マイクロソフトは5月17日、同社が昨年の10月に発表した「マイクロソフト 公共機関向けクラウド利用促進プログラム」の進捗状況を説明するプレス説明会を開催した。この中では、新たなトレーニングプログラムを提供することが発表された。

「マイクロソフト 公共機関向けクラウド利用促進プログラム」は、マイクロソフトの法人向けクラウドサービス「Microsoft Azure」「Microsoft 365」「Dynamics 365」 を、パートナー企業による多種多様なソリューションや導入支援サービスとともに、公共機関の顧客に提供し、支援活動を実施するもの。政府・行政機関向け、ヘルスケア向け、教育機関向け3つの分野がターゲットになる。

  • 「マイクロソフト 公共機関向けクラウド利用促進プログラム」

同プログラムは、2020年までに4万名の公共機関とパートナー企業に提供することが目標となっているが、日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長 佐藤知成氏は、「数千名規模で提供しつつあるが、それを加速させるめにオンライントレーニングを提供していく」と述べ、公共機関およびパートナー企業向けに、7月から人材育成プログラムとして、オンライントレーニングの提供を開始することを明らかにした。

  • 日本マイクロソフト 執行役員 常務 パブリックセクター事業本部長 佐藤知成氏

このトレーニングでは、パブリッククラウド活用やPaaS/IaaSについて、さらにAI/IoTの活用トレーニングを提供する。

  • 新たにオンライントレーニングを提供

また、データ活用のためのAIについて学べる「AIビジネススクール」を開始する予定。これは、すでに米国では展開しており、新たに日本でも展開する。

  • 「AIビジネススクール」を開始する予定

さらに、他の自治体の事例を参照したいというニーズに応えるため、ユーザーコミュニティの立ち上げに力を入れており、大学向けのMicrosoft 365、医師向けのHoloLens、製薬向けのMicrosoft Teamsなどのワークショップを行っているという。

  • ユーザーコミュニティの立ち上げ

公共機関向けの災害対策では、避難所の物資を管理するしくみに関心が高く、Office 365の導入を複数の自治体が検討中だという。

クラウドの早期導入支援では、いままでに例のないクラウドの利用を開発するために、デザインシンキングによる顧客とのワークショップを開催している。

これらのプロジェクトを強化するための社内体制としては、200名のクラウド人材の育成を完了し、7月から始まる新年度では、先行している世界の知見を取り入れるしくみを導入していくという。

パートナーとの連携では、パートナーのソリューションのクラウドへの移行や新ソリューションの開発を進め、目標の200のうち、すでに60が提供可能になっているという。

佐藤氏は、「クラウドはAzureだけでなく、Office 365、Microsoft 365、Dynamicsがいろんな課題を解決できることを証明する実績が出てきている、とくにTeamsの引き合いが多く、モバイル環境の整備、医療機関内でのコミュニケーション、生徒と先生のコミュニケーションツールとして利用されている。Azure、Office 365、Microsoft 365、Dynamicsを組み合わせることで、多くの課題を解決できる。今後もその取り組みを強化していく。 また、セキュリティ基盤の整備も厳格に進めていかなければない」と語った。

米国連邦政府向けのAzure Governmentの日本での展開はありうるのかについて佐藤氏は、「セキュリティ要件の厳しい20%のデータはクラウドに移行できないが、残りの80%はクラウドへの移行の可能性がある、他の国の仕組みを調べたが、80%は移行可能だ。現在の日本は5-6年のイギリスやドイツの状況に似ている。ただ、われわれには、この5-6年での課題解決の蓄積があり、他国のセキュリティを要件をそのまま利用できる。80%部分のクラウド化を進めていきたい」と、積極的に検討していることを明らかにした。