アマノ食堂の運営体制はとてもシンプルだ。アサヒグループ食品からは中村氏と上司の2名で、記事を制作するのは社外パートナーとなる制作会社のメンバー。月に3回ほど企画や戦略立案に関する打ち合わせをし、企画や人選はパートナー企業が担当。最終決定をするのは中村さんだ。公開前には複数の部署でトリプルチェックを行う。

「注意しているのは、企業っぽさ、広告っぽさを感じられる企画を作らないことです。たとえばパートナーからあがってきた原稿に、『アマノフーズの◯◯が良いです』みたいに、妙に褒め称えるような表現があったら『そういうのはいらない』とハッキリ伝えます(笑)」(中村氏)

確かに、アマノ食堂の記事では、本来PRしたいはずのフリーズドライ商品の存在は目立たない。前出の「お客さん対談」を見るとわかるように、商品が登場するのは対談後。最後に対談者のふたりが商品を食べて、一言程度感想を言っているだけだったり、商品情報が短く載っているだけだったりする。

「あまり宣伝っぽくしたくないんです。ただ、企画に登場してくださった方が、自身のSNSで対談の告知と併せて商品について触れていただくこともあります。それをきっかけに商品に興味を持ってくれる方が増えたら十分だと考えています」(中村氏)

ニーズのある第2検索ワードを狙った企画作り

企画会議にも特徴がある。SEO対策を重視しているため、検索ワードを軸に企画を考えるという。たとえば、1月の「旬の食材」では牡蠣を取り扱った。当然のことながら「牡蠣」だけだとビッグワードすぎるため、第2検索ワードとの組み合わせを考えた上で、記事作りをする必要がある。

「たとえば、『牡蠣 剥き方』だと検索ボリュームは少なく、需要がありそうな感じもしますが、そもそも殻付きの牡蠣を買ってくる人はあまりいないよね…と、検索ワードを前にみんなでとにかく話すんです」(中村氏)

そういった話し合いの結果、生まれた記事「牡蠣を加熱すると縮む問題…どうする? 牡蠣マイスターに聞きました」、少し古いが2017年1月の記事「大根1本、まるごと使い倒しレシピ。皮も葉っぱも徹底活用!」は実に秀逸だ。痒いところに手が届く記事といえる。

  • 「牡蠣を加熱すると縮む問題…どうする? 牡蠣マイスターに聞きました」

アマノ食堂ではPVやセッション数などの数字をKPIとして追っている。それに加え、注意深く見ているのが検索順位だ。そのため、公開から間もない時期の瞬発的な数字以上に、SEO対策を重要視している。

「今年作った記事が検索エンジンにきちんと評価されるのは数カ月後です。季節ごとに検索されるワードを意識した記事作りを行いながら、数カ月先の数字を見据えてSEO対策をコツコツと続けています」(中村氏)