新たに追加されたライブND機能は、複数枚の画像を撮影して合成することで、減光の効果を持つNDフィルターを用いて長秒時シャッターで撮影したような効果が得られる機能です。設定も実物のNDフィルターに準じており、1段分(ND2相当)から5段分(ND32相当)までの5段階から選択できます。長秒時撮影など、これまでNDフィルターを必要とする場合、その都度装着や脱着が面倒に思えることもあったので、たいへんありがたい機能といえます。「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」のように、構造的にフィルターが装着できないレンズでもNDの効果が得られるので、その点でも注目できる機能といえます。

  • NDフィルターを使用して長秒シャッターで撮影したときと同じ効果の得られる機能で、複数枚の画像を撮影し合成することで効果が得られます。メニューでは1段分(ND2)、2段分(ND4)、3段分(ND8)、4段分(ND16)、5段分(ND32)から選択できます

こちらについても効果は上々で、実際にNDフィルターを装着したときと写りは変わりませんでした。むしろ、スローシャッターの効果が撮影前に確認できるため、シャッター速度の選択が容易になり、より使いやすく思えました。NDフィルターを持っていない人もNDならではの撮影効果が試せるので、下位機種にも搭載してほしい機能だと感じました。

  • 撮影は薄曇りの日でしたが、それでも昼間に8秒ものシャッター速度で撮影できたのは驚きです。水の流れなど、NDフィルターを使ったときと同様に再現されています。感度は、拡張感度のISO64相当で撮影しています(ほかの作例も同様)

  • 渋谷駅前のスクランブル交差点で撮影。撮影した時間は午前11時ごろで、本来ならば絞り込んでもそれなりに速いシャッターとなってしまうところですが、作例は1/1.3秒のシャッター速度と同等の仕上がりが得られました

  • こちらも渋谷駅前のスクランブル交差点です。シャッター速度は1/2秒としています。歩いている人などはブレて、実際の長秒時撮影と同じく不鮮明に写せました。なお、ライブNDを使用した撮影では、特別な撮影意図がなければ三脚は必須と考えてよいでしょう

  • 長時間露光で水面のさざ波を抑えてみました。本機能のメリットのひとつとして、NDフィルターを用意したり、着脱の手間が不要になることが挙げられます。三脚は欠かせませんが、思いついたら即長秒撮影が楽しめるのが魅力です

一体型の縦位置グリップが備わり操作感がアップ!

OM-D E-M1Xは特徴的な撮影機能がいろいろと盛り込まれていますが、外観にも大きな特徴があります。カメラ一体型の縦位置グリップが備わったことです。OM-D E-M1 Mark IIなどの従来モデルと比べれば寸法的にだいぶ大きくなりましたが、カメラを縦位置に構えたときのホールド感は確実にアップしました。さらに、シャッターボタンをはじめ前後のコントロールダイヤル、マルチセレクター、AEL/AFLボタン、露出補正ボタン、ISOボタンは縦横どちらに構えたときも右手親指および人差し指に対しほぼ同じ位置となりますので、どちらに構えてもまったく変わらない操作感となっています。

  • 縦位置グリップは、横位置と持った感じや操作感がほとんど変わりません。グリップの形状も手によくなじむ仕上げといえます。ちなみに、OM-D E-M1 Mark IIではフロントダイヤルはシャターボタンと同軸でしたが、OM-D E-M1Xではシャッターボタンの前方に置かれています

OM-D E-M1 Mark IIの場合、底面に装着するパワーバッテリーホルダー「HLD-9」が用意されていますが、OM-D E-M1Xのほうが縦位置撮影用のボタン配置がよいこともあり、使い勝手は格段に優れると感じました。