富士フイルムは5月23日、中判ミラーレスカメラ「FUJIFILM GFX」シリーズの新機種「GFX100」を発表しました。製品名にある通り、100メガピクセル(約1億200万画素)もの高画素センサーを搭載したのが特徴。1億を超える高画素だけに、一部をアップにするために画像をトリミングしても数百万~数千万画素相当のきれいな写真が得られます。「撮影後、自由自在にトリミングしてベストな写真に仕上げる」という使い方が積極的にでき、カメラの使い方を変える1台となりそうです。
価格はオープンで、予想実売価格は税込み130万円前後。発売は6月下旬の予定です。
アクティブに撮影できる1億画素の中判ミラーレス
GFX100は、フルサイズセンサーの約1.7倍の大きさを持つ中判センサーを搭載するミラーレスカメラ。画素数は有効1億200万画素と、1億超えの圧倒的な画素数を誇ります。
これだけの画素数ながら、スタジオなどでカメラを三脚に固定して1枚1枚じっくり撮影するカメラではなく、「優れた操作性と高速オートフォーカスで動く被写体も手持ちでガンガン撮影できるアクティブなカメラ」に仕上げられているのが興味深いポイントです。オートフォーカスは、撮像素子にAFセンサーを埋め込んだ像面位相差AFで、ピント合わせは高速。しかも、顔認識だけでなく瞳認識AFにも対応し、人物を的確に撮影できます。
操作ボタン類は、シャッター速度や感度などの独立したダイヤルを搭載していた従来モデルとは異なり、電子ダイヤルで操作して画面で設定値を確認できる現代風の操作系に変わりました。シャッターボタン後方の液晶パネルにヒストグラムなどを表示できるなど、ユニークな工夫も凝らされています。
画質劣化の心配なくトリミングできる
1億200万画素のGFX100で撮影できる写真は、実に11,648×8,736ドットにもなります。商業印刷などの業務用途ではこれぐらいの画像サイズが求められる場合もありますが、「L判にプリントする」「パソコンやスマホで表示する」といった用途では2,000万画素もあれば十分なので、完全にオーバースペックといえます。
GFX100の高画素のメリットは、ズバリ「画像を積極的にトリミングできる」こと。人物などメインの被写体を大きく見せるため、周囲の余計な部分をカットしたくなるケースはよくあります。しかし、画素数の低いスマホではトリミングすると画像サイズが小さくなり、ぼやけた表現になってしまいます。
しかし、1億200万画素のGFX100ならば、相当大胆にトリミングしたとしても1,000万~2,000万画素程度は残り、トリミングしたことが分からないぐらいの精細感たっぷりの写真が得られるというわけです。富士フイルムの担当者は「撮像素子の性能やレンズの描写性能が高いので、数百万画素程度までトリミングしてもハッとするような仕上がりの写真が得られる」と自信を見せます。
肌を少しだけなめらかに表現するエフェクトも用意
圧倒的な解像感をもたらすGFX100ですが、人物撮影では顔の細かな凹凸や産毛なども精細に表現してしまいます。その悩みを軽減するべく、肌の表現をスムーズにする機能「スムーススキン・エフェクト」を搭載しています。強弱の2段階で調整でき、表現がいくぶんなめらかになることが確認できました。富士フイルムの担当者は「画像解析で肌を検出し、緩やかに効果をかけている。肌以外の部分には効果をかけないので、目などの解像感は保たれる」としています。
カメラの撮り方を変えてくれる存在に
GFX100は130万円という価格から、プロがスタジオで使う業務用カメラというイメージを持つ人が多いと思います。しかし、富士フイルムは一般の写真ファンも満足して使えるカメラと位置づけており、特にトリミング耐性の高さを前面に押し出しています。もちろん、被写体にピントがしっかり合っていることが条件となりますが、臆することなくトリミングできることで、カメラの撮り方が大きく変わる存在になると感じました。