続いて「モバイルサービスをめぐる政策動向」と題して、総務省・総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課の大塚康裕企画官が登壇。特にMVNOやスマホの料金プランなどの動向と、総務省が進める政策について講演した。

  • 日曜日にも関わらずゲスト参加してくださった総務省の大塚企画官。ちなみにプレゼン資料は半分程度しか使用されなかったが、お役所らしい、みっちりと内容の濃いものだった。詳細は「てくろぐ」にて確認していただきたい

現在、MVNOのシェアは11.5%、契約数は2,000万件程度。また、家計支出に対する通信費の割合は約5.9%、モバイルに限れば4.4%(約14,000円)に達するという。通信費が家計に占める割合は年々高まっている。また、先進国で同程度の容量の通信プランを比較した時、10年前であれば比較的割安だった日本のプランは金額的にほぼ横ばいで、値下げを続けてきた諸外国と比べると高い水準になってしまっている(もちろん、そのぶん通信クオリティは高いのだが)。

そこで利用料金の値下げを目指してMVNOの普及促進などを進めてきたわけだが、キャリア側の抵抗も激しく、思ったような効果が出ているとは言い難い。そこで総務省は「利用者の理解促進」「広告の適正化」「中古端末の国内流通の促進」といった目標を掲げ、事業者間の競争促進を図ろうとしている。

  • これまで総務省が進めてきた施策の数々。程度の差はあるが、市場への影響もしっかり進んでいる印象だ

  • 現在作業中の、中間報告書の案。大きく分けて「利用料金」と「競争の適正化」という2つの柱があるが、それぞれに関わる案件が多岐に渡っており、なかなか一筋縄ではいかないことは理解できる

ただし、総務省としては料金の規制をするのではなく、あくまで囲い込みなどを目的とした、行き過ぎた端末値引きの禁止や、提供条件の適正化、SIMロック解除やMVNOの推進を通じて、業界全体の流動性を高め、値下げにつなげたいという説明だった。

個人的には、通信料金の値下げは嬉しいのだが、MNOとMVNOの住み分けが希薄になったり、高級端末の普及が難しくなることで市場(サービス)への悪影響がないか、などの懸念もある。ただ、筆者を含めユーザーの声は後述するQ&Aコーナーや懇親会を通じて直接大塚企画官に伝えることができたので、大変有意義な講演だったと感じられた。こうした機会がさらにあちこちで増えることを期待したい。