写真ファン注目の交換レンズを持って、オリンピックの開催を翌年に控えて変化を続ける東京をブラブラと撮り歩いてみました。今回選んだのが、先日発表されたカメラグランプリで見事にレンズ賞を獲得したソニーの「FE 24mm F1.4 GM」(SEL24F14GM)です。有効4240万画素のフルサイズミラーレス「α7R III」に装着し、豊洲周辺を撮り歩きました。

  • FE 24mm F1.4 GM(SEL24F14GM)

    とてもコンパクトな設計が目を引く「FE 24mm F1.4 GM」。α7シリーズとのマッチングのよさが特筆できるレンズです。実売価格は税込み19万円前後ですが、多くのカメラ量販店では品薄傾向が続いており、8月以降の出荷予定となっています

FE 24mm F1.4 GMは、ソニー製交換レンズの最高峰ブランド「G Master」シリーズの最新モデル。開放F値1.4と明るいレンズながら、約445gと軽量。フィルター径も67mmと、肥大化の進む高性能レンズでは珍しくコンパクトな設計になっています。小型軽量のα7R IIIに装着してもバランスがよく、レンズを付けたまま長時間携行しても疲れないサイズと重さなのが評価できます。

小型軽量とはいえ、G Masterを冠するシリーズなので内容は申し分ありません。最新の光学設計と設計基準によって、高い描写性能を備えているのです。超高度非球面XA(extreme aspherical)レンズで点光源の描写も忠実ですし、ナノARコーティングで太陽光によるフレアやゴースト、内面反射が抑えられ、ヌケ感のある写りを楽しめます。11枚羽根の円形絞りによる美しいボケは、優しく自然な描写を可能にしてくれます。

さらに、レンズの最前面はフッ素コーティングが施されており、指紋やほこり、水滴などが付きにくくなっています。防じん防滴に配慮した設計となっているので、この梅雨の時期も積極的に持ち出したくなります。

  • りんかい線の国際展示場駅で下車し、工事まっただなかの埋立地を歩き始めます。クレーンが光を反射しているのがキレイだったので、露出を切り詰めて撮影。シャープなエッジとディープな空を写しとることができました。ワイヤーとネットの細かい描写に驚きます(ISO100、1/640秒、F11.0、-1.7補正)

  • バレーボールと車いすバスケットボールが開催される有明アリーナの工事現場を過ぎ、東雲運河を越えます。スッキリと晴れた上空には、2筋の飛行機雲とゆりかもめの高架が浮かんでいます。F16まで絞り込みましたが、高架のディテールはしっかりと立っています。画面周辺部の描写もなかなかです(ISO100、1/320秒、F16.0、-1.3補正)

  • 東雲運河から、築地からの移転で話題になった豊洲市場脇の公園に入ります。遊歩道を歩いていると、水をかき分けながら観光用の水陸両用車がやってきました。どうやら銀座あたりからやってきたようです。α7R IIIとFE 24mm F1.4 GMは正確にフォーカシングして、その進みを捉え続けてくれました。発色も鮮やかですね(ISO100、1/400秒、F6.3、-1補正)★

  • 江東区立豊洲ぐるり公園を運河沿いに進んでいくと、レインボーブリッジを見事に望める先端に出ました。太陽を思い切り画面に入れて広々とした感じを狙ってみましたが、FE 24mm F1.4 GMはフレアがよく抑制されており、ヌケ感のある写りになりました。ここはとてもいい眺めなので、撮影に好適でしょう(ISO100、1/400秒、F11.0)

使用感も上々でした。鏡筒の側面に設けられたフォーカスホールドボタンは好みの機能を割り当てられますし、節度感のある絞りリングは絞りが素早く設定ができます。レンズ外装の仕上げも高級感があり、使っていて気持ちがいいほどです。

1日中カメラを提げて撮り歩いても疲れず、シーンを問わずこれ1本でこなせるハイスピードレンズとして、高価ながら幅広い層にオススメできる1本です。

  • 江東区立豊洲ぐるり公園から豊洲市場に入ってみました。時間が遅かったため、残念ながら飲食街はほぼ閉店していました。しかし、市場で働く人たちのための用品を販売している「魚がし横丁」はわずかですが営業していました。築地や豊洲でおなじみの「ターレ」を開放F1.4で撮影したところ、背景をとてもスムーズにぼかしてくれました(ISO100、1/50秒、F1.4)

  • プロのためのお店の軒先をパチリ。かなり薄暗かったのですが、明るいレンズはシャッタースピードが稼げるので安心です。絞り開放にもかかわらず、商品の質感がしっかりと出ています。さまざまな種類の長靴に驚きました(ISO100、1/80秒、F1.4、-0.3補正)

  • 緑化された屋上庭園を撮影したのち、豊洲市場の外に出ました。橋を渡って晴海方面に向かう途中、江東区立豊洲ぐるり公園を走るランナーを発見。きれいに伸びる影を画面左サイドに配置してシャッターを切りました。東京湾の反射のキラキラ感とレインボーブリッジ、公園のタイルと欄干の解像感が見事です(ISO100、1/800秒、F8.0、-0.3補正)★

  • そのまま歩みを進め、かつての築地市場横までやってきました。解体作業がかなり進んでいて、その面影ももうあとわずかといったところでしょうか。まだ辛うじて残されていた建物を撮りましたが、ぐにゃりと曲がった手すりに哀愁を感じました(ISO100、1/250秒、F8.0、-1.3補正)★

  • こちらも築地市場の一角に残っていた建物です。FE 24mm F1.4 GMは、直線を真っすぐに描いてくれるので、実に気持ちがいいカットとなりました。ちょうどカラスが飛んでいたので、うまく画面に入るようにタイミングを見計らいシャッターを切りました。この建物もなくなってしまうのでしょうか。よく見ると、建物の歴史を感じさせるディテールの描写に驚きます(ISO100、1/500秒、F8.0、-0.3補正)

  • 豊洲市場付近からかつての築地市場を経由し、最後は浜離宮にたどり着きました。ビルの窓からの反射で、新緑の葉1枚1枚がキレイに浮かび上がりました。FE 24mm F1.4 GMは軽量コンパクトで携行しやすく携帯性と、絞りを開けても絞っても素晴らしい描写性能に惚れました。個人的には絞りリングの搭載がうれしく、撮影がとてもスムーズにできたのが好印象でした。さて、新橋付近で一杯やって帰りましょうかね(ISO100、1/100秒、F5.6、-1.3補正)★

【編集部より】末尾に「★」が付いている作例はファイルサイズが30MBを超えており、サーバーの制限によりアップロードができないため、「Adobe Lightroom Classic CC」で一切の調整を加えずにJPEG画質90で書き出し、ファイルサイズを20MB台に抑えました。ご了承ください。