米Boseは5月29日 (現地時間)、ノイズキャンセリング機能を備えたオーバーイヤー型ワイヤレスヘッドホンの新製品「Noise Cancelling Headphones 700」(以下NCH 700)を発表した。同社はNCH 700を「モバイル・コミュニケーションを再定義する新しい音声インターフェイス」と説明しており、「QuietComfort 35 II」が人気の同社のノイズキャンセリングヘッドホンのラインナップに加わる。価格は399.95ドル、6月30日に発売する。
スマートフォンやタブレット、PCなどに接続して使われるようになってからヘッドホンはマイクを内蔵するようになり、特にここ数年で通話やデジタル音声アシスタントとのやり取りなどをハンズフリーで行うためのデバイスとして重要性を増している。発表文においてBoseは「これまでノイズキャンセリングヘッドホンはより良く聴くことを手助けしてきましたが、ユーザーはより良く聞いてもらうことも必要としています」としている。周囲が静かな環境ではデジタルアシスタントが正確にユーザーの音声コマンドを聞き取れても、街の喧騒の中だと電話番号すらうまく聞き取れないことがある。NCH 700は、Boseが培ってきたノイズキャンセリング技術をユーザーの声を聞き分ける機能に用いて、双方向のインタラクションの体験を変える。
NCH 700は、6つのマイクでノイズキャンセリングを行い、その内の4つがアダプティブマイクシステムに用いられている。2つはユーザーの音声を分離して他の音を抑えるビームフォームアレイ、残る2つのマイクは変化し続ける環境 (ユーザーが動く、顔を動かす等々)においてユーザーの声をトラッキングしながら、影響してくる音をブロックするリジェクションアレイになっており、それらの組み合わせでユーザーの声を正確に分離する。ユーザーのすぐ横で誰かが話していても、またはテレビが横にあっても、ユーザーの声を聞き分けて、音声コマンドや音声入力などを正確に伝える。デジタル音声アシスタントはAmazonのAlexaとGoogleのGoogleアシスタントを内蔵しており、AppleのSiriもサポートする。
NCH 700は「Bose AR」の対応デバイスの1つになる。Bose ARは音をインターフェイスとしたAR (拡張現実)機能で、例えば「Golfshot」では、世界45,000以上のゴルフコースを周りながら、そのホールの仮想キャディのガイドを聞ける。音楽、ゲーム、フィットネス、旅行、コミュニケーションなど、幅広い分野で音を用いた新たなハンズフリー体験の実現を目指している。
Bose独自のTriPortアコースティックヘッドホン構造を採用し、コンパクトなイヤーカップで、バランスのとれた自然な音質を実現している。満充電から最大20時間使用できるが、ヘッドバンド全体に重さが分散するデザインによって長い時間でも快適に装着し続けられるという。
新世代のノイズキャンセリング機能はノイズキャンセリング特有のヒスノイズを抑え、自然な静寂を実現する。ノイズキャンセリングは11段階で調整でき、最大にするとノイズキャンセルが最大になるが、最小はノイズキャンセルのレベルがゼロになるのではなく、ヘッドホンを装着していない時と同じようにNCH 700を通じて周囲の音が耳に入ってくる。
操作機構は、右のイヤーカップがタッチパッドになっており、音量、通話、音楽再生のコントロールが可能。左のイヤーカップにノイズキャンセリングの調整、右のイヤーカップにデジタルアシスタント用のボタンを備える。
Boseによると、NCH 700は「ヘッドホンのイノベーションを実現する3製品」の最初の製品になる。NCH 700に続いて、2019年内にコンパクトなワイヤレスヘッドホン「Bose Earbuds 500」が登場、2020年に「Bose Noise Cancelling Earbuds 700」を発売する。