケーションが生まれる効果についても長官に説明。実際に『ポケモンGO』では、地方自治体と協力した取り組みを実施しており、石巻、横浜、横須賀、熊本、鳥取など、さまざまな地域経済にいい影響を及ぼしていると言えるでしょう。

  • 『ポケモンGO』の魅力を伝える村井氏

また、対談のなかで、村井氏は「長官の趣味は何ですか?」と質問を投げかけました。

長官はジョギングや水泳などを挙げ、それを受けた村井氏は「ジョギングなどは趣味としていい印象を与えそうですね。ですが、『ポケモンGO』が趣味だと言うと、おそらくいい印象は持たれないでしょう。ただ、実際は歩いていますし、健康的なゲームなのです。ウォーキングにゲーム要素を盛り込んでいる点では、スポーツと似ていると思います。なので、『ポケモンGO』を、ジョギングのように胸を張って趣味だと言ってもらえるようにしたいですね。その第一歩としても、今回のSports in Lifeの認定はとても意義深いものだと思います」と答えていました。

大型スポーツイベントとのコラボも?

Nianticは先述したとおり、地方でのイベントを開催しています。特別なポケモンが出現することで、地方へ赴くきっかけを作っているわけです。そこで、話題は日本で開催される大きなスポーツイベントに移ります。

オリンピックやラグビーのワールドカップの際、スポーツ庁はNianticと協力して何か取り組みはしないのかと、取材陣から質問されたところ、鈴木長官は前のめりで「それはいいですね」と即答。ただ、オリンピックやワールドカップなどの名前を使って連携するのは難しいので、「開催する都市と連携すると良いのかもしれません」と前向きに答えていました。

対談終了後には、村井氏自ら、鈴木長官に『ポケモンGO』の遊び方を指南するシーンも。カーブボールの投げ方や捕まえたポケモンが図鑑に登録されるなど、まさにNianticが目指すゲームによって発生するコミュニケーションが生まれた瞬間でした。

  • 村井氏がポケモンの捕まえ方をレクチャー

鈴木長官が最初に言っていたように、「スポーツ」と「ゲーム」が真逆の位置にあると考えている人は、おそらくまだまだいるでしょう。しかし、実際は類似点も多く、お互いに協力していけば、さらなる楽しさが生まれるのではないでしょうか。

「○○」×「スポーツ」を推進する企業や組織に付与される「Sports in Life」。今回のゲームに対するイメージのように、いままであまり認知されていなかった価値の再発見や普及に期待したいところです。