海外旅行で困るのが、なんといっても言葉。最近は、空港などでWi-Fiルーターとともに、ポータブル翻訳機を同時貸し出しするサービスも増えています。
そんななか、マウスコンピューターがポータブル翻訳機「TL01」を発売しました。TL01の特徴は、高いコストパフォーマンス。英語、フランス語、中国語、韓国語をはじめとする15カ国語に対応しながら、8,980円(税別)という低価格が目を引きます。この値段なら、父の引退後に時間を持て余して頻繁に海外旅行に行く筆者の母(70歳)にプレゼントするのもよさそう。そこで、この翻訳機が「使える」ものなのか、自分でも試してみました。
ポータブル翻訳機の基本をチェック
ひとことで「ポータブル翻訳機」といっても、今はさまざまな種類があります。重要なのは「翻訳方向」と「翻訳方法」の2つ。翻訳方向とは、翻訳を一方向でするか、あるいは双方向でするかということ。たとえば「日本語」と「英語」の翻訳をする場合、「日本語→英語」しか翻訳できないのが「一方向翻訳」。「日本語→英語」と「英語→日本語」の両方を同時に翻訳できるのが「双方向翻訳」になります。
翻訳方法は、翻訳エンジンがインターネット上にある「オンライン型」か、あるいは翻訳機に内蔵された「オフライン型」かということ。オンライン型の場合はネット環境などがなければ翻訳ができないので注意が必要です。製品によっては、オンライン・オフライン両方で使用できる「ハイブリッド型」もあります。
TL01は、双方向翻訳できるオンライン型のポータブル翻訳機。双方向翻訳なので、他言語相手との会話を双方向で翻訳可能です。ただし、オンライン型なのでWi-Fi環境が必須。スマートフォンのテザリング機能などを使用して、Wi-Fi経由でインターネットに接続する必要があります。
実際にTL01を手に取ってみると、本体サイズは幅38.6×高さ11×奥行き100mm、重量はわずか約63gと非常に軽量コンパクト。厚さが11mしかないので、胸ポケットなどに入れてもかさばりません。本体はメタリックな質感で、価格以上の高級感があるのも好印象でした。
対応する言語は、日本語のほか英語、中国語、フランス語、韓国語、タイ語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ロシア語、ポルトガル語、イタリア語、オランダ語、デンマーク語、フィンランド語、スウェーデン語になります。翻訳エンジンにはクラウド上の「Microsoft Azure Cognitive Services」を採用。マイクロソフトによる学習型の翻訳エンジンで、翻訳精度が進化するとされています。
使い方も非常にシンプル。自分が話すときは、本体の「Me」と表示された音声認識ボタンを押しながら、マイクに向かって話します。話している間はボタンを押したままにして、ボタンをリリースすると相手言語に翻訳した音声が自動的にスピーカーから流れます。
TL01本体に液晶画面はないので、翻訳した文章を本体上で確認することはできませんが、連携したスマホ上での確認は可能です。また、マイクマークのボタンを押すと前回翻訳した音声を繰り返し再生するので、翻訳した文章を一度で聞き取れなかった場合も安心です。
逆に、相手の言語を自分の言語に翻訳したい場合は、「マイク」と表示された音声認識ボタンを押しながら、相手に話しかけてもらいます。ボタン位置で「自言語」「相手言語」を切り替えるだけというシンプルな操作性なので、機械の操作が苦手な人でも簡単に使えるのではないでしょうか。
「日本語」を「英語」「フランス語」に翻訳
最初の設定で迷うかも?
TL01はオンライン型の翻訳機なので、使用するには基本的にスマホと連動し、本体をWi-Fiでネットワークに接続します(LTE Wi-Fiルーターでも可)。設定方法は、まずスマホに専用アプリ「MoYu AI翻訳機」をインストールし、スマホのテザリング機能をオンにした状態で、設定手順に沿ってアプリと関連付けるだけです。
この作業は最初の1回だけですが、テザリングの設定をしたり、スマホの音を使ってTL01にWi-Fiの設定を送ったり、アプリと連携させるためにTL01本体に暗証番号を読み上げさせて登録したりと、それなりの操作が必要。「スマホのテザリング機能ってなに?」という筆者の母のようなユーザーには少々難しそう。逆にテザリング機能を利用できるレベルの知識があれば、簡単に設定できるでしょう。
スマホとの連携は一度すれば、次回からはスマホのテザリング機能をオンにすればTL01が自動的に使えるようになります。我が家のように「機械が苦手な人へプレゼント」といった場合は、最初の設定だけ手伝えば大丈夫でしょう。スマホにインストールする専用アプリでは、言語の変更や、翻訳済みの文章をチェックすることができます。