基板を削り込み、ヒンジの試作を重ねる

こうした譲れない部分は維持しながらも、軽量化できるところは徹底的に軽量化している。

基板は、従来モデルに比べて、15%もの面積を削減したUH-Xと同じ基板を採用。しかも、削れるところは少しずつ削って、少しでも軽量化が図れるようにした。基板の形状を見ると、細かく切り落としたあとが感じられる。

また、ヒンジ部は、なんども試作を重ねて、小型軽量化を図っている。

  • 富士通「LIFEBOOK UH95/D2」

    奥側がUH-Xの基板、手前側がUH95/D2の基板。UH95/D2の基板には、カドやフチを削り込んだ跡が見られる

  • 富士通「LIFEBOOK UH95/D2」

    360度回転する2軸ヒンジも重量増につながる。試作を重ね、小型軽量化を図った

タッチパネルには、ダイレクトボンディング方式を採用することも検討されたが、「強度面では優位であるが、構造上、重量増となることから、軽量化に優位性が発揮できるエアキャップ方式を採用した」とする一方で、「UH-Xでは、軽量化に効果を発揮するマグネシウムリチウムは、天板、キーボード部、底面部に利用しているが、今回のUH95/D2では、底面部にだけ利用した。天板部とキーボード部にはマグネシウムを採用。強度を高めることにした」とする。

キーボード面では、プラスチックとマグネシウムの一体成形を実現。軽量化とともに、アンテナの性能を最大限に発揮できるようにした。

  • 富士通「LIFEBOOK UH95/D2」

    本体の底面部(裏)。この底面のみマグネシウムリチウム合金を採用した

  • 富士通「LIFEBOOK UH95/D2」
  • キーボード面はマグネシウム素材。素材や方式の選択によって、強度と軽量化を高い次元でバランスしている

カバー部でも軽量化への努力は惜しんでいない。

たとえば、天板部では、周りは肉厚にしながらも、中央部は0,1mmの薄さで成形。これによって5gの軽量化が実現できているという。

「UH-Xの実績があったからこそ、実現できた部分も多い。結果として、目標とした800g台は、かなり早い時点で達成できた」と、河野マネージャーは振り返る。言い換えれば、大きな壁にぶち当たることなく、必要とされる機能を実現しながら、800g台の重量を実現している。それもこれまでの蓄積があるからこそだ。

なお、大容量バッテリーモデルは、4セル増えるため、それによって、120gの増加になるが、それでも1kgを切る重量を実現している。

リアカメラは空きスペースを詰めて中央へ

そのほかの部分にも細かいこだわりをみせている。

従来の法人向け2in1ノートPCでは、さば折りをした際には、アンテナの感度を維持するために、ディスプレイ部とキーボード部の上部分が、少しずれる形となっていたが、UH95/D2では、ぴったりとした形で重なるようにデザインした。これは先に触れたプラスチックとマグネシウムの一体成形により、アンテナ性能を損なわないで済むようにしたことが影響している。

  • 富士通「LIFEBOOK UH95/D2」

    UH95/D2はさば折り(通常のノートPCとは逆方向に折り曲げる)しても、フチがぴったり合う設計になっている

また、生産拠点の島根富士通が、自ら基板を生産できるという優位性を生かして、独自の基板形状により、本体内の空きスペースを効率的に利用。当初の設計では片方に寄っていたリアカメラの位置を、ほぼ中央に配置するように変更した。

「13.3型のタブレットを持って写真を撮影する際には、カメラの位置が端によっていると、思ったような構図での撮影がしにくい。リアカメラを中央に配置することは、写真撮影の際の品質を高めることにも効果がある」(河野マネージャー)とする。

さらに、前側の両端2カ所には、ゴムによるバンパーを配置。タブレットモードで利用する際に、落としたり、ぶつけたりするといった不意の事故を保護するとともに、テントモードで利用するときに滑り止めの役目も果たすようにした。

  • 富士通「LIFEBOOK UH95/D2」

    リアカメラは中央に配置。スマートフォン程度のサイズであれば、カメラが端にあっても利用者側で調整できるが、13.3型サイズになってくると、中心からのカメラ位置のズレは大きく感じられるという

  • 富士通「LIFEBOOK UH95/D2」

    本体前側の両端に設けたバンパー

  • 富士通「LIFEBOOK UH95/D2」

    キーボード面のカバーと底面カバーで挟み込むようになっている

なお、堅牢性については、クラムシェル型ノートPCで行っている耐落下、耐加圧、耐振動試験に加えて、360度開閉試験、360度捻り試験などのヒンジ評価のほか、ペンの抜き差し試験などのペン評価、キーボード面の転倒試験、片持ち落下、キーボード面を机の上においた際の摩擦試験など、2in1ノートPCならではの専用試験を追加で行っている。

ビジネスで使う機能を詰め込んだ最軽量への挑戦

河野マネージャーは、「開発においては、いくつかの企業に協力を仰いでおり、実際の利用現場からの要望を反映した。生保、金融、文教などの特定の業種での利用にも適している」としながら、「街中でモバイルワークをする人を見かけても、その多くがMacかLet'snote。最近、少しずつ赤い天板のインフィニフティマーク(富士通のロゴマーク)を見かけるようになったものの、それをもっと増やしていきたい。今回の製品は、モバイルワークに最適化した製品。PCやタブレットを積極的に持ち出して利用している人に、ぜひ使ってもらいたい」と期待する。

クラムシェル型ノートPCとして世界最軽量となるUH-Xのノウハウを活用しながら、ペン内蔵2in1ノートPCとしての進化を遂げたのがUH95/D2である。

そこには、単なる技術的優位性だけで、世界最軽量を狙うのではなく、ビジネスで使うことを前提にしたこだわりが詰まっている。2in1ノートPCを、ビジネスで本格的に使うための機能を搭載した世界最軽量への挑戦だったといってもいいだろう。

  • 富士通クライアントコンピューティング プロダクトマネジメント本部第一開発センター第一技術部 マネージャーの河野晃伸氏、同第一技術部の赤見知彦氏、同第三技術部 主任技術者の飯島崇氏