LGエレクトロニクス(以下LG)が2019年の4Kスマートテレビのラインナップを発表しました。発売は4月25日。本稿では、新4K衛星放送対応チューナーを内蔵した有機ELテレビの4シリーズ9モデルを紹介します。

  • 4K有機ELテレビ

    LGの4K有機ELテレビでフラグシップモデルの「W9P」シリーズ。壁に貼れるくらいの極薄パネルが特徴です。サラウンドスピーカーはテレビ本体から独立しています

最上位「W9P」シリーズは、壁かけもできる約3.9mmの超薄型パネルが特徴。このほか、透明スタンド採用した「E9P」シリーズ、77V型の大画面モデルをそろえた「C9P」シリーズ、OLEDの入門機ともいえる「B9P」の4シリーズをラインナップします。推定市場価格は下記の通りとなっています。

  • W9Pシリーズ : 77W9PJA(77V型)/170万円前後、65W9PJA(65V型)/75万円前後
  • E9Pシリーズ : 65E9PJA(65V型)/55万円前後、55E9PJA(55V型)/40万円前後
  • C9Pシリーズ : 77C9PJA(77V型)/120万円前後、65C9PJA(65V型)/50万円前後、55C9PJA(55V型)/35万円前後
  • B9Pシリーズ : 65B9PJA(65V型)/45万円前後、55B9PJA(55V型)/30万円前後
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    映像が宙に浮いているようなナローベゼル&ガラスフレームを採用したE9Pシリーズ

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    E9Pシリーズもパネルは極薄。大画面モデルでも省スペース設置を実現しています

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    ナローベゼルが特徴のC9Pシリーズ

AIが画質、音質を最適化

全モデルで、新4K衛星放送に対応するチューナー×1基を搭載しています。また、地デジ、BS/110度CSデジタルのチューナー×3基を内蔵するトリプルチューナー仕様(B9Pシリーズはダブル仕様)。外付USB HDDへの番組録画も可能です。

HDR映像の表示方式は、UHDブルーレイで採用される「HDR10」と、新4K衛星放送で用いられる「HLG」のほか、「Dolby Vision」「advanced HDR by technicolor」をサポートしました。

モデルごとに個性も豊かです。最上位のW9Pシリーズは、デザイン美と最先端技術を盛り込んだLGの製品に冠される「LG SIGNATURE」に所属。同社が持てる最先端の映像技術を惜しみなく投入しています。

W9P/E9P/C9Pシリーズは、LGの最新高画質プロセッサー「α9 Gen2 Intelligent Processor」を搭載。LGディスプレイの有機ELパネルに映像を入念に合わせこみ、パネルの性能を最大限に発揮できるよう調整しました。

今回の4K有機ELテレビでは、全モデルで、高画質プロセッサーによる画像処理にディープラーニングの技術を応用しています。たとえば「AI映像」の技術では、パネルに表示される映像ソースにディープラーニングをベースとした画像解析処理をかけて、被写体の輪郭を精細化。クリアでキレのある映像に整えます。新4K衛星放送、UHDブルーレイディスク、地上波、ネット動画など、映像の種類は問いません。

「AI輝度」の技術では、テレビを視聴する環境の照度に合わせて、画面の明るさを最適化。暗部のつぶれやピーク部の白飛びを抑えて、自然な映像に調整します。新4K衛星放送、UHDブルーレイやVODサービスのHDR映像を表示するときに効果を発揮するでしょう。

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    テレビを設置した場所に合わせ、画面の明るさを最適化する「AI輝度」機能

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    画質設定などは、アイコンを選択しながら直感的に行えます

「AIサウンド」モードも用意。2chのステレオ音源コンテンツを独自アルゴリズムで分析し、5.1chサウンドに変換して再生するバーチャルサラウンド機能となっています。テレビに付属するマジックリモコン内蔵マイクでユーザーの周囲の環境音を拾い、視聴ポジションに最適な音量に調整する「オートサウンドチューニング」も備えました。

約3.9mmの超薄型パネルを採用するW9Pシリーズでは、迫力あるサラウンド音声を再現するため、スピーカーユニットを別のきょう体とした「Moving Speaker」を採用しています。E9Pシリーズは、総合60Wのアンプと4.2ch構成のスピーカーシステムを本体に内蔵。また、全モデルでDolby Atmosの立体音響技術に対応します。

「ThinQ AI」でなにができる?

このほか、LG独自のAIプラットフォーム「ThinQ AI」を搭載し、日本語による音声コマンド入力と自然言語処理が可能です。マジックリモコンのマイクに向かって話しかけると、テレビのチャンネル操作、好きな俳優が出演しているテレビ番組の検索、おすすめのテレビ番組やネット動画のレコメンド表示などを音声で操作できます。

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    LGのThinQ AIは、会話形式の音声コントロールを早くから実現しているAIアシスタントです

マイクへの音声入力は、Googleアシスタントとも連動します。まず、ThinQ AIが音声コマンドの内容を把握し、天気予報などの情報検索やChromecast built-in対応機器の操作など、Googleアシスタントが得意とする処理はGoogleアシスタントにバトンタッチすることで、スムーズな使い勝手を実現しているのです。

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    リモコン内蔵のマイクで、ThinQ AIやGoogleアシスタントの立ち上げが可能

発売後に予定する本体ソフトウェアのアップデートにより、マジックリモコンに搭載する「Prime Video」ボタンを長押しすると、音声アシスタント「Amazon Alexa」も起動できるようになる予定です。また、Appleのコンテツストリーミング技術である「AirPlay 2」への対応も予定。iPhone/iPadで再生した映像や音楽などのコンテンツを、ワイヤレスでテレビに飛ばして楽しめるようになります。

スマートOSのUIは、LG独自のweb OSがベース。マジックリモコンのポインタを使い、PCのマウスを動かすようにカーソル操作、スクロール操作ができます。テレビをインターネットに接続して、NetflixやAmazonプライム・ビデオなどのVODサービスを楽しめるだけでなく、ユーザーの視聴履歴をAIが学習し、ユーザーの好みに合うコンテンツをサムネイルにして並べる「AIランチャー」機能が便利そうでした。

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    web OSベースの独自スマートUIを採用

  • 4K有機ELテレビ

    マウスのようにポインタを動かしながら操作できるマジックリモコン

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    VODサービスなど、ユーザーの視聴履歴を学習し、ユーザーが見たくなるコンテンツをサムネイルにして並べるAIランチャー

テレビに接続されている機器や、宅内のルーターに接続されているスマート家電、IoTデバイスのステータスを一望できる「ホームダッシュボード」も新たに搭載されました。オープン・コネクティビティー・ファンデーション(OCF)の規格をサポートするスマート家電や、LGのThinQ AI対応スマート家電(日本にはまだ上陸していません)の制御・管理がテレビ画面から可能となります。ほかにも、Bluetoothオーディオの送受信機能や、スマホの画面をテレビの中に子画面として映し出せる「モバイルコネクションオーバーレイ」など、ユーザーの期待に応える機能が盛りだくさんです。

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    スマートホーム家電を管理できるホームダッシュボード

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    LG独自のThinQ AIで、テレビの画質や音質の設定が行えます。海外では、ThinQ AIに対応するスマート家電のコントロールも可能

大型テレビの買い替え候補に

2019年現在、コンシューマー向けテレビ用4K有機ELパネルのなかで、最大サイズになる77V型モデルを2シリーズで展開してきたところにも、LGの本気度が垣間見えるでしょう。2020年に開かれる東京五輪の前に、2019年の秋にはラグビーのW杯など、大きなスポーツの祭典もあります。

4K/HDR対応のVODコンテンツも着実に増えているので、大画面テレビの買い替え・買い増しを検討するのであれば、LGのテレビも視野に入れたいところ。美しい画質だけでなく、サウンドや多彩なスマート機能による総合力に優れた製品であるといえるでしょう。

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    LGの4K有機ELテレビでエントリークラスに位置づけられる「B9P」シリーズ