6月7日に販売を開始した、モトローラ・モビリティ・ジャパンの最新Androidスマートフォン「moto g7」シリーズ。3機種が投入された同シリーズの中で、“ど真ん中”というべきミドルクラスのモデルとなるのが「moto g7」です。税別3万800円という購入しやすい価格ながら、バランスの取れた機能・性能が特徴のmoto g7の実力をチェックしてみましょう。
モトローラらしいデザインを踏襲
まずはディスプレイと外観を見ていきたいと思います。moto g7シリーズは、いずれも19:9比率の6.2インチ大画面液晶を採用しており、解像度もフルHD+(2,270×1,080ピクセル)と、このクラスとしては標準的な内容です。
しかしながら、ディスプレイ上部のノッチ部分にしずく型の形状を採用するなど、画面占有率を高める工夫がなされており、動画など大画面が生きるコンテンツが楽しみやすいスマートフォンといえそうです。
本体サイズはW75.3×H157×D8.27mm、重さは約174gと、こちらも6インチクラスのSIMフリースマートフォンとしては標準的なサイズとなっています。背面を見ると、上部の丸い部分にカメラ、その下の「M」マークに指紋センサーが備わっているという、moto g7シリーズ共通のデザインを採用。モトローラらしさが明確に打ち出されています。
一方で、従来のモトローラのスマートフォンと大きく変わった点もあります。カラーバリエーションの存在です。これまで、モトローラのスマートフォンは1色しかありませんでしたが、moto g7シリーズからは新たにカラーバリエーションが加わり、moto g7も「クリアホワイト」と「セラミックブラック」の2色が用意されます。
いずれもベーシックなカラーリングであり、「ディープインディゴ」や「ビバレッド」というインパクトのあるカラーを採用した上位モデル「moto g7 plus」と比べるとやや地味な印象はありますが、それだけ万人が選びやすいともいえるでしょう。
普段使いには十分な性能
続いて、性能面をチェックしていきましょう。moto g7のスペックを見ると、チップセットにはクアルコムのミドルハイクラス向けとなる「Snapdragon 632」を採用しており、RAMは4GB、ストレージは64GB、バッテリーは3000mAhと、ミドルクラスのモデルとしては十分な性能を備えています。実際に使ってみても、ホーム画面での操作や、SNSや動画など一般的なアプリの操作でストレスを感じることはありません。
一方で、3Dグラフィックを多用したゲームを高画質でプレイしてみると、さすがにカクつくことが散見され、ハイエンドモデルのようにはいかないのも事実です。moto g7 plusと比べると、スピーカーがステレオではなくモノラルなのもゲームを楽しむうえでは弱みといえます。また、これは多くのスマートフォンに言えることですが、端末を横に持ってゲームをプレイすると、本体下部のスピーカーを手で塞いでしまいやすいのも惜しいところです。
こうした点を見るに、ゲームプレイにこだわるならばより高価格帯のモデルを選んだほうがよいといえますが、それ以外では不満を抱くことがあまりないというのもまた確か。普段使いのスマートフォンとしては十分な性能を持つといえるでしょう。
なお、moto g7はmicroSDスロットを搭載しており、最大512GBまでストレージ容量を拡張できます。microSDスロットは2枚のSIMのスロットと独立していることから、デュアルSIM機構を有効活用できるのもポイントといえるでしょう。
SIMスロットはいずれもnano SIM対応で、SIMフリースマートフォンでは対応していない機種も多いauのVoLTEにも対応していることから、国内3社のネットワークを有効活用できます。しかしながら、あくまでDSDS(Dual SIM Dual Standby)の対応で、DSDV(Dual SIM Dual VoLTE)対応ではないので、VoLTEによる待ち受けは一方の回線のみとなる点には注意が必要です。
Wi-Fiに関しても、IEEE802.11a/b/g/nに対応し、2.4GHzだけでなく5GHzもサポートしているのは大きなポイントといえます。ミドルクラス以下のスマートフォンでは、5GHz非対応のモデルも少なくないだけに、自宅のWi-Fiで利用することが多い人にとっては大きなアドバンテージとなるでしょう。
カメラはデュアルで機能も充実
続いてカメラ機能をチェックしていきましょう。moto g7のカメラは、メインカメラが1200万画素+500万画素のデュアルカメラとなっています。メインカメラはデュアルカメラ機構を生かし、背景をぼかしたポートレート撮影が手軽に撮影できるようになっています。
1200万画素のカメラはF値1.8と明るいことから、比較的暗い場所での撮影に強いというのもポイントといえるでしょう。一方で、上位モデルとなるmoto g7 plusと比べた場合、メインカメラの画素数が下回る(moto g7 plusは1600万画素+500万画素)、光学式手ブレ補正機構が備わっていないなどの違いがあります。
それ以外の機能も充実しており、メインカメラ利用時はシャッターボタンの隣に「Googleレンズ」を呼び出すボタンが標準で用意されているほか、特定の色だけ残してそれ以外はモノクロにする「スポットカラー」、被写体を切り抜いて別の背景を合成する「カットアウト」など、多彩な撮影モードが備わっています。
フロントカメラは800万画素でF値2.2と、このクラスでは標準的な内容といえます。いわゆる美肌機能の「フェイスビューティー」も備わっており、機能としては必要十分といえるでしょう。
上下モデルの価格差の小ささが悩ましい
ここまで見てきた通り、moto g7は最新スマートフォンとして見た場合、飛び抜けて優れた機能や性能が備わっているわけではありません。ですが、ミドルクラスのスマートフォンとしては非常にバランスがよく、不満を抱く点も少ないことから、万人にお勧めできるSIMフリースマートフォンといえるのではないでしょうか。
ですが、いざ購入するとなると悩ましいのが、moto g7シリーズの価格設定です。カメラ性能が高い上位モデルの「moto g7 plus」は3万8800円ですし、5000mAhのバッテリーを備える一方、メインカメラがシングルでディスプレイ解像度が低い下位モデルの「moto g7 power」は2万5800円。ともに、moto g7との価格差が数千円と、価格に大きな差がないのです。
3機種とも、デザインやサイズ感、基本性能などは共通している部分が多いだけに、どのモデルを選ぶかで悩むことになりそうです。