キヤノンは7月9日、レンズ一体型の高画質コンパクトデジカメの新製品「PowerShot G5 X Mark II」を発表した。2015年10月発売の「PowerShot G5 X」の後継モデル。内蔵の電子ビューファインダー(EVF)をポップアップ式とし、使わないときは本体をコンパクトにして持ち運びやすくした。撮像素子を積層型CMOSセンサーに、画像処理エンジンをDIGIC 8に一新して連写速度を高めたほか、シャッターの最大0.5秒前にさかのぼって記録できるプリ撮影機能も追加した。4K動画撮影も、広角の画角を生かした撮影が可能になった。

価格はオープンで、予想実売価格は税別10万5000円前後。発売は8月上旬の予定。

  • ミニ一眼レフ的なデザインをやめ、ポピュラーな箱形デザインに一新した「PowerShot G5 X Mark II」。従来モデル「PowerShot G5 X」は終売となる

キヤノンで初めてポップアップ式の電子ビューファインダーを本体隅に搭載した。側面のレバーを引くと垂直にポップアップし、接眼部を手前に引くと使えるようになる。パネルは有機ELで、ドット数は約236万ドット。

  • 撮像素子や画像処理エンジンを一新したほか、レンズは24-120mmをカバーする光学5倍ズームに強化した

  • 背面の左上にポップアップ式のEVFを搭載する。背面液晶は従来モデルのバリアングル式からチルト式に変わった

  • 側面のレバーを下に引くとEVFポップアップする。ポップアップさせたあと、接眼部を手前に引く動作が必要となる。ポップアップさせるだけで使えるようになるソニーの「Cyber-shot DSC-RX100M6」と比べて惜しいポイントといえる

撮像素子は、1型の積層型CMOSセンサー(有効2010万画素)に一新。画素領域と周辺回路を重ねて積層化したCMOSセンサーで、最新画像処理エンジンのDIGIC 8との組み合わせで、処理の高速化や高画質化を図った。新たに、RAWで約30コマ/秒(電子シャッター利用)の高速連写が可能な「RAWバーストモード」を備えた。RAWバーストモード時は、シャッターボタンを押す約0.5秒前からの写真を最大70コマ記録するプリ撮影が利用できる。メカシャッター利用の撮影時は、AF固定時が約20コマ/秒、AF追従時が約8コマ/秒となる。

レンズは、従来の光学4.2倍ズーム(24-100mm、F1.8-2.8)から光学5倍ズーム(24-120mm、F1.8-2.8)へと倍率をアップした。望遠端での最短撮影距離は、従来の40cmから20cmに短縮した。

4K動画撮影機能も強化した。中央部を切り取るクロップでの撮影に限られた従来モデルとは異なり、レンズの画角をフルに生かした撮影が可能となった。動画はHDR撮影にも対応する。秒120フレームのフルHD動画が撮影できるハイフレームレート動画も新たに搭載した。

上部の露出補正ダイヤルは、EOSシリーズのように背面のコントローラーホイール(電子ダイヤル)で露出補正ができる「割り当てポジション」を新たに搭載した。EVFをのぞきながらでも素早く露出補正できるのがメリット。

  • 上部の中央部にはポップアップ式のストロボを内蔵する。クリップオンストロボなどを装着するホットシューは省かれた

  • 底面にはバッテリー&メモリーカードスロットを配置。バッテリーはUSB Type-C経由で充電できる

  • 露出補正ダイヤルの「0」のポジションの対角にある「●」が「割り当てポジション」だ。このポジションにセットすれば、露出補正が電子ダイヤルでできるようになる

内蔵バッテリーはUSB Type-C経由で充電できるほか、給電にも対応する。本体サイズはW110.9×H60.9×D46mm、重さは約340g(メモリーカード、バッテリー含む)。

  • 一眼レフ的なスタイルを採用していた旧モデル「PowerShot G5 X」

  • PowerShot G5 Xは上部にホットシューを搭載している