いよいよ令和がやってきます。平成の30年を振り返ると、どんな思い出がよみがえりますか? 筆者からするとつい最近のように思えますが、平成元年はすでに30年前。1989年です。

  • 平成を彩ったSNSを振り返ってみましょう(イラスト:jimao)

    この連載では、平成を彩ったSNSを振り返っていきます(イラスト:jimao)

インターネットの歴史でいえば、NTTがテレホーダイを開始した年が1995年。マイクロソフトがWindows 95を発表したのも1995年でしたね。そして1999年に商用ADSLが始まり、2000年にはGoogleが日本語検索サービスをスタート。「ブロードバンド元年」と呼ばれた2001年は平成13年。18年も前のことなんですね。

昭和のころは、パソコン通信「PC-VAN」(1986年開始)や「NIFTY-Serve」(ニフティサーブ、1987年開始)で、ネットワークを通じた交流がありました。平成に入り、インターネットが普及し始めると、ホームページやブログを通じて情報を発信することがブームになり、ホームページの掲示板やブログのコメントでの交流がスタート。個人が世界に向けて、情報を自由に発信できること、ネットを通じて見知らぬ人と交流することは、当時とても画期的でした。そして2000年前半、インターネットを通じてさまざまな人とのつながりを構築するサービス「SNS(Social Networking Service)」が誕生します。

この連載では、平成前半に始まった「SNS」というサービスを振り返っていきたいと思います。日常にすっかり溶け込んだSNSですが、それぞれのサービスが始まったときは「革命」と賞賛され、我先にと楽しむ人たちがたくさんいました。

前略プロフに黒歴史を残しつつmixiへ

SNSの始まりは、2003年にアメリカで生まれた「Friendster」だといわれています。その後「Myspace」や「Orkut」が誕生。日本国内では、「前略プロフィール(前略プロフ)」が2004年にスタートしましたね。前略プロフは、Webサイトに自己紹介ページを作成できるサービスで、厳密にいうとSNSではありませんが、掲示板で友人と交流したり、リアルタイム(通称「リアル」)につぶやきを残したりと、SNSのような役割を果たしていました。今の20代~30代にとっては、青春の1ページを飾った思い出のサービスではないでしょうか。前略プロフは2016年9月30日にサービスを終了し、「黒歴史が消えた」とホッとする人もいたようです。

2004年には日本国内で、SNS「GREE」「mixi」がスタート。どちらもサービス開始当初は、会員から招待を受けなければ登録できない「招待制」のサービスでした。その後mixiは、国内最大級のSNSへと成長していきます。

  • 招待制でスタートした国内SNS「mixi」(招待制はやがて撤廃された)

mixiはプロフィールの登録、日記、コミュニティ、メッセージ機能などを持つSNSです。つながったユーザーを「マイミク」と呼び、マイミクがプロフィールページを閲覧すると、履歴が「足あと」として記録されるため、投稿主はいつ誰が自分のページを訪問したのかわかります。

「足あと」機能には賛否両論あり、自分のページをマイミクが訪問してくれたことに喜びを感じる人もいれば、自分が訪れたことを相手に知られたくない人もいました。自分のページに来ているにも関わらず、日記にコメントを付けるなどの反応をしない行為は「読み逃げ」と呼ばれ、「読み逃げ禁止」を宣言するユーザーもいるほどでした。閲覧したら必ず自分も投稿しなくてはならないとする「地雷バトン」も流行りましたね。

mixiで人気の機能はコミュニティです。多彩なジャンルに分かれたコミュニティは、管理人が細かく運用できるように設計されているため、楽しい交流が行われていました。「~年卒~中学校集まれ」といった同窓会コミュニティもたくさんありました。mixiではプロフィールページに、自分が加入しているコミュニティが一覧表示されるので、「スイーツ好き」などのコミュニティに入って、自己紹介としてコミュニティを使うユーザーもいましたね。

2019年現在のmixiには、好きなアーティストやグルメなど趣味の情報を交換するコミュニティ、仕事の求人からオフ会コミュニティまで、270万を超える趣味コミュニティがあるそうです(2019年現在)。

一世を風靡したmixiですが、世の中がパソコンからスマホへとシフトしていくと同時に、「Twitter」や「Facebook」といったアメリカ発のSNSが国内に参入してきたことで、ユーザーの移動が始まりました。mixiは「足あと」機能を廃止したのち復活するなど、迷走とも思われる仕様変更が続いたことで、ユーザーの離脱に拍車をかけました。こうしてmixiは業績赤字に苦しむわけですが、2013年にローンチしたスマホ向けゲームアプリ「モンスターストライク」などのヒットにより、近年はIT業界の表舞台に返り咲いています。

当時の若者が夢中になったmixiですが、今は「アカウントが残っているけれど、ほとんどログインしていない」という人も多いかと思います。2019年現在のmixiはどうなっているのでしょうか。

2018年12月にmixiが発表した調査によると、mixiを利用しているユーザーのうち、7割が毎日利用だそう。利用年数は10年以上の人が6割と、古株ユーザーが愛用しているようです。筆者の知り合いの20代男性は先日、mixiがきっかけで出会った女性とお付き合いを始めたとか。まだまだ、若いユーザーもいるようです。

次回はTwitterを紹介。Twitterのはじまりから、日本で流行したきっかけなどを思い出しましょう。