便利なアプリ連携、AndroidとiOSの違いは?
WF-1000XM3も、初代のWF-1000Xと同じくスマホアプリ「Sony Headphones Connect」と連動しながら、本体の様々な機能を設定できます。Android版とiOS版のアプリが提供されています。
アプリを使ってみてひとつ気になったことは、アプリがマルチタスクのバックグラウンドに回った後の復帰の仕方です。iOS版の場合、アプリを開き直すたびに「接続中」の状態から立ち上がるため、少し間が空きます。一方、Android版はアプリをシャットダウンしない限り接続がキープされるようです。
ソニーに問い合わせたところ、両方のプラットフォームで仕様が少し異なるようです。OSを問わず、「アダプティブサウンドコントロール」が「オン」になっている場合は、接続状態がキープされるそうです。アダプティブサウンドコントロールは、ノイズキャンセリングと外音取り込みのモードを、ユーザーの使用シーンに合わせて自動で切り替える機能です。
AndroidスマホとiPhone、どちらのプラットフォームがよりWF-1000XM3との相性が良いかを考えると、現時点ではAndroidスマホのほうが少し優位に感じました。アプリのハンドリングがスムーズだったり、NFCによるワンタッチペアリングの対応、別途アプリのインストールなしでGoogleアシスタントが利用できたりするからです。iPhoneの場合も、iOS版アプリのアップデートによって使いやすくなっていでしょう。
接続性能は抜群の安定感
ワイヤレス接続のモードは、アプリから音質優先と接続優先が選べます。WF-1000XM3は、内部の通信アンテナの設計を見直して電波感度を強化。音楽プレーヤーから伝送されるステレオ音声信号を、イヤホンの左右両方で同時に受信して接続性を高める機能を搭載しています。
この新しい技術の成果によるものなのか、音質優先モードを選んでも音切れやノイズの混入がほとんど感じられない、安定したワイヤレス通信を可能にしています。大勢の人で賑わうラッシュアワーの駅前、ショッピングモールなどで試してみても、抜群の安定感でした。初代機のWF-1000Xと比べて飛躍的な進化を実感できます。
ただ、先述のHeadphones Connectアプリで「アダプティブサウンドコントロール」をオンにして、さらに「通知音と音声ガイダンス」をオフにすると、シーンが切り替わるたびに鳴るアラームに悩まされることはなくなるものの、代わりに一瞬“無音状態”になって、あたかも音切れしているように感じられることがあります。
「通知音と音声ガイダンス」はオンにしたままにするか、あるいはアダプティブサウンドコントロールそのものを使わずに、シーンに合わせたセットアップはアプリから手動で選ぶという回避方法が考えられます。将来はソフトウェアのアップデートなどにより、この無音状態を克服して欲しいところです。
DSEE HX搭載による効果は大、ハイレゾ相当のリスニング感が心地よい
音質面では、Bluetoothの音声コーデックがWF-1000Xと同じ、SBCとAACの対応にとどまったところが最初は残念に思いました。しかし、圧縮音源のサウンドを独自のアルゴリズムで補完して、ハイレゾ相当の高音質に高める「DSEE HX」が搭載されているので心配無用でした。
DSEE HXは、Headphones Connectアプリでオン・オフを選択できます。その違いは明らか。
オンにすると、音楽の情報量が圧倒的に豊かさを増して、音楽にのめり込めるようになります。ボーカルは肉付きが良くなり、声の質感から粗っぽさがなくなることでリアリティに磨きがかかります。例えば、アコースティックギターやバイオリンの音色にもまろやかさが加わって、生楽器ならではの温かみに説得力が増してくる手応えが感じられました。
ロックやダンスミュージックの低音も、雑味がなくなって立体感が際だってきます。ビートにしなやかなパンチが効いてくるので、アップテンポな楽曲はますます活き活きとして鳴りっぷりが良くなります。これは常時オンにして使わない手はないと思います。
WF-1000XM3全体のチューニングは、ニュートラルなバランスを重視して、派手さは抑えながらハイレゾに迫るようなディティールをきちんと聴かせてくれる印象を受けました。初代のWF-1000Xよりも、各帯域の音に含まれるエッセンスをぎゅっと絞り出しながら“うまみ”を楽しませてくれる底力が上がっていて、確かな成長を感じさせてくれるサウンドです。
より低音を強調したい、高域を明るく突き抜けさせたいといった具合に、音楽を自分好みのバランスに寄せてカスタマイズしたい場合は、Headphones Connectアプリのイコライザー機能を活用すると良いでしょう。