国内ならではの優位を活かす「飯山工場」最新事情
マウスコンピューターが誇る飯山工場は、同社PCの開発から生産までを一手に担う重要拠点だ。生産品目が多岐にわたるBTOパソコンを手掛けながら、最新技術を早期に製品化し、注文から短納期でユーザーの手元に届け、品質管理やサポートまで気を配らせることができるのは、この「国内」という立地にこだわった飯山工場の存在によるところが大きい。
同社の松本一成工場長は、飯山工場の特長を次のように語る。「以前は、東京や埼玉に開発が分散している時期もあったが、何か新しい製品を、となった時、海外から部材を最初に受け入れるのは工場。部材を工場で受け入れてそのまま評価、開発にまわせれば、それだけ製品化までのリードタイムを短縮できる。また、受け入れた時点ですべての部材にシリアルを振ってしまうことで、生産管理だけでなくトレーサビリティまで含めた品質管理まで両立できる」
製品化の早さや納期は長く定評があるところだが、特に近年は「飯山TRUST」といったメッセージも前面に出し品質向上を重視している。関係者は一様に、「品質には自信を持っている」と口をそろえる。実際の成果として出荷後の不良発生を2014~15年頃から極めて削減できており、具体的な数字は公開できないが以前までの半分以下かそれ以上に改善できているという。現在は生産前の開発段階で複数の評価項目を設け、生産でも(抜き取りではない)全数負荷試験などを経て、最終の出荷前にもさらにサンプリング抜き取りで総合的な検査を実施するなど、かなり多層の品質チェックに継続して取り組んでいるそうだ。
特に製品全数が対象となる負荷試験は納期の圧迫要因なるが、例えばコンデンサ部材には一般論として0.3%程度は不良が混ざるものとされるなかで、それであっても「とにかくユーザーに不良品が届かないようにしたい。問題があれば工場で止めたい」(松本工場長)と、工場内でふるいに落とすことに努めている。
-
写真の奥にあるオレンジ色のビニール幕の向こうには、貨物トラックが待ち構えている。つまりここは箱詰めされた製品が出荷される直前の、生産工場の最終到達地点だ。ここで最後の抜き取り総合検査が実施され、問題が見つかれば生産をイチからやり直すとともに、生産ラインの問題点も洗い出す最後の砦となる
マウスコンピューターに対しユーザーが求める期待の一つに、「コストパフォーマンス」があると思う。同社は引き続きコストパフォーマンスの要求に応えていくが、一方では妥協せず「品質がなければ未来はない」という認識で、飯山工場は品質を追求する方針を続けるという。