米国半導体工業会(Semiconductor Industry Association:SIA)は、2019年5月の世界半導体市場が前年同月比14.6%の331億ドルとなったことを発表した。4月も同14.6%減と減速が続いているが、前月比で見ると5月は1.9%増とわずかながらの上昇に転じた。ちなみにSIAの発表は、世界半導体市場統計(WSTS)からの単月データをもとに3か月移動平均値としたものを用いている。

SIAのプレジデント 兼 最高経営責任者(CEO)であるJohn Neuffer氏は、「5月の半導体売上高は前年同月比で2桁減となり、前年同月比ベースでは5か月連続の減少となった。ただし前月比では、わずかながら上昇を見せたほか、米州市場も7か月ぶりに増加した(ただし同市場は、前年同月比では約28%減と落ち込んでいる)」と述べている。

地域別では、前月比では中国が5.4%増、米州が1.4%増、日本が0.9%増となったものの、欧州が0.4%減、アジア太平洋地域/その他が1.1%減とバラつきが見られたものの前年同期比では、米州が27.9%減、日本が13.6%減、中国が9.8%減、欧州が9.0%減、アジア太平洋地域/その他が12.6%減とすべての国・地域市場で売り上げが減少した。

  • SIA

    世界の半導体市場および前年同月比の増減率の推移(1996年1月から2019年5月まで) (出所:SIA/WSTS)

米中首脳会議の成果に関する声明をSIAが発表

また、6月末に大阪で開催された20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に併せる形で米トランプ大統領と習近平 中国国家主席との米中首脳会談が実施され、米中貿易摩擦についての話し合いが行われたが、その成果についてSIAは公式声明を発表している。

それによると、米中間の貿易に関して進歩が見られたことは半導体産業、ならびにすべての技術分野、そして世界の2大経済大国にとっての朗報であると、前向きなコメントとなっており、より詳細な情報の入手につながることを期待するとしている。

実は、SIAのJ. Goodrich VP(グローバル政策担当)は、G20開催前に「国家安全保障に関係しないテクノロジーまで禁止命令の対象範囲に含めるべきではないので、この見解を政府に伝えた」と語っている。さらに、SIAは、国際貿易委員会(ITC)において証言し、「米国政府が提案した関税リストから主要な消費者向けIT製品を削除することを要求した」ことも明らかにしていた。

Huaweiの2018年における部品購入額は700億ドルとも言われており、100億ドル以上がIntel、Micron TechnologyなどSIAに加入している米国半導体企業の出荷分とされている。Huaweiに大量の半導体チップを供給しているこれらの米国半導体各社も、ワシントンDCでSIAとともにロビー活動を行い、トランプ政権に圧力をかけ、Huaweiに対する販売禁止措置を緩和するよう求めていた。その努力が実って今回、安全保障上の問題がないとされる一部の製品の販売について禁輸措置が緩和されることとなったが、SIAによれば、解禁製品の範囲は不透明であり、安全保障に影響しないメモリなどの汎用品のみに限定される見込みであるという。